45. パパ
シシリーを医務室に届けた後、私達は空き教室に移動した。
「自己紹介がまだだったね、僕はダニーだ」
「私はアリスです」
「ステラです」
ステラにこっそり聞いたところ、その人はパパの知り合いらしい。パパにここで待っていろと言われたそうだ。ダニーさんは教室を観察しながらうろうろしていた。
観察が終わったのか、今度は私達を観察し始めた。じっと見られると少し恥ずかしかった。
「何やってんだ、変態」
「痛っ!」
パパがダニーさんの頭を叩いた。ダニーさんは態とらしく痛がる振りをしていた。パパとダニーさんはとても仲が良さそうだ。そのやり取りに思わず笑顔になる。
「まず、悪魔とは何だ?」
パパは真剣な顔でダニーさんに質問した。悪魔とは何の事だろうか。分からなかったが、口を挟まず大人しくしておく。
「う~ん、僕にも分からないよ。ただ、神に近しい存在だね」
「何でその存在を知っていたんだ?」
「魔族にも昔、同じように顕現させようとした者が居たんだよ。その時は成功して大変な事になったらしい。詳しくは知らないけどね。後、地下にあった装置はその当時の物と恐らく一緒だよ」
私が魔族と戦っていた空間にあった装置の話をしているのがやっと分かった。そしてその装置から悪魔が顕現したようだ。
「それでダニーは何で此処に居たんだ?」
「君に魔導具を貰って王都を観光しようとしていたんだよ。それとエルフの生き残りにも興味があった」
(魔導具?エルフの生き残り?)
私には話についていけなかった。
「アリス、ティナはどこだ?」
話の流れからしてエルフの生き残りというのはティナの事だろう。私はティナの事についてまだまだ知らない事があるのだと感じた。
「呼んでくる」
私はステラを連れて教室を出た。
「ティナ何処に居るかな」
ステラが聞いてくる。さっき再会した時はどこか落ち込んでいた様子だったが、今は落ち着いているようだった。
「多分寮だと思う」
私達は寮に向かう。予想通りティナは部屋で寛いで居た。嫌がるティナを無理やり連れ出す。そしてダニーさんの前に彼女を連れてきた。
「…違うか、彼女は僕の子孫じゃないね」
連れてきたティナに対してダニーさんはそう言った。その後もパパとダニーさんは会話を続けた。ダニーさんの話や魔界の近況について楽しそうに話していた。私達は邪魔かもしれないと部屋を出ようとした時、パパから光が発せられた。光が消えた時にはパパは居なくなっていた。
(パパ?)




