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41. 詰将棋

「今、治癒魔法を掛けるね」


 ここがどこだか分からないが、死体の匂いがする。不快な臭いだった。私はシシリーに治癒魔法を掛けてもらいながら周りの様子を見た。

 魔族とパパが向かい合って対峙している。魔族はパパを見て笑っていた。


「全滅か、ネズミが雷撃の悪魔とは幸運だな」


 その言葉と共に魔族がパパに向かって駆け出した。その後は互角の争いをしていた。パパの攻撃を魔族が予測していたかのように避ける。同じように魔族の攻撃をパパが予想していたように避けていた。


(私の時は本気じゃなかったんだ)


 魔族は私を相手にしている時は手を抜いていた事が分かった。悔しかった。

 シシリーによる回復が終わって私はシシリーに支えられながら立ち上がった。その時、パパが一瞬こちらの状況を確認した。


(足手纏いになっちゃだめだ)


 パパの戦いの邪魔にならないように私達はその場から離れて壁に寄る。

 そこからパパの動きを確認する。


(あれ?)


 記憶にあるよりもパパの動きが悪い様に見える。いつもよりも調子が悪いのか、相手の魔族の技術が凄いのか分からないが、いつもよりも戦いにくそうだった。それでも大量の雷の矢を発生させて相手を追い詰めていっていた。


(綺麗な戦い方)


 計算されたかのような、相手の動きが完璧に見えているようにパパは動いていた。その動きに無駄は無い様に見えた。昔パパが言っていた。俺の戦い方はツメショウギの様な物だと。これがそれなんだなと今分かった。


「終わりだ」


 その言葉と共にパパは相手を切りつけて、更に首を刎ねた。勝負がついたようだ。その場で何かを言っているパパに私達は近づいて行く。


「パパなんで通話に出てくれなかったの?」


 それが私の口から出た言葉だった。もっと言わなきゃいけない事があったと思うが、それが最初に口から出てきた。その私の言葉にパパは笑っていた。なんか少し恥ずかしくなってきた。

 暫くパパと話していると後ろに膨大な魔力を感じた。同時に上から、武闘大会の会場だろうか、大きな音が聞こえてきた。この空間が崩れそうな音を出し始めた。

 私がきょろきょろしている間にパパは素早く動いていた。魔力の発生源に装置が置いてあった。その装置をパパは壊そうと武器で叩き切ろうとしていた。ただ、叩けば叩く程、装置は活性化しているようにも見えた。

 パパの攻撃で装置に罅が入った時、装置に置いてあった透明な球が浮いていき、天井を突き破って外に出て行ってしまった。

 その状況を呆気に取られて見ていると、パパに声を掛けられた。


「俺はあれを追いかける。お前らは入り口から脱出しろ」


 私達は言われた通りにここから脱出しようと、入って来た入り口に駆け出した。


(ステラは無事かな?)

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