4. 許せない事
「お前ら噂の雷撃の悪魔の娘たちか…俺と午後の模擬戦で勝負しろ」
「やだよ、着替えるの面倒くさいし」
藪から棒に勝負をしろと言ってくる男子の言葉を食い気味に断る。私達はひらひらのスカートを履いていた。なので模擬戦で勝負するには着替えないといけないので本当に面倒くさい。
(それに相手って選べるの?)
「ステラもお姉ちゃんと同じ~」
「私は強くないぞ」
ステラとティナも同じように断る。でもティナの断り方に疑問を持つ。確かにティナは一対一の模擬戦では私達より弱いけどこいつよりは強いと思う。
「っふん!負けたら雷撃の悪魔の顔に泥を塗るからな、負けるのが怖いならそう言えよ」
雷撃の悪魔とはパパの事だろう。私達はその呼び方が嫌いだ。魔族が使っていた言葉だからだ。
(それに悪魔じゃない)
「あの男もその程度の実力なんだろう」
私は机を叩いて立ち上がる。ステラも手を強く握っていた。
「な、何だ?やる気か?」
「パパに謝って」
「…っふん、負けたら謝ってやるよ」
「良いわ。ボコボコにする」
「…っ!良いだろう、受けて立つ」
名前を聞き忘れたけど私達に喧嘩を撃った男子は後ろを向いて歩いて去って行く。私は着替える為に更衣室に向かおうとしたところで気が付く。
(あ、私着替え持って来てない)
「二人とも着替えって持ってる?朝急いでて持ってくるの忘れちゃった」
「あ!ステラも忘れてた」
「私は最初から模擬戦なんてやるつもりなかったから持って来てない」
「え~どうしよう」
「良いんじゃない。動かなくてもあいつなら勝てるでしょ」
「それもそっか」
結局、私達は着替えずに校庭へと向かう。ステラは私が頼んだら模擬戦にしてくれたけど、ティナは魔法試験の会場へと向かって行った。周りの皆は着替えているか、動きやすい服装をしていたので、場違い感が凄くて少し恥ずかしくなる。
「ちょっと恥ずかしいね」
「ステラも魔法会場に行きたい」
「だめ、お願い一緒に模擬戦にして」
「……しょうがないな」
そんなやり取りを小声でしているとさっき喧嘩を売って来た男子が近寄ってくる。
「何だ?その恰好は?舐めてるのか?」
「…ええ、あなたなら動かなくても勝てると思ってね」
「…っ!今言った言葉を後悔させてやる」
つい強気に返してしまった。でも嘘は言っていない。今の私の発言で皆の注目が集まった。
(はあ、模擬戦でじゃなくてあの場で叩き潰しとけば良かった……)