35. 広がり
(情報収集、何をしよう)
昼休み、私は対戦相手の情報を集める為にDクラスに向かった。初戦の相手はDクラスの生徒だ。私が教室に入ると全員が一斉にこちらを向いた。
(…え?何?)
私は気にせず、一番近くに居た子に話しかける。
「ねえ、ダレン・ハワードってどの人?」
尋ねた女の子は不思議な顔をしながらある方向を指さした。その方向にはある男子生徒が居た。恐らく彼がダレン・ハワードなのだろう。本人に聞くのも何か可笑しな気がして、そのまま女の子に尋ねる。
「あなたは彼の実技の授業見た事ある?」
「…はい」
「どんな感じだった?」
「…えっと…普通だと思います」
普通とは何だろうか。私にはDクラスの普通が分からない。
「弱点とか知ってる?」
「…いえ、知らないです」
他の人にも聞こうとしたところで教室内の視線がまだこちらを向いていて、居心地が悪かったので、そのまま教室を出た。
次の試合、シード枠のモリー・エヴァンスの情報を得にCクラスへと向かう。同じように教室に入った途端に全員の視線がこちらに向く。Dクラスの時と同じように聞き込みをしたが、Dクラスと同じように良い情報は手に入らなかった。
次の選手の情報を確認しようとしたところである問題に思い当たる。どちらの選手が勝ち上がってくるのが分からない。このまま全生徒の情報を聞き込みするのは時間が掛かりすぎる。
「お姉ちゃん話題になってるよ」
私が真剣に悩んでいるとステラがやって来た。
「?」
「対戦選手の情報集めているんでしょ?」
「うん」
「他の人も真似して相手の情報を探りだしたんだって」
どういう事だか全く分からなかった。
「皆お姉ちゃんの真似し始めたんだって」
「なんだ、そんなのほっといて良いよ」
「…で、今は何やってるの?」
私は今悩んでいる事をステラに伝えた。
「確かに、それは大変だね」
「生徒の情報を持っている先生に聞きに行くってのはどう?」
「良い案だと思うけど教えてくれるかな…」
私の案にステラの反応はいまいちだった。生徒の情報を持っていてもそれを勝手に公開して良い権利は先生には無いだろう。言われて私の案が実現不可能だと思った。
「だめだ、止めよう。お腹空いた」
「もう昼休み終わっちゃうよ」
「え?急がなきゃ!」
私は急いで昼食を食べた。止めると言ったものの、やはり気になって、その日の授業は余り集中できなかった。効率的に情報を集める方法。パパに聞いたら教えてくれるかな。
(パパに夜相談してみよう)




