32. 二学期の始まり
「すぐ帰ってくると言ってたからダンジョン探索の準備してたのに帰ってこなかったじゃねえか!」
「まあまあ、ごめんって」
二学期の始まり、マイケルがいきなり絡んできた。確かに行くときはすぐに帰ってくるって言っていたけど、結局帰ったのは二学期の始まる直前だった。
「ちょっと今集中してるから静かにしてて」
ステラもマイケルの五月蠅さにちょっとイライラしていた。私達は今、魔力を溜める事に集中していた。私達はパパの様に普段からこの状態を維持できるように練習していた。
「授業を始めるぞ」
先生が来てマイケルも自分の席に戻っていった。二学期は一学期と違って剣術や魔法の授業で実戦的な授業が行われる。A、Bクラス以外はまだまだ基礎を学ぶそうだが、上位クラスの生徒は優秀だから実技も同時に学ぶ。他の座学は今までと同じだが、少し楽しみである。
「では、授業の最後に模擬戦をやる。今まで学んだ基礎を意識しながらやるように」
剣術の授業の最後に待ちに待った模擬戦を行う事になった。相手はランダムに先生が決めた相手だ。私の相手は男子生徒だった。
「始め!」
私は驚いた。
(パパ、これ凄いよ)
相手の筋肉の動きから次の動きが簡単に予測できた。魔力を薄い膜にして広げれば、相手の脳から出される電気信号も感知でき、より高度な予測が出来ていた。私は完勝した。元々、私よりも格下の相手だったが、相手の動きが分かると何だか格段に自分が強者になれた気がした。
「お姉ちゃん!」
ステラが授業終わりに笑顔でやって来た。ステラも私と同じように、鍛錬の時は自分を魔力で覆い観察していた。ステラも私と同じように相手の動きが読めるようになっていたのだろう。興奮した様子で私の元にやって来る。
「やっぱりパパの言っていた通り、基礎は大事だったね」
「ね!」
「何だ二人してニヤニヤして」
不思議そうに近づいてきたマイケルに、私達が夏季休暇中に習得した技術について話してあげた。マイケルは不思議そうな顔をしながら口を開いた。
「いや、俺には出来そうに無い。そこまで魔力を精密に動かせない」
この世界では魔力操作は一般的では無い。マイケルも他の人達と同様、私達のようには魔力操作が出来ないらしい。
(こんなに便利なのに)
パパが教えてくれる事とこの世界の常識は違う事が多々ある。パパからは話すなと言われていないが、あまり広めない方が良い事なのかもしれない。
(だって、考えたのは私達じゃなくてパパだもん)
この知識を広めるなら、発見したパパが広げるべきだと思った。
(ついでに、パパの悪い噂も無くなればいいのに)




