29. パパの故郷
パパの出身地はブルスジルだ。タクステディア王国の端、魔の森の近くにある。私達の故郷と呼べる場所はファームトイルムにある。自然豊かな田舎町だ。今がどうなっているかは分からない。
『ダンジョン探索が一区切りしたら墓参りに行こう』
「分かった~」
初めてのダンジョン攻略が終わった時にパパが言ってきた。丁度良かったので即答した。そして私達はブルスジルに行く事になった。
「服何着ていこっか」
「う~ん、新しい武具着ていかない?パパにまだ見してないし」
「っ!そうだね!そうしよう!」
服装は決まった。ブルスジルには一日で着くので、後は当日になるのを待つだけだ。
「パパお待たせ~」
笑顔で駆けつけると同じく笑顔のパパが学園の門の前で待っていた。
私達は魔導車がある駅へと向かう。魔導車はタクステディア王国の移動手段だ。他国には無い、タクステディア王国だけの技術だ。仕組みは分からないけど魔石の力を基にして走る。幼い時に乗った事があるらしいが、忘れてしまって覚えていない。
社内ではパパはアイスとお酒を飲んでいた。私達は外を眺めたり、お菓子を食べているとあっという間に、夕方にはブルスジルに着いた。
「着いたか」
「「わ~」」
王都で暮らしていた為、久しぶりに見た長閑な景色に興味を惹かれる。魔族との戦争で破壊されたらしく、復興途中だが趣のある街だった。早速パパの実家に向かう。
大きな屋敷に入るとパパのお兄さんが出迎えてくれた。
「兄さん久しぶり!」
「おお、ルークか!おかえり!」
パパとパパのお兄さんが会話する。そのまま私達の方を向く。
「と、アリスとステラも大きくなったな、いらっしゃい」
私達はスカートの裾を持ち上げてお辞儀をする。
「「お久しぶりです、ニーチフシェ様。お世話になります」」
(予めパパに名前聞いといて良かったぁ~)
「ルークと違って礼儀正しいな。そんな畏まらなくていい。また昔みたいにニーチェと呼んでくれ」
「「はい」」
「立ち話もなんだ、私はまだ仕事があるが、ゆっくりしていってくれ」
そのまま客室に案内される。そこは王都の学園の領とは違い、古い感じがして見慣れない物ばかりがあり、珍しくてうろうろしてしまう。この部屋に居たメイドさんが私達に置いてあるものの説明をしてくれる。私達が興味の湧くままに質問していると、夕食の時間になる。それまで椅子で寛いでいたパパと一緒に食事の用意された部屋に向かう。
(どんなご飯が出てくるんだろう、楽しみだな)




