20. 馬車
「それでね、ドミニク・ホーキンスという奴が感じ悪いの」
『まあ、貴族だからそんなもんだろ』
私は今日の出来事を通信機で話していた。
「でね、他の子達も余所余所しい感じで何だかやり辛いの」
『表面で笑っていても心の中で何を思ってるか分からないからな、人付き合いを学ぶのも良い経験になるさ』
パパは笑ってあまり解決策を教えてくれない。自分で考えろという事だろう。昔から戦闘以外の事はこんな感じで適当だ。
「はあ、あんまり行きたくない」
『そう言えば俺も護衛の冒険者として行ける事になったんだ。一緒の場所だと良いな』
「えっ!そうなの?急に行きたくなってきた!」
パパは軍に入る前は冒険者をしていた。幼い頃の記憶なので定かではないが、私もパパと一緒に冒険をしたいと思っていた。もちろんその気持ちは今も変わっていないが、軍人だから難しいと思っていた。
「お姉ちゃんそろそろ代わって」
「パパ、ステラに代わるね」
ステラに代わるとステラも今日の出来事を話し始めた。ステラのパーティーは身分が近いらしく仲良くやれているそうだ。羨ましい。
そして私達のパーティーは特に仲が良くなることも無く当日を迎えた。
「貧相な馬車だな」
ドミニクは今日も機嫌が悪いみたいだ。あまり近寄りたくない。馬車の中でもドミニクはイライラした様子で、マークが機嫌を取っている。私はそんな様子を眺めていた。
「何だ?」
「いや、別に」
「っふん」
クレアは関わりたくないのかずっと黙ったままだ。
最悪の空気の中馬車は目的地に着く。そこには二人組の冒険者が待っていた。パパでは無かったが、見覚えのある顔だった。
「アレックスさんにアランさん!」
「おお、嬢ちゃん!久しぶりだな」
冒険者を始めてから何かと世話を焼いてくれるアレックスとアランがそこには居た。私は思わず二人に近づき、世間話をしていると他の皆もやって来た。
「膝を付いて待っていないとは不敬だぞ」
「これは失礼いたしました。本日の護衛を務めるアレックスとアランです」
「っふん!護衛など要らんのに」
私はその態度に思わずため息をつく。
(何で感謝とか出来ないんだろう)
そんな時、耳に付けていた通信機にステラから連絡が来た。
『お姉ちゃん!ステラの護衛パパだった!』
「え、何それずるい」
別にアレックスとアランが嫌な訳では無い。寧ろ顔見知りの冒険者で安心していたが、それとこれとは話が違う。
(ついてないな~)




