2. 生活
キャロリンお姉ちゃんの家に来てから一年が経った。
「二人とも今日は終わろうよ。明日は入学試験なんだよ」
「…もうちょっとやる」
「ステラも」
「あっそ。私は先にお風呂に入ってるね」
この家に来てから私達は猛特訓していた。私の剣術やステラの魔法は軍の新人と遜色無いとパパが褒めてくれるぐらいには成長した。パパは国境で他国の軍との睨み合いの為に駐屯していると言っていた。忙しい中でも月に二、三回私達に会いに来てくれる。キャロリンお姉ちゃんも仕事が忙しいのか中々会えないが、いつも私達を気にかけてくれる。食事はなるべく一緒に食べるようにしてくれたり、必要な物は全部揃えてくれた。服も頻繁にプレゼントしてくれていた。
(私達って本当に大事にされてるよね)
大人達が居ない間は、勉強と訓練をしていた。勉強は学園に入ってから学ぶ内容を学んでいる。パパの教えてくれた魔法の概念と違いすぎたので、戸惑う事はあっても参考になる事は沢山あった。パパは基本、感覚で魔法は扱えと言ってくるが、勉強した内容ではそれを無理やり数値化したり規則性で紐づけたりしているから全然違う物に見えてくる。
(パパの教え方の方が良さそうなのに、なんでだろう)
そんな生活を送って私達は九歳になった。そして王立レノース学園に入学する為の入学試験が明日に迫っていた。
「それでね、今日は魔法を使いながら剣で少し戦えるようになったの」
『流石だな。その調子ならあと数年もすれば俺よりも強くなるな。凄いぞ』
「えへへ、ありがとう」
パパは魔導具を私達双子にくれた。離れていてもやり取りが出来る魔導具だ。耳にぴったりと嵌るサイズでどういう仕組みかは分からなかったけど、すごい魔導具という事は分かった。キャロリンお姉ちゃんに見せたら、顔色を変えて誰にも見つからないところで使いなさいと言っていた。
そんな魔導具で私達は毎日夜にパパとお話をしてから寝ていた。パパは毎日私達の今日あった事を嬉しそうに聞いている。いつもお酒を飲みながら聞いていると言っていた。
パパからは色々な魔導具を貰う。危険を知らせる魔導具や離れていてもやり取りを出来る魔導具、そしてティナは魔導具の武器を貰っていた。ティナの魔導具は威力が強すぎて普段使い出来ないと言っていたが、少し羨ましかった。
(私もパパに武器作ってもらいたいな…)
私の武器は剣だ。どこにでも売っている市販の剣だ。すぐに壊してしまうのでそれで良いと思っていたが、ティナが作ってもらったみたいに私も欲しいと思ってしまった。
(今度、パパに頼んでみようかな)