11. プレゼント
私達は学園の校舎にある段差に座って時間を潰していた。入学式は中止、講堂は閉鎖された。私達と同じように座って時間を潰す生徒は少なくなかった。恐怖で泣いている子も居た。そろそろ部屋に戻って荷物を整理しようかと思った時、パパがやって来た。
「探したぞ、ここに居たのか」
「「パパ」」
「俺はまたすぐに行かなきゃいけないんだが、入学祝を渡しそびれていた事を思い出してな」
「「入学祝?」」
「ああ、アリスにはこれだ」
パパに剣を渡された。一見すると、魔石が柄の部分に嵌め込まれているぐらいのシンプルな剣だった。私は剣を鞘から抜き差ししたりしながら、剣を眺めていた。
「この魔石に魔力を込めると剣の刃が振動する、俺の力作だ」
「振動するとどうなるの?」
「この石を投げるから試しに切ってみろ」
私は剣を鞘から取り出して魔力を込めてみる。すると剣の刃が一見すると分からない程度だが、振動し始めた。持ち手には振動が伝わってこない事に感心しているとパパは小石を投げてきた。私は試しに小石を空中で切ってみると、小石が簡単に切れた。力も速さもそんなに出していない。
「パパ!これ切れ味凄いよ!」
「だろ。ステラにはこの杖だ」
「ありがとう!っ重!」
パパはステラに杖を渡していた。全体が金属で出来ていて、ある程度は近接戦も出来そうな杖だ。それに先端に魔石が二つ付いている。その杖は他の物とは違う事が一目見て分かる。
「この杖には接近戦も出来るように刃を付けたからな」
「この魔石は?」
「この魔石は魔力を込めると自動的に魔法を、アイスバレットを発動出来る。こっちの魔石は時間差無しに、そしてこっちの魔石は氷が出現してから時間差で飛ぶようになっている。使いにくかったら魔石を改良してやるから実戦をしたら使い心地を教えてくれ」
「うん、分かった」
詠唱による魔法の発動は皆、同じタイミングで魔法が出る。生成から発動まで個人差はあれど大体同じだ。そのタイミングをずらす杖のようだ。発動タイミングが分からないと初見では対処しずらいだろう。
「パパ私には?」
ティナが甘えた声でパパにおねだりする。
「お前にはその銃があるだろう。それに自分で改良しているようだし…武器じゃない方が良いか……」
パパは基本的に私達に甘い。ティナにもプレゼントをあげるようだ。パパは背負っていたリュックから四つの見慣れた通信機を取り出した。それを私達とマイケルに渡してくる。
「この四つ同士で離れていても通信が出来る。慣れてくれば声を出さなくても意志を伝えられるようになるだろう。丁度四つあるし、ほら、少年もついでにやるよ」
パパはそう言って私達に通信機を渡すとすぐにどこかに行ってしまった。
(もっと話したかったなぁ)




