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10. 雷撃の悪魔

「「パパ!」」


 私達はパパに駆け寄って抱き着いた。パパは私の頭を撫でながら耳に付けた通信機で通信して、誰かに指示を出していた。


(また、何か戦いが始まるのかな…)


 思わず抱き着く腕に力が入る。


「大丈夫だ」


 そう頭を撫でながら笑いかけて、パパはこの場を立ち去って行った。パパはちゃんと自分のやるべき事が分かっているのだろう。


(…私に出来る事は何だろう)


「まずは王都の状況を確認しようよ、お姉ちゃん」


 ステラに言われて頷く。確かに現状を把握しないと何も出来ない。


「そうだね。ここの屋上なら王都中が見えるかも」


 私達は学園の屋上へと向かう。皆、どこかに逃げて行ってしまったのか、誰にも出会わずに屋上へとたどり着く。王都内は、学園近くには慌てる人が居るが、学園から離れる毎に平和な日常が見えた。王都の外へと目を向けるとパパを見つけた。パパは誰かと話していた。


「お姉ちゃん!魔物の群れが!」


 ステラの指を指す方向を見ると魔物の群れが王都へと向かってきていた。見た事の無い数だった。それに魔物が武装していた。そんな初めての光景に驚いていると誰かが話しかけてくる。


「…おいあれ、助けに行かないとまずくないか?」


 いつの間にかついてきていたのだろう、マイケルが提案してくる。


「私達が行っても足手纏いになるだけ……」

「騎士団に知らせに行こう、お姉ちゃん」


 私達が頷いている間にパパと魔物の戦闘が始まってしまった。


「「…凄い」」

「すげぇ、なんだあれ」


 パパは魔法で雷の矢を頭に生成して消滅させる事で、魔物を片っ端から倒していく。数秒で魔物の群れが殲滅した。


「…雷撃の…悪魔」

「…パパは本当はあんな戦い方したくないと思う」


 普段、優しく私達の話を聞いてくれるパパを私は知っている。パパがあんな顔をして魔物を殺しているのは私達を守る為だとすぐに分かった。


「パパは私達を守る為に戦っている。その姿は敵には悪魔に見えるかもしれない」

「でも、私達はパパを、彼を悪魔なんて言っちゃだめだと思う」


 私とステラが思っている事を話すのをマイケルが静かに聞いていた。


「…そうだな。悪い。何も知らずに言っていた」

「別に、分かれば良いんだよ」

「そう、私達はその言い方を訂正する為に、パパの教えを広める為に学園で学ぶ」


 そう、私達はパパがあんな戦いをしないように学ぶ為に、悪い噂を消す為に学園に行く。そう強く思った。


(…頑張ろう)

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