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つれづれな詩たち

花の名前

作者: 風蘭

風そよぐ青草ざわめく丘で

その花の名前を問う

問う者も応える者もない

深い闇の夜に

星ひとつなく 月さえもない

衣を打つ風だけが吹き抜ける

青草の匂いだけを残して


耳に残る在りし日の歌声

音の連なりに乗せられた思いも 言葉も

心をすり抜けて消えていくだけの過去

その花の色も手触りも 思い出からすり抜けても

その花の名前を今はまだ覚えている



霧の満ちる枯葉散り敷く森で

その実の名前を問う

問う者も応える者もない

深い闇の夜に

道ひとつなく 宿さえもない

衣を濡らす露だけが染み入る

枯葉のささやきだけを残して


耳に残る在りし日の歌声

音の連なりに乗せられた思いも 言葉も

心をすり抜けて消えていくだけの過去

その実の色も香りも 思い出からすり抜けても

その実の名前を今はまだ覚えている



雪の降りしきる夜に

君の問う声がする

その種はいつ芽吹くのか

その種はどんな花なのか

その種はどんな実なのか

降り積もる雪に覆われても

いつか見た空の青

真昼の月

紺青の空に散る星と明るく滲む満月

思い出の欠片は凍り付いた土の下にあるから


思い出の中でだけ呼び掛ける

その花の名前を

今はまだ覚えている

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