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【書籍化作品】究極無敵爆裂防衛戦隊なんちゃらファイブ  作者: 硫化鉄
第一話 飛び出せ! 春の新戦隊!
5/8

「正義の……心……?」


 だが次郎の心には響いていたようだ。意外。


「そう。

 先日君は、人ごみの中で必死にアンケートを取っているかわいそうな中年男性を見かけたはずだ」


 長官が重々しく語り始めた。次郎が選ばれた理由を……。


「ええ。アンケートに答えましたけど……」


 そのアンケートとは一体……。次郎の運命を変え、地球を救う事になる全ての始まり。そのアンケートとは……?


「通りすがるみなが無視して通る中、君はそのアンケートに協力した!」


「ここで70ポイント!」


 美優が人差し指を立てて言った。一体何のポイントなのか。


「変なアンケートだった……。

 ただ一問、『明日地球が滅亡するとしたら?』

 なんて書いたっけ……?」


 次郎は自分の答えを思い出そうと考え込んだ。あまりよく考えずに答えてしまったためすっかり忘れていたのだ。

 てゆうかそんな忘れてしまうような回答が、この運命を呼び込む決め手になったというのか。


「わからぬのなら、今もう一度考えて答えを出せば良い」


 ダークメイスンが厳かな声で言った。無意識に回答した答えを再現するならその方法しかないのかもしれないが、もしその答えが前と違ったらどうしようというのか。


「今一度問う。『明日地球が滅亡するとしたら?』

 さぁ答えよ!」


 ダークメイスンは目をカッと見開いて次郎を見据えた。いやぁ怖い。怖いんですけど。次郎も完全に怯えている。


「な、なんなんですか一体……。

 んーーーーー。

 明日地球が滅亡したら……?

 えーと、うーん……。

 ……こ、困る」


「それだぁぁぁぁ!」


 長官が急に大声を出した。どうした突然。


「は……はい?」


 次郎がかなり引いた感じになって聞き返すのも無理はない。


「『困る』!

 そうだ! 困るのだ! その答えこそが、我々の望む答え!」


「これで99930ポイント!」


 美優が人差し指を立てて言った。随分半端なポイントだな。


「以上、見事10万ポイントを獲得した君に白羽の矢が立った!

 君しかいないのだ!」


 長官がドヤ顔でヒゲを弾いた。いや、胡散臭い。胡散臭いぞ。胡散臭きこと山の如しだ。


「で、でも、改造とかしなくても、変身すれば強くなるんじゃないですか?

 強化スーツの力とかなんかで!」


 まぁ大抵の戦隊はそんな感じの設定……なような気はする。いや、戦隊によってまちまちか。

 やっぱりむしろ、純粋にスーツの力だけで強くなっている戦隊はなかった気もするぞ、次郎。


「さっきも言ったじゃん。

 スーツはただの制服だってば」


 ほら、美優も言ってる。


「じゃあ、どうしても改造しなきゃならないんですか?

 体は機械になっちゃうんですか?」


 最早次郎は涙目になっていた。まぁ言ってみれば、世界の命運を人質に脅迫されているようなものである。無理もないっちゃあ無理もない。


「手首から先や顔など、人目に触れるところについては、見た目や触った感じでは一切わからないようにするから安心したまえ!」


 むしろ人目につかないところはメカニカルボディのままという事か。つまり、次郎はこのまま一生童t……。


「夏でも長袖着なきゃいけないけど、そのくらいは我慢してね、暑さは感じないから」


 美優があっけらかんと言った。自分は思いっきりヘソ出ししている癖に。あ、いや、そのヘソ出しはやめてもらうと困るけど。


「それじゃなんか僕、タトゥー入れまくってる人みたいじゃないですか!

 サウナとかプールとかもいけなくなっちゃうし……」


 次郎はその後の言葉を飲み込んだ。いやもちろん次郎としては、最も問題視せざるを得ないのは、自分が一生童t……。


「プールにいけないのと、地球が滅亡するのは、どちらが困るのだ?」


 ダークメイスンよ。その二択はずるい。さすがにかわいそうだ。そんな聞き方で、次郎の一生を決定させて良い筈がない。

 なんて、単なる筆者(ひっしゃ)である筆者(わたし)が野暮な事を言うわけにもいくまいなぁ。


「……地球の、滅亡、です……」


 まぁ、そう答える他ないわな。滅亡したらプールもなくなるわけだし。


「では、決まりだ!」


 長官は満足げにうなずくと、ポケットから携帯端末を取り出した。単なるスマートフォンにしか見えないが気のせいだろう。

 ピポパ、といかにもありがちな音を立てて、長官はどこかをコールした。


「あーもしもし。私だ。例の改造手術の準備を開始してくれ」


 ピッ、と音を立てて通話切断。


「メイスン君。手術はよろしく頼む」


 長官はダークメイスンに顔を向けて言った。いや、それにしても早速すぎはしないか。


「はぁーい!かしこまりマーシター♪」


「やったね長官! 頼もしいメンバーが増えたね!」


 仲間が増えたとはしゃぐダークメイスンと美優。


「え? け、決定なんですか? お、俺の意思は?」


 もう既に筆者(わたし)から見ても無駄としか思えない次郎の抗議。地球滅亡の危機の前では、一介のNeetいやフリーターの意志などは問題にならないのだ。


「はいはい、地球の存亡がかかってるんだし、文句言わないのー」


 ほらね。美優も言っている。


「でも、でもなんなんですかこの組織は!

 国連とか言ってましたけど本当なんですか!?」


 次郎は最後の反撃に出た。確かに『地球滅亡の危機』自体に疑義があるなら、魔改造手術を拒否する事も可能だ。


「そうだな。メンバーについてはわかってもらえたと思うが、組織についてはまだだったな。

 よし、この組織については、次回に説明しよう」


 長官はあっさりと答えた。


「じ、次回??」


 そうだ。次回ってなんだ次回って。メタ的発言は筆者(わたし)の特権だぞ。


「次回は、更なる波乱が巻き起こる……。

 と、予知してみましたぁ~♪」


 だから! メタ発言は筆者(わたし)の特権だってば!


 ……と、とにかく、地球の危機はすぐそこまで迫って来ていた。

 果たして次郎の運命は?

 そして、「春の新戦隊」の全貌とは……?


 戦え次郎! 地球の平和のために。

【次回予告】



長官

 次回予告!


次郎

 迫り来る改造手術の時。一体この「春の新戦隊」の正体は?

 そして僕は本当に改造されてしまうのか?


Dメイスン

 そうだ。そういえば戦隊の名前、まだレッドには伝えてなかったな。


美優

 ジロちゃんのコードネームもまだ内緒みたいだしねー。


次郎

 も、もしかしてまだ決まってないとか?


長官

 そ、そんなことはない。

 ちゃんと決まっているに決まっている。


美優

 ややこしい言い方ね。バカなの?


長官

 ええいうるさい!

 次回! 【究極無敵爆裂防衛戦隊なんちゃらファイブ】

 「新生レッド誕生!」



美優

 戦隊名ながっ! しかもテキトー!!


Dメイスン

 俺は知っている。このタイトルに隠された深い事情……。


次郎

 あー、やっぱ僕、改造されるのかぁ……。


美優

 サブタイトルでネタバレしちゃうのは、お約束だよね!


長官

 うむ!


次郎

 ……ってか、ファイブなのに三人?? なんで?

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