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コンビニ事件簿!?  作者: 渡井 彩加
酔っぱらい事件簿!?
1/9

1.酔っぱらい事件簿!?




ここは、とある町の一角にある「ACマート」。


今日も元気よく営業中です!








「いらっしゃいませ~!」


-…私の名前は篠原友里しのはら ゆうり。大学二年生。このACマートのアルバイト店員。今日も一日頑張って働くぞ!!

 

 私が気合いを入れる為にガッツポーズをすると、隣から

「気合い入ってるねぇ、篠原さん」と突っ込まれた。

「店長はいつも通りやる気無さそうですねぇ」

「何言ってるんだ。俺はいつもやる気十分だよ~?…じゃ、休憩行ってくるわ」

「今出勤したばっかですよ!?やる気ないじゃないですか!」

この隣でやる気ゼロで立っているのは、店長の島田涼しまだ りょう店長。35歳。

「おい。何、年齢までバラしてんだ」

「あ、聞こえてました?いいじゃないですかー。店長の年齢なんてみんな興味ないからすぐ忘れますよー」

「なら、余計言う必要なかったんじゃねぇか」

 あー、うるさい。無視無視。

 とにかくやる気ない店長だが、ガンプラを集めるために働いているらしい。…やる気のない理由だなぁ。

「何言ってんだ。宇宙一最高な理由じゃねーか」

「地獄耳!?…っていうか、宇宙一やる気ない理由の間違いじゃないですか?それより、あのボロアパートを脱出する方が最高だと思いますよ?」

「学生寮に住んでる奴にボロアパートどうのこうの言われたくねぇよ」

「学生寮でも店長のあのボロアパートよりは立派です」

「んだとコラ」

 一度、店長がケータイを店に忘れて行ったので私が届けに店長の家まで行った事があるのだが…その時に衝撃を受けた。

 店長が住んでいるのは木造二階建ての二階のワンルームのボロアパート。その広さ、十畳。キッチン、風呂、トイレは外の共同。

 あれをボロアパートと呼ばずして何と呼ぶ。

 ちなみに肝心(?)なガンプラは十畳の部屋に所狭しと並べられている。

 たぶんあの部屋には布団とちっちゃいちゃぶ台とガンプラしかない。

「もっと広い部屋に住めば、ガンプラをもっと置けますよ?」

「ぐっ…」

「店長秘蔵のDVDももっとまともに隠せますよ?」

「てめっ…その事は掘り返すなっつったろーが!」

「えー、だって堂々とあんなものやこんなものが置いてあるんですもん~。まさか店長にあんな趣味が…」

「…お前、クビな」

「うわー、パワハラだー!」

 まぁ、いつもこんな感じで仕事してます。

 ピンポーン、ピンポーン♪

 あ、お客さま!

「「いらっしゃいませ~!」」

 私と店長は完璧な営業スマイルでお客さまを見た。

 …うん?

「…店長…」

「うん、あれは明らかにおかしいな」

今入ってきたのは60過ぎくらいのおじちゃん何だけど、

なんかフラフラしてるし、挙動不審…。

「…酔ってんのかな?」

「大丈夫何ですかね、あの人…」

 何かヤバそうなんだけど…。


 …って、思ってるそばから。

「何か、入ってすぐ止まっちゃいましたね」

「あんなとこで立ち止まって…」

 入口の真横で止まっちゃって、チャイムがめっちゃピンポンピンポン鳴ってる…。マジうるさいからやめてほしいんだけど、今の問題はそこじゃないか。

「声、掛けますか?」

「うん、ちょっと話しかけてみるか」

「じゃ、宜しくお願いします!」

「俺かよ?!」

「こういうのは男の仕事でしょうが!」

しぶしぶおじちゃんに声を掛けに行く店長。

「あの~、どうかなさいましたか?」

「えぇ?」

「あの~、どうかなさいましたか?大丈夫ですか?」

「えぇぇ?」

「あの!どうかなさいましたか?大丈夫ですか?!」

「何だって?」

「……」

 あ、ダメだ。話通じないやーつだ。

 スタスタとこっちに戻ってくる店長。そして手を差し出された。

「はい、選手交代」

「いや、私でもアレは多分ダメですよ!?」

 話通じねぇのは私も無理だ!

「諦めるのはまだ早い!はい行こう!!」

「えぇー!無理ですってー!」

 店長に背中を押され、仕方ないのでズルズルと話しかけに行くことにした。


「あの~」

「んん?」

「大丈夫ですか?」

「ん…あぁ。オーケーオーケー」

 話通じちゃったよ!

 オーケーオーケーって!本当に大丈夫なのか?!

 店長をちらっと見たら手招きしてるよ。

「…何ですか?」

「お前ならイケるよ!そのまま帰らせるか、買い物するなら買い物させて!」

「マジっすかー」

 やだよ、酒臭いし、何か絡まれそうで怖いよ。

「大丈夫!見守ってるから!」

「おぉーい。おねーちゃーん」

「…呼んでるし」


 まさかのご指名、ありがとうございます。

 このご指名はありがたくないけど。

 やだよー、怖いよー。


「はい!何でしょうか?」

 …って思ってることは顔には出さずに営業スマイルで振り返る私。

我ながら凄いわぁ~。


「…あのなぁ…」

「はい」

「…ちょっとなぁ…」

「はい」

「…飲みすぎてまってなぁ…」

「大丈夫ですか?」

「………」

「あの~?」

「…………」

 わぁい、黙りこくっちゃったよ~!

 どうすればいいのさ、コレ?

 そしていい加減チャイムうるさいよ!

 自動ドアも開いたり閉まったり、忙しそうだよ!

 助けての意味を込めて店長を見たけど、こっちが見た瞬間にそっぽ向きやがった!裏切り者め!!


 さて、他のお客さんも迷惑そうにこっち見てるし、取り敢えずこっから動いて頂こうかしら。

「あの~…」

「……うんっ?」

 今、私に気付いたみたいな反応された。

 さっき話してたよね?どっかにトリップしてたの、今?

「他のお客さまのご迷惑になりますので、ここから動いて頂いてもよろしいでしょうか?」

「あ…あぁ…」

 そう言うが早いが、おじちゃんは動いてくれた。


 …自動ドアの方に、少しだけ。動く方向逆だよ!

 …って、あぁ!自動ドアに手を付いたらダメですよ!危ないですから!!

 自動ドアが動く度に転びそうになるので、それを見かねた店長が遠隔操作で自動ドアを止めた。

 そんな気遣いも大切だけど、それより助けてくれた方が私は嬉しいなぁ…。

「あのぅ、少しだけこっち行きましょうか?」

 おじちゃんの背中に手を当て、優しく端っこの方に誘導しようとした。

 店長は帰らせるか買い物させろって言ったけど、このまま帰らせると危険だよね…。

 取り敢えず端っこにいて貰えれば、他のお客さまのご迷惑にはならないし、

 その後の事は後で考えよう。

 って思ってるのに、おじちゃんは動いてくれない。

 何で?話聞こえてないのかな?またどっかにトリップしてる?

 何度話しかけても反応してくれない。

 …どうしよう…。


「あのなぁ…」

 あ、反応してくれた!?

「はいっ!」

「酒が欲しいんだけど、どこにあるかね?」

 まだ飲むつもりなの、このおじちゃん!?

 さっき飲みすぎたって自分でも言ってたよね?

「お酒はもうやめておいた方が…」

「100円しか持ってないんだけど、買えるかね?」


 …えぇ?

 私の声は聞こえてないの?

 っていうか、所持金100円て。

 さすがに100円の酒はないなぁ…。


「ごめんなさい、ないですねぇ…」

「100円で買えないかね?」

「すいません、100円のお酒はないです」

「100円で買えるお酒持ってきてくれんかね?」

「ですので、100円で買えるお酒はこちらには置いてありません」

「ちょっと、これで買ってきてくれんかね?」


 …………。


-ダメだ。話通じない…。


 おじちゃんと話すことは諦め、店長に助けを求めようとカウンターの方に戻ろうとした矢先、おじちゃんに呼び止められた。


「あのなぁ…」

「はい」

「うちに孫がいるんだがなぁ…これがこれが可愛くてなぁ…」

「…はい?」

「頭もいいし、出来た子だぁ…」

「そうなんですかー」

「……」


 何か孫自慢された…。そしてまた黙りこくってしまった……


 再び店長に助けを求めようとカウンターへ向かおうとすると、また

「あのなぁ…」と呼び止められ、

「孫がいるんだがなぁ…」

 孫の自慢話された…。

 ダメだ!もう私の手には終えん!!


「てーんーちょおぉぉ!!」

「なんだなんだ」

「もぉ私には何とも出来ません!何とかして下さい!!」

「…わかった。んじゃ、ラストミッション。名前と電話番号聞いてこい。で、後は家族に迎えに来てもらおうじゃないか」

「ラストミッションが難易度ハードすぎる!!」

「おまえなら出来る。頼むな」

「この人でなし!!」


 ひどい。ひどい店長だ。

 話が通じない相手に電話番号なんざ聞けるか?

 ……とか思いながらチャレンジしにいく私。

 凄くない!?


「あの~」

「……うん?」

 よし、第一関門「気付いて貰う」突破!!

 さて、第二関門といきますか。

「お名前お教え願えますか?」

「……名前?」

 よしよし、私の話は聞こえてる!

「はい、お名前お願いします」

「…山田」

 よっしゃあ!第二関門突破!!

 さて、後は電話番号を聞き出せれば…。

「では、山田さん。電話番号をお教え願えませんでしょうか?」

「電話番号……?」

「はい。お家の電話番号教えて下さい」

「……何だったかな…?」

 やっぱり一筋縄では行かないかな…?

「わかりませんか?」

「電話番号……あぁ、確か・・・・・・・・・だったな」

!!

 何てこと。

 ラストミッション、意外と難易度イージーだったわ。

「ありがとうございます!」

さて、後は電話を掛けるだけ♪


 …とか思った私を馬鹿と呼んで下さい。

『この電話番号は現在使われておりません……』

 何てこった!!

「店長~」

「電話番号、間違えてねぇか?」

「さっき急いでメモしたからこれであってる……何回掛けてもダメ。」

「もっかい聞いてきたら?」

「そうですね」

てことで、再チャレンジ。

「あの~…」

「……」

 ダメだ!トリップモードに入ってる!!

「山田さーん。聞こえますかー?」

「わしゃ今田だ……」


!?!?


 さっきと言ってることちがーう!!

 でも、一応気付いて貰えたみたい?

「で、では今田さん。すみません、先程もお伺いしましたが、電話番号をもう一度お教え願えませんでしょうか?」

「ん?……あぁ、・・・・・・・・・・だな…」

 …待って。

 コレも全然ちがーう!!

「あ、ありがとうございます…」

と、取り敢えずコレで掛けてみよう!


『はい、こちら○○テレフォンショッピング…』

 ガチャン。


「てーんーちょおぉぉ!」

「頑張れ…」

 何でテレフォンショッピングの電話番号なんか教えてくれてんだよ。

 何も注文しないよ!?


 その後も鬼畜店長に「もう一回」って言われて、何度かアタックを掛けてみたけど、ことごとく玉砕。

 名前は聞くたびに違うし、

 電話番号は大体『この電話番号は現在…(以下略)』だし、

 違うと思ったらテレフォンショッピング。

 どういうことだ。


「も……無理です。心折れそうです」

「よしよし、よく頑張った」

「あとでデザート奢って下さい~」

「わかった。後で新作デザート奢ってやる」

 わかります?

 いつもなら「お前に新作デザート奢るくらいなら新作のガンプラ買うわ!」って言う人なんですよ、この店長は。

 なのに、こんなあっさり「新作デザートおごってやる」って言うって、どんだけヤバイの。

 私としてはラッキーだけど。


「んじゃ、あとは俺に任せとけ」

「何か秘策でもあるんですか!?」

「あぁ、あまりこの手段は望ましくないんだけどな…」

 え、なになに?店長の秘策って!

 まさか、長年コンビニで勤めてきたなかで、培ってきた酔っ払い対策法でもあるのかしら?

 楽しみ~……。



「あー、もしもし。警察ですか?」


 って、警察かよ!!

 結局自分では何もしないのか……。

 他力本願という言葉は店長の為にある言葉のような気がする。

というか、最初からその手段を使ってくれたら助かったんだけどなぁ…。

「だから言っただろ。あまり使いたくない手段だって」

「何でですか?あ、店長が前科持ちだからですか!?」

「違うわ!俺は前科ナシの善良な国民だよ!!

…コンビニに警察が停まってたら何か事件?とか思われるだろ。そしたら、下手したら信用なくなるかもしれないからな」

「あ、大丈夫です。店長が店長ってだけでお店の信用ないですから」

「お前、言わせておけば…」

「あ、警察来ましたよ。ついでにパワハラと違法の秘蔵DVD所持の疑いで店長も逮捕してもらいましょうかー」

「お前、まだそれ引っ張るのか!いい加減忘れろ!!そしてあれはちゃんと合法だ!」

「え、合法だったんですか!?」

「名誉毀損でお前も逮捕されろ」

「店長と一緒に牢屋行きなんてまっぴらごめんですよ」

「俺も嫌だわ!」


…さて、あとは警察の方にお任せしましょうか。



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