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消された少女は復讐を誓いつつ、第三の生活を送りたい!  作者: 米好美緒
少女が消されるまで
6/10

神話終戦祭 1



「ルビア、本当はこんなこと頼みたくないんですけど………今回は王都全体の多くの人の命がかかっています。教会は警備がかなり厳しいはず、今までとは危険度は段違いです。それでも、お願いできますか?」


「お嬢様…………心配しなくていいよ、フィア。私の居場所はあなたの隣だけ。無事に終わらせて戻ってくるから、フィアは祭りを成功させてね!今回はたまたまいつもより危険があるだけ。フィアが私を必要としなくなるまで、私の主はフィアだけだから…………また後で、私はフィアが大好きだよ」


「…………はい、また後で。私もルビアのこと、大好きですよ!」


(どうか、何も起こらずに無事で帰って来てください………)

 



 春の訪れを告げる、神話終戦祭。今日は最終日、つまり3日目。


 教会同士の抗争が起こる可能性が高かったが、ユーラスト家が中心となって対策を立てた為、抗争が起こる可能性を3割まで抑えられた。


 だが、確実に何かが起こるとフィレアは思っている。

 何となく、そんな予感がしていた。





 イザンやヒュース、宰相などが騎士団に働きかけ、王都のあちこちに警備の騎士を配置した。


 それでも不安が拭えず、フィレアはルビアにマドレード教会内部に侵入してもらい、もし抗争が起こったらできる限り阻止して欲しいと頼んだ。


 見つかれば公爵令嬢であるフィレアでも大事、教会不法侵入の罪は重い。高度の隠密行動と戦闘能力のあるルビアにしか頼めないことだった。


 ルビアの無事な帰還と祭り中に何も起こらないことを願いながら、フィレアはその場を後にし、家に戻った。




◇◇◇





 神話終戦祭は王家と高位貴族、教会が協力して主催する神話の大戦、その終戦を祝う祭りだ。


 しかし、たいていの貴族や教会にとっては自らの力や繁栄を民や王家、他の貴族に示す祭りと成り下がっているのが現状だ。


 それでも、民にとって年に一度の祭りであり、祭りを主催しない下位貴族も平民に扮して楽しんでいる。




 祭りは昼から日が沈むまで行われるので、三日間ずっと続けて行われる訳ではない。南の門から王城前の広場まで露店が並び、他国からの客や冒険者が多く来る。


 日没前になると人々が広場に集まり、音楽が演奏され、手を取り合って踊る。日没と同時に王城と全ての教会の鐘がなり、祭りが終わる。

 だが、三日目は少し違う。手を取り合い踊った後で、眠りについた神々に終戦の感謝や祈りを捧げる。






 フィレアは今年も主催する側であり、抗争の件もあって、例年よりも更に忙しい。


 そして今、フィレアは王城に来ていた。しかし、城の中には入らずフィレアを乗せてきた馬車以外のユーラスト家の馬車へ移動した。


 王城にはイザンの私室がある。だが、ヒュースやアリアと合流しなければならないため、イザンは馬車の中で待機していたのだ。






「お父様、遅れてすみません。馬車置き場が広くて、家の馬車を見つけるのに時間がかかってしまいました!」


「そうか、まあ仕方ない。去年は登城しなかったからな。ヒュースはダリューク様と最終日の打ち合わせ、アリアもここでの夜会の準備があり、二人とも少し遅くなるらしい。フィレアはこちらの書類を手伝ってくれ、もうそろそろ祭りが始まるからな」


「はい!」


「ふぅ、今日は忙しくなるな………」






 何分か経って、馬車のなかでの不思議な書類仕事が終わった。

 合流したヒュースとアリアは、馬車の中で行われていた書類仕事の形跡を見て、顔が引き攣っていた。





 そして、最終日の城の鐘が鳴った。

 






 それは最後の祭りの始まりを告げていた。


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