表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

摘まみ食いはやめました。

 


 穴から出た俺は早くも心が折れかかっていた。


 獲物を見つけるまでは良かった。

 気配感知は他の生物の方向や距離、さらには曖昧にだが強さまで教えてくれた。

 正直LV.1のスキルがこんなに役立って良いのかと思うレベルだ。


 気配感知を便りに魔物の群れを迂回し、単体で動いている弱そうなやつを見つける。

 うん、そこまではよかった。


 岩影からそいつを確認する。


『蟻』


 あー蟷螂のときも『蟷螂』って健気に教えてくれてたっけ...役に立たねえ。


 にしても、今から俺はあれと戦って...食べるの?

 蟷螂のときはしっかり見てる余裕なんてなかったからあまり気にならなかったけど、自分よりでかい虫って蟻でも超キモい。

 いやムリムリムリ、あれ食べるくらいだったら死を選ぶわ。

 ...失言でした、そんなこと言っちゃダメだよね。


 うぅ、でもあれはちょっと...もうちょいハードル低いのいないのかなあ。

 でもさっきちらっと見えたのゲジゲジとかゴキブリっぽいのだったよな。

 それを考えると蟻の方がマシかあ。

 ...俺はやればできる子...と言われてきた。

 なら今がやるとき!


 岩影から出てこそこそと背後から近づいていく。

 十分に近づいたところで術式を展開し「小火弾」を準備する。

 魔力の反応で気づかれるかと思ったがそうでもないらしい。

 なので一気に接近し振り返ったところに口の中を狙ってシュート!


 おらどうだ!

 長年バスケやってたからシュートは得意なんだよ!

 ってあちっあっちゃちゃちゃ。


 あいつ振り返り様に酸みたいなのぶっかけてきやがった。

 じくじくして痛い。


 しかし相手はもう頭部の下半分ほどが吹き飛んで、動いてはいるがふらふらだ。


 とりあえずもう一発頭に食らわせておこうか。

 追い討ちは基本だって何かで聞いたもの。


 二発目の「小火弾」で完全に頭部を失った蟻は、しばらく動いていたがすぐに倒れた。


 思ったよりあっさり倒せたけど、俺の魔法能力ってやっぱりこの辺りの魔物と比べると少しは高いのかな?


『経験値を獲得しました。

 レッサーリトルリザードのレベルがLV.1からLV.3へ上昇しました。

 [鑑定]がLV.1からLV.2へ上昇しました。

 [気配感知]がLV.1からLV.2へ上昇しました。

 [HP自動回復]がLv.2からLv.3へ上昇しました。

 スキルポイントを獲得しました。』


 やった、レベルアップした!

 HP自動回復もレベルアップしたから溶けた体と千切れてまだ治ってない尻尾の治りも早まるかな。

 レベル上がったら回復とかあればいいのに。


 さてと、警戒はしてるけど周りの魔物が寄ってくるかもしれないしちゃちゃっと食べるか。

 ...食べたくないなあ。

 でもお腹空いてるのは確かなんだよな...餓死は嫌だし...。


 意を決し心を無にして食べ始める。


 ぐぅ、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。

 あれでも気持ち悪くて吐きそうだけど味自体はたべられないほどじゃないっていうか、いや不味いは不味いんだが。

 何て言うか...日をおきすぎて酸っぱくなった蟹みたいな。

 なんでそんな例えなんだって?

 冷蔵庫に入ってたから摘まみ食いしたら、ね。

 すぐ吐いたからお腹壊したりはしなかったけど。


『[状態異常耐性]がLV.3からLV.4へ上昇しました。』


 おっと、やっぱり酸っぱいのって酸でしたか。

 そういえばさっき気配感知と鑑定もレベルアップしてたっけ。

 気配感知は精度が若干上がってるのがわかるけど、鑑定はどんな感じかな。


『ミュトス大迷宮の壁』


 ミュトス大迷宮って...ここそんな大層な場所だったのか。

 ...え、出れるの俺?


 と、大迷宮の部分に注目していると、さらに鑑定結果が出てきた。


『禁忌を犯した人類に天罰を与えんとした神に反逆した七人の大罪人が作った迷宮。

 迷宮が全て消えたとき、魔物は滅び人類は救済されると言われる。』


 おお、二重に鑑定なんてできたのか。

 これは大きな発見だな、後でステータスも全部鑑定し直さないと。


 ...しかしどことなく胡散臭いなこの文。

 どこが、何でって言われると答えられないし変なところはないように思えるけど...。

 てか鑑定の文って誰が書いてるんだ?

 小説読むたびに不思議に思ってたんだが現実になるとますます不思議だよな。

 ...なんか世界の秘密に迫ってる感が。


 まあ考えても分からないからいいか。

 本当かどうか知らんけど迷宮が消えたら魔物が滅びるなら俺は迷宮を守らなきゃならん側ということだけ覚えておこう。




上層には魔法使う魔物があまりいないので抵抗が高い必要がなく蟻の魔法抵抗は一桁です。おと火にもとても弱いです。虫だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ