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こちょこちょ作戦です!

 アリスと出会った後の帰り道。


 「うふふっ、アリスちゃん、中々強そうで素敵だったわぁ。」


 上機嫌なカトレアに対して透は何ともいえない表情で。

 

 「……お前アリスに会うために俺を起こしてまで買い物に連れてったんだろ。」


 今回の買い物の理由、恐らくそれだと確信を持っていえる。


 カトレアは何故かまでは分からないがアリスに接触するためにわざわざ透を起こしてまで買い物に出かけたのだ。

 エイダもアリスと一応面識があるが透の方がより自然に近づけると判断したのだろう。

 そもそも昨日食料を買い込んだばかりなので今日も食料調達の為に町に出かけるのおかしい話だ。


 「あらぁ分かちゃった?そう。正解よぉ。」


 「その為に起こされてもなぁ。」


 「まぁまぁ、これも諜報活動の一つと思ってね?」


 どうにも腑に落ちないが今回の件はここまでにしておこうか。


 そんなやり取りをしている間にアジトへ到着。


 今頃エイダとスピカは何をやっているのだろうか。


 出かける前には姿は見えなかったが。


 「ただいま。」


 両手に食材がパンパンに詰まった袋をぶら下げているが器用に手を使いドアを開ける。


 すると。


 「うわっ!臭ぇ!!」


 ドアを開けた瞬間ブワっと悪臭が鼻を刺した。

 この匂い、例えるなら腐った卵の匂いだろうか。理科の実験で嗅いだ事のある硫黄の匂いにそっくりだ。


 「……おかえり。」


 リビングの奥からスピカがドンヨリとした顔で出迎えてくれた。

 スピカからも硫黄臭が漂っている。


 「臭ぇっ!一体何してたんだよ!?」


 透が刺激臭に鼻を摘みながら。


 するとスピカが頭を搔いてから。


 「ちょっと物を作ってたんだよ。作戦に必要でさ。……ある程度の個数が出来たんだけどその内の一つをエイダが落としてね。」


 「何作ってたかは知らないけど臭ぇよ!換気換気!……つかエイダは?」


 スピカに訪ねると彼女は指でリビングの奥を指す。


 そこには数個の球体の何かとエイダが横たわっていた。


 「あの強烈な匂いを直で喰らったからね。気絶してるんじゃないかな?」


 呑気にそう言いながら自分の腕の匂いをクンクンと嗅いでいるスピカ。

 やはり臭うようでウェっと顔をしかめた。


 そんなスピカに対してカトレアが。


 「どうやら完成した見たいね。例の物は。…………でもちゃんとお片付けなくちゃ駄目じゃない?」


 ゴゴゴゴゴっと効果音が付きそうな威圧的なオーラを放ち、先程の店主に向けたような眼差しでスピカを見据える。


 「は、はぁーい。」


 目を泳がせながらいそいそとモップとバケツを取り出し掃除を始めるスピア。


 「トオル君も掃除手伝ってね?」


 「はぁあ?なんで俺が手伝いなんか」


 「手伝ってね?」


 「はい……。」


 カトレアの威圧に萎縮し何故か透も掃除を手伝う羽目に。


 彼女はそのまま透から鞄を預かりそのまま食料を蓄えておく貯蔵庫へ向かった。


 向かったのを見てからスピカが透に近づいて。


 「ねぇ、何か良い事あったの?カトレア超ご機嫌じゃん。」


 「ん?まぁキノコが無料(ただ)で貰えたりアリス、いや俺がこの前会った王都の師団長に会ったくらいだな。」


 「ふぅーん。カトレアがご機嫌になるとは、その師団長さん相当強いんだねぇ。」


 実力までは分からないが師団長と聞いて腕前は相当なのは容易に想像できる。

 しかも聞けば領邸の守衛に来ているのだとか。

 出来れば作戦のときには遭遇したくないものだ。


 その後もモップで汚れを掃除するが臭いはそう簡単にはとれず、扉や窓など部屋の至る所を開放して換気している。


 「ふぃー。疲れたよぅ。」


 「なんで俺まで掃除しなきゃならないんだ。」


 愚痴をこぼしながらもモップを持つ手を動かす。


 するとスピカがモップを動かす手を止めて額の汗を拭いながら。


 「ねぇ、そろそろエイダ起こそうか。」


 臭いの中心源で横に伏しているエイダを見ながら。


 「そうだな。おーい!エイダ!」


 「いや待って、もっと面白い方法があるよ。」


 エイダを起こそうとする透を止めてスピカがイタズラっぽい笑みを浮かべた。


 「……何をする気だ?」


 「えへへ、まぁ見てなって。」


 そう言いながらエイダの元へ近づき。


 「えいっ。」


 チラッとエイダの服の裾を(おもむろ)に捲り始める。健康的な肌色と肉付きをしたお腹が呼吸をすると共に上下に動いていた。


 そんなエイダのお腹にスピカが目を光らせてから手をニギニギさせて。


 「ふっふっふ、エイダちゃあ~ん朝ですよぉ。」


 こちょこちょと(くすぐり)り始める。


 こちょこちょ。


 「ん、んぅーん。」


 少し反応を示した。


 こちょこちょ。


 「うぅーん、ふふっくすぐったいな。猫ちゃん。」


 今度は寝言を一つ。どうやら夢でも見ているようだ。


 こちょこちょ。


 「ん!……くすぐったいってばぁ……。んっんむぅ。」


 少し甘い声で漏れる。……なんだか見てはいけない物を見ているような……。


 こちょこちょ。


 「んぅ……くすぐったいって。くすぐったいからぁ。駄目だってぇ……。…………ってあれ?」


 ここで目を覚ましたエイダ。スピカはシュバっとモップを掴み何気ない顔で掃除を始めた。


 「あれ?あたし何してたんだ?……ってこれは?」


 辺りをキョロキョロ確認し自分の衣服がはだけているのに気がついた。


 そして透をジト目で睨み付け。


 「……お前か?」


 「いや、違うって!スピカだって!」


 しかしスピカはまるで自分は関わっていかのようにせっせとモップで床を拭いている。


 「……やっぱりお前じゃねーか!!!馬鹿野郎がっ!!!」


 目にも留まらぬ速さでエイダの左拳が透に襲い掛かる。


 「ふがしっ!」


 それをモロに喰らいぶっ飛ぶ透。


 ドシーンと透が倒れる音がドアなど開放されているリビングに響き、森の鳥達は一斉に羽ばたき離散して言った。

どうでもいいですがパジャマ姿のヘソちらっていいですよね。ほんとどうでもいいけど。

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