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ドリームオブスク水

 偵察が終わりその足でアジトに帰り着く透たち。


 「ああ~疲れた。」


 欠伸を一つして背を伸ばすスピカ。そしてそのまま自室へと戻っていった。


 透も欠伸をしながらリビングにあるソファーに寝転がる。


 そこで何か足りない事に気づく、何か成し遂げてない重大な事があるような……。


 「あ、けもみみ触ってねーじゃん。」


 約束していたけもみみ触り放題をまだやってなかった。なんだかしれっと断られた気もするが……そんなのどうでもいい。今すぐスピカの部屋へ行き思う存分もふもふするのだ。


 腕を立ててソファーから起きようとする。待ってろよ、けもみみ。


 いざ参らんとばかりに腕に力を込めてソファーから起きる、だが。


 「あれ?」


 起きようとしたが上手く力が入らずボスンとソファーに再び埋もれる形になってしまった。


 おかしいが無理もないことだ。激動の一日を終えようとした後に偵察に向かい木から落ちたり一夜中闇夜を駆け巡ったのだ。身体はもう限界に来ていた。


 「う、けもみみが……け・も・み・みぃ……。」


 ろくでもないことを口にしながら透は夢の中へと落ちていった。



 こうして透の異世界一日目は幕を閉じた。夜空はすっかり消えうせ、鳥達は朝日に賛歌を歌っていた。



 「ねぇ、トオル恥ずかしいよぉ。こんな格好。」


 スピカが恥ずかしそうに足を組みながらもじもじしている。


 「ぐへへ、中々似合ってるじゃあないか。ほら、手をどかしてごらん?」


 「んにゅう……。」


 言われた通りに組んでいた両手を外す、そこには現れたのは『すぴか』と油性で書かれた文字。


 そう、スピカは今スクール水着、それも旧式を着させられている。


 「撫ででいいとは言ったけどこんな恥ずかしい格好するなんて一言もいってないのに。」


 「でも着てくれたんだろ?ふふっ似合ってるぞ?…………それではさっそく。」


 手をニギニギさせながら。


 「スク水けもみみ娘頂まーす!あ!因みに頂くってのはその他諸々の『行為』も含まれるからなっ!?」


 「もう、トオルのえっち……。」


 恥らうも抵抗はないスピカ、まずは頭を撫でてからその後は……。


 グフフと下賎な笑い声を上げながらじりじりとスピカに近づく。


 素晴らしい、素晴らしいぞ!このシチュエーション!今までの人生こんな事はなかったしこの先も訪れないと思っていた。


 それが今っ!起きている!スク水けもみみ娘が俺の事を受け入れてくれているっ!みたかリア充共よっ!お前らが出来ないことをこの俺が実現してやったぞ!この俺が一夜にしてどんなリア充をも超えたのだっ!!!


 「じゃあまずは約束通り耳から……。」


 興奮して鼻息が荒くなっているがそんなことはもう関係ない!触る!触るぞ!


 「ちょっと待てよ!」


 ドンと一つ大きな足音。振り返るとそこには『えいだ』と書かれたスク水を着用し仁王立ちするエイダがいた。


 「……あたしにこんな格好させて、おまけにスピカに手ぇだそうだぁ?いい度胸してんじゃねーか!」


 激昂するエイダに何時もならふひぃなど間抜けな声を上げて怯む透だが今回は一味違う。


 なぜなら。


 「ふん、どうしたエイダ、そんなにプリプリ怒ってよぉ。そんなにプリプリするくらいだったらおっぱいの一つや二つぷりぷりにしてにした方がいいんじゃあないか。」



 「てんめぇ……絶対ゆるさねぇ!」


 ズカズカ歩きながら透の元へ向かうエイダ。しかしこれにも透は動じず。


 力だ、何故かは分からないが身体の内側からふつふつとマグマの様に力が湧いて来る。なので先程から怒っているエイダを目の前に余裕な態度をとれるのだ。


 「ふふ、向かって来るか。逃げずにこの俺に向かってくると言うのか。ふふっいいだろう。来い!エイダぁ!言っておくが今の俺のパワーは通常の二倍!いや三倍?いや五倍だぁー!!!」


 「おらぁっ!!!」


 飛び掛ってくる透をエイダは切れのある左アッパーで迎撃。


 「グハァっ!?」


 声を吐き地に落ちる透。


 ――何故だ?今の俺は無敵なはず!?


 「てめー、さっきからあたしの事色々いってきやがってよぉ。覚悟は出来てんだろなぁ?」


 ガシっと胸倉(むなぐら)を掴まれ。


 「それに今の俺のパワーは二倍、三倍だぁ?……ゼロは何倍してもゼロだろうがっ!!!」


 「ふひぃ!!!」


 何時も通りの悲鳴を上げた透。それに間髪いれず顔面にひたすら拳を入れる。



 

 「オラオラオラオラオラオラオラッ!!!」


 「ちょっ死ぬって!死ぬって!マジで!」


 「いけいけやっちゃえ!」


 透の声など無視しただひたすら殴り続ける。



 ――痛てぇ、マジで痛てぇ。誰か助けて。








 「うぅ、痛てぇ。痛てぇよ。…………はっ!?」



 ガバっとソファーから起き上がる透。


 ――あれ!?スピカは?エイダは?


 「あらぁ、やっと起きたわね。」


 目の前に広がるのはアジトのリビング、そしてカトレアが立っていた。


 「あれ?俺は一体?」


 訳もわからずただボンヤリとカトレアを見つめる。


 するとカトレアはニコリと微笑んだ後で。


 「ちょっとトオル君に用事があって起こそうとしたんでけど中々起きてくれないからほっぺたツンツンしてみたの。どぉ?いい夢みれた?」


 「夢、だったのか。ふぅー。危うく殴り殺されるところだったぜ。」


 ほっと胸を撫で下ろし先程まで殴り続けられた頬に触れてみる。


 すると。


 「痛っ痛たたたた!!!」


 痛い。殴られたそうに右頬が赤く腫れ上がりジンジンと熱を帯びていた。


 「あらぁごめんなさいね。ちょっと『ツンツン』しすぎたかしらぁ。」


 「ああちくしょう!痛てえええええ!!!!」






 嘆きの咆哮と共に盗賊生活二日目を迎えた。

僕もスク水女子に色々したいです。

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