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第1章 3 戦闘奴隷

「E級は討伐依頼、初心者ダンジョンに入ることが出来ます。ダンジョンは危険ですのでパーティーを組むことをおすすめします」


 はれて冒険者E級になった俺は、メアリーさんから討伐依頼と初心者ダンジョンの説明を聞いている。特に初心者ダンジョンは冒険の夢がつまっており、わくわくが止まらない。ダンジョンはゲームと同じで様々な魔物が潜み、凶悪な罠が仕掛けてあり、宝箱が眠っていることもある。そして、最下層にはボスモンスターが待ち構えて倒すと、ダンジョンをクリアとなって莫大な名誉や財産が手に入いる。まさに冒険の真骨頂!


「この街に知り合いがいません。何か方法はありますか?」


「他のパーティに入るか、奴隷商店で戦闘が出来る奴隷、戦闘奴隷を買うことがあります」


「戦闘奴隷で考えてみます」


 ただ、夢の話は甘くない。単独でダンジョンをクリアしたのも伝説の冒険者ぐらいだ。ダンジョンは基本的に2人以上のパーティで挑むもの。俺の場合、他のパーティに参加する気は無い。何故なら、闇属性との連携がお互いに分からないからだ。俺以外の闇属性の人間には会ったことないし、他人から見ても闇属性との連携がいきなり出来るとも思えない。と言うわけで、異世界ファンタジーの定番の1つである奴隷を買いにいこう。





「ここが奴隷売り場か」


 奴隷。主に犯罪者や仕事が無い人が就職している職業。奴隷になって当然の人もいれば、奴隷のほうが生活が苦しくないと自ら希望する人をもいる。今回俺が買うのは戦闘奴隷。その名の通り、戦闘が出来る奴隷だ。よし、まずはこの店からだ。


「すみません、冒険者のスバルといいます。戦闘奴隷が欲しいです」


「ランクは?」


「E級です」


「初心者に売るものは無いよ」


 いきなり追い出された。一応、お客さんですけど。もう2度と来ないぞ。





「すみません、冒険者のスバルといいます。戦闘奴隷が欲しいです」


「金は?」


「5000ソンぐらいです」


「帰れ! こっちは貧乏人に用はねえ!」


 次の店はお金で判断された。だからと言って、蹴ることは無いでしょう! 周りにはたくさんの奴隷がいる。一緒に戦って欲しかった。


「失礼、頼んでいた奴隷を引き取りにきた」


「マリク店長、領主関係者です」


「これは、これは、執事様! おいお前、早く来い!」


「……サキュバスです。よろしくお願いします……」


「では、10万ソン」


「まいど! これからもご贔屓に頼みます」


 蹴られたお尻が痛い。ここも2度と来ない。俺の次に来た白髪のおじさんには態度を変えて接してやがる。桃色の髪でツインテールの小さい女の子が売られていた。領主か何だか知らないけど、有名な冒険者になったらギャフンと言わせてみせる。次だ、次!





「とほほ、話すら聞いてもらえないか」


 結局、他の店でも駄目だった。戦闘奴隷はお金が高くて冒険者ランクも高い人が優先らしい。E級になったばかりの俺は眼中に無いようだ。悔しいな。


「ん?」


 とぼとぼと歩いていると、何か魔力を感じた。そこは賑やかな街とは違う裏道。俺は感じた魔力を頼りに裏道に行ってみた。奴隷とか関係なく掘り出し物とかあるかな。ちょっとドキドキするな。





「すみません。冒険者のスバルといいます」


「いらっしゃいなの。私の商店は新人から熟練までサービスしているの。試しにこの魔道具はいかが?」


「ありがとうございま、わっ!?」


 いつの間にか市場に着いた。ここはどこだろう。街の賑やかな声もしないし、感じた魔力も途切れちゃった。それで目の前には黄色い仮面を被っている商人さんがいた。声からして女の人みたいで、いきなり現れてびっくり。そしたら、魔道具をくれた。思わず、受け取っちゃったらポンっと爆発。やっちゃった!?


「……へえ、面白い体質なの」


「もしかして、壊れましたか?」


「たまに起こるだけで何も問題ないの。それより、ここに来た目的は?」


「あ、そうでした。実は初心者ダンジョンに行きたいのですが、戦闘奴隷は売ってますか?」


「おすすめの店があるの、ついてくるの」


「ありがとうございます! あの、お名前は?」


「仮面さんと呼んでほしいの」


 仮面さんの魔道具については問題ないみたい、良かった。せっかく知り合ったから戦闘奴隷について聞いてみると、心当たりがあるようだ。さっきのようなお金にうるさい人じゃないことを闇の女神コスモス様に祈ろう。いや、こんなことコスモス様に失礼だ、止めよう。





「……まさか、魔道具の呪いを消滅させるなんて、久々に面白い人間が来たの」


 仮面さんがぶつぶつと呟いていたけど、何だったのかな。





「こんにちはなの、おっさん」


「てめえか。その怪しい仮面は毎度ながら呪われているしか見えないぜ」


「むしろ、呪い大歓迎なの。それより、今日はお客様を連れてきたの」


 仮面さんが禿げたおっちゃんと話している。おっちゃん、頭にすごい傷痕があるけど、ただの商人さんには見えないや。仮面さんも呪いがどうとか言ってる。怖いよ! もしかして、とんでもないところに来ちゃったか俺!?


「し、新米冒険者のスバルです。戦闘奴隷が欲しいです」


「参ったな。戦闘奴隷はこの前大量に売れたから、問題のある奴らしか残っていないぜ。しかも、女ばかりで、それでも良いなら見てこいや」


「ありがとうございます!」


 おっちゃん、ええ人や! 思わず関西弁っぽくなった。少なくとも、さっきの商人達より良い。有名になったらお礼をしよう、もちろん仮面さんにも。男の戦闘奴隷はいないようで、俺も男だから女性を選びたいのは否定しない。早速、戦闘奴隷のいる部屋に向かった。





「坊や、あたしを買ってくれたら何でもしてあげる。夜の運動は大歓迎よ」


「私を買って! 血が私を呼んでいる! うがああああああああ!」


「買え。買わないと、もぐぞ」


 えっと、怖いです。牢屋に入っている女性が俺を色んな意味で狙ってます。邪な気持ちが少しあったけど消えました。戦闘奴隷の女性は露出が高いけど、シャドウサーチを使ってないのに魔力の雰囲気が歪んでいると感じた。ここは駄目かな、せっかく初心者の俺でも入れたのにな。


「次が最後だ」


「…………」


「おっちゃん、この人ください」


「良いのか、そいつは主人を傷つける奴だぜ」


 俺は最後の女性を見た瞬間、見とれてしまった。紫髪、褐色肌、引き締まった身体に紫のタンクトップを盛り上げる大きくて形も良い豊かな胸。紫のホットパンツからはみ出るムチムチした太もも。ここまでならどこにでも居そうだけど、他の人とは違う特徴があった。耳が横に長く尖っている。この女性はダークエルフだった。いつの間にか、買うことを口から出しており、ダークエルフの眼に奪われている俺がいた。


「大丈夫です」


「気をつけな、戦闘奴隷は戦闘を許されているから主人への攻撃は可能だぜ」


「分かりました。お支払お願いします」


「どうせ、いつものように帰ってくるから初心者サービスで安く売ってやるよ。名前はミランダだ」


「あ、ありがとうございます!」


 俺は戦闘奴隷ダークエルフを買った。戦闘奴隷はおっちゃんの言う通り、攻撃が認められており、主人がいる奴隷には奴隷腕輪を着けてある。戦闘奴隷を完全制限できる奴隷首輪というのもあるらしいけど、ダンジョンからしか見つからない超レア物。俺には関係ない話だ。ちなみに腕輪は黄色、首輪は赤色で非常に目立つぞ。

 それより、ダークエルフの名前はミランダ。奴隷腕輪を着けて、俺を睨み付けているけど、怪しい言葉を話していた他の戦闘奴隷達よりマシだよ。そして、おっちゃんがええ人すぎる! 安くしてくれた! コスモス様、このおっちゃんに良いことしてあげてください! ありがとう、おっちゃん!


「これで契約だ。奴隷腕輪は契約者の命が落ちた時や専用の魔道具でしか解除できない。せいぜい、気を付けな」


 ミランダとの契約は奴隷腕輪に契約者の魔力を込めて奴隷に着けること。ちなみにおっちゃんの名前はアレックスさん。色んな物を売ってる雑貨商人で渋いね!





「よろしくね、ミランダ」


「…………よろしく、マスター」


 闇属性の人間とダークエルフ。これが俺とミランダとの出会いだった。

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