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1-1

事前プロット書き置きなしのぶっつけ本番です

 このお話はここで終わりです。

 はい。

 今まさに俺の命は尽きようとしている。

 否、ここで運良くチート能力に覚醒して目の前の暴漢、もとい不良男を殴り倒せたならもしかすると生き延びられるかもしれない。

 闇の契約により汝に力を与えようってか?

 どこの主人公だよ俺は。

 俺は腫れた目で目の前の男を睨み付けた。


「おいおい。やる気か?」


 不良の名は村雨亮、ここらでは札付きのヤンキーだ。

 逆らうものは容赦なく叩き潰し、親が警察の有力者であるため警官でさえもほとんど手出しすることはできない。

 ゆえに俺は誰にも助けを求められない。

 もっとも俺を助ける者などいないが。


「てめえ、持ってるコーラ飴早くよこせよ!」


 ばかばかしい話ではあるがこの事件の発端は俺がコンビニでコーラ飴を購入したことにある。

 最後の一個だったそれは彼の手ではなく俺の手の中にあった。

 会計を済ませてコンビニを出たところでこの状況だ。


「飴一つに大人気ないって思わないんですか?」


 負けず嫌いな俺には黙って渡すという選択肢はない。

 俺には飴が必要なのだ。

 相手の手には金属バット。

 方や俺の手には体温で暖かくなったコーラ飴だけだ。

 

「俺はそれが舐めたいんだよ! 文句があるのか?」


 文句はあるが煽って殴られるのも御免こうむりたい。


「じゃあこうしましょう。明日までに俺は飴を二つ持ってくる。これでいいでしょう?」


 どうして高校生にもなってこんなガキみたいな交渉をしなければならないのか、甚だ疑問だがこうするより他あるまい。


「舐めやがって! 俺は今舐めたいんだよっ!」


 亮は金属バットを振りかぶって俺の左脇腹を殴った。

 ゴン、という鈍い音がして俺はコンビニの壁に叩きつけられた。

 骨折したかなあ。

 それだと面倒だ。


「…………これくらいで勘弁してくださいよ」

「アァン? なら早く出せよ!」


 先ほどから何度か殴打されているせいでもう意識が朦朧としている。

 右腕はもう動かないし、口からは血が滴っている。

 冗談抜きで死ぬかもしれない。


「久しぶりに鑑別所にでも行ってみるか。案外あそこも居心地は悪くねえしな」


 亮は薄気味悪い笑い声をあげると、バットを大きく上に振りかぶった。


「死ねえ!!」


 俺は静かに目を瞑った。

 少し間があって人が倒れるような音がしたので目を開けると、正面には亮が仰向けで倒れていた。


「な、なんで!」

「それは私のおかげにゃ」


 どこか聞き覚えのある声が上の方から聞こえた。


「お前動けるのかよ!」


 コンビニの屋根の上には白いパンツを見せつけて、スカートをなびかせた美少女、いや美ネコマタが立っていた。

 俺にコーラ飴が必要である理由、コーラ飴を欲していたこの騒動の真の黒幕が現れたのだ。

 全く傷んでいない紫の長髪に色白赤目の、ヒトであれば誰もが惚れてしまうほどの美貌を彼女は備えていた。


「ごくろうだったにゃ。早くそれを私に寄越すにゃ」

「ああ、ほら」


 俺は握りしめていた飴を上に投げた。


「こいつを待ってたんだにゃ!」

「それより……、そんなところに立ってたらパンツ丸見えだぞ」

「にゃ!?」


 ネコマタはまるで軽い段差でも降りるようにヒョイと地面に降りてきた。

 心なしか赤面しているように見える。


「ととと、ところで、お、お前の名前はなんといったかにゃ?」

「俺は不知火拓巳」


 俺は不知火拓巳、ごく普通の平凡な高校生だった。

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