契約のご確認は計画的に
やっと異世界ファンタジーっぽい流れになってきました。
アイさんは真面目な口調である。これは本気だね。異世界ファンタジーとかならお決まりの契約だけど現実でも契約っていっぱいあるよね。これで連帯保証人とかだされたらびっくりだよね。
「・・・嫌か?」
アイさんが不安そうに尋ねてくる。現実逃避してる場合じゃなかったよね。とりあえずどういう契約かを確認しないと。
「すいません。アイさんと契約なら借金以外なら大歓迎なんですが、具体的にはどんな契約なんですか?」
「おお、すまんな。何も話さずに契約しろと言われてもわからんわな」
アイさんの説明によると契約は一心同体になるようなかなりがっつりした契約みたいだ。利点としては、僕が消えた後も僕の精神に依存して行動できるからどこでもついていけるらしい。
つまり現実にもアイさんがくるってことかな?誰にも見えないものに話す僕・・・うん。精神異常者の仲間入りにしかみえないね。
あとは契約は僕主体で行うらしく、全権利は僕が握っているらしい。ただし解除だけはお互いの同意が必要らしくて、僕に圧倒的に有利じゃない?と聞いたら外の世界をみるならこれくらいは当然。だそうだ。
お互いにいろんな意味でメリットとデメリットがあるみたいだね。とりあえず契約金的な物も継続手数料、解除申請料みたいなものも必要ないみたいだ。入会費無料より怖いものはないからね。確認は大事だよ。
「僕としては、別に契約してもいいかな。ほとんど一緒にいることができるくらいのことしかないし」
結構大事なことだけどさくっと決めてしまう僕。うちの家訓は反省はする、ただし後悔はしない。だからね。やらずに悩むよりやって悩むとするよ。
「いいのかの・・じゃあ契約方法じゃが・・まあいきなりいったほうが心配せずに済むじゃろう」
あ。契約の方法を聞くの忘れてた。こういうところがあるからいけないんだよね。ファンタジー的な契約なら力を示せとか血をよこせとか結構スプラッタのが多いよね。指輪にキスするくらいの簡単な契約がいいな。
「じゃあ、いくよ。ゆーくん。しっかり受け止めてね」
そういってアイさんは僕に向かって突っこんできた。なにこれ?受け止めたらいいの?ポタラ合体的な感じの契約なの?
大混乱な僕にきにせずアイさんは突っこんできた。とりあえずしっかり受け止めようとして。衝撃・・・はないね。あれぇ?
「あれ?アイさん?これどうなったの?」
見当たらないアイさんを探して声をかける僕。すると、僕の中から声が聞こえてきた。
「ゆーくんや安心するがよい。すぐに契約は終わるからの。ちょっとまってるとよいぞ」
僕の中から聞こえる声。それよりも契約が進んでいる事のほうがびっくりだ。あれ?僕何も手続き的な事やってないんだけど。すっごく不安なんだけど。
「安心せよ。ゆーくんの中で。中というか精神内で契約を行っておるでな。ゆーくんが嫌なことは無意識化でも契約できないようになっておるよ」
アイさんが安心させるように言ってきた。てか僕の考えてることがわかったの?中にいるんだしわかってもおかしくはない・・・のかな?
考えを見られるってかなり怖いけど。お酒を飲んだ後に気づいたら知らない家で寝てた時くらい怖い。
「契約は無事に完了したの。その指のものが証じゃ」
そういって突然アイさんが目の前にきてびっくりした。そして僕の左手の中指に褐色の石のついた綺麗な指輪がはめられていた。