表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

5.新しい扉

この世界から、紗奈様が元の世界に戻る方法が存在しません。

ですので、紗奈様にこの世界の文字を教えることにしました。

この世界で生きていく以上、この世界の文字が読めることは必要不可欠ですから。


勉強の合間の休憩中、城の中庭で私が給仕して紗奈様がお茶を飲んでゆっくりのんびりくつろいでいました。

そこに、第一王子キュオスティ・アクアマリン様が通りかかりました。

「異世界の巫女か。こんなとこで、茶を飲んで呑気なものだ」

「失礼ながら、第一王子様。勉学の合間の一時の休憩もしてはいけないとはあんまりだと思うのですが」

「フンッ!」

「それと、まさかとは思うのですが、異世界の巫女様の好感度を下げに来たのですか?」

「俺様がそんなことするはずがないだろ、ヴァレンティーナ。俺様に対して、言葉が過ぎるぞ!」

「申し訳ありません。ですが、すべてをこの世界に奪われてこちらの都合で召喚されてきたのです。ご機嫌を取れとは言いませんが、気遣いや心遣いをするのが当然かと」

「遊んでいる言い訳をしたいのか!」

「よく分かりました。何を言っても無駄なのですね。紗奈様、部屋に戻りましょう」

「分かったわ」

「それでは、第一王子様。失礼しますね。それと、『恋をする』ということを軽くお考えにならないように。国王様は簡単におっしゃいましたが、慣れない異世界では難しいことなのですよ」

第一王子様は、紗奈様を睨みつけながらもと来た道を戻っていきました。


「もうっ、最低っ! あのクソ王子。本当に、乙女ゲームの攻略対象なの!?」

「いくら乙女ゲームの世界だと言っても、ここは現実ですから。紗奈様、これを」

私はそう言って、藁人形と五寸釘数本と金槌を渡しました。

「ありがとう。ちょっと、そこの林の中で恨みを込めて藁人形を打ちつけてくる」

「はい、いってらっしゃいませ」

数分後、紗奈様は部屋に戻って来ました。

「完全にスッキリしたわけでもないけど、少しは気分が晴れたわ。それにしても、あのクソ王子をどうにかしないとストレスで禿げてしまうわ」

「そうですね。さっきは、うっかりクソ王子を殺りそうでした」

「ちょっと、ヴァレンティーナ。クソ王子って私が言ったのが移ってる」

「つい...」

私は目を泳がせて視線を逸らしました。

「気持ちは分かるけどねー」

「そうですね」

「そうだ、ヴァレンティーナ。あの、クソ王子をここに呼び出してよ」

「わかりました。第一王子様には、紗奈様が先ほどのことを謝罪したいなどと言ってみますね」

「お願いね」

「はい」


私は、第一王子様のところに行きました。

「第一王子様。先ほどのことを紗奈様が謝罪したいとおっしゃったので、紗奈様のお部屋まで来ていただけますか?」

「フンッ。巫女からこちらに来ればいいだろう!」

「女性には、高貴な方を出迎える用意をしたいという心理をご理解ください。高貴な方を恥ずかしい恰好で出迎えたくないですから」

「それもそうだな。ヴァレンティーナ、案内しろ!」

「わかりました」


私は、紗奈様の部屋をノックしました。

「紗奈様、第一王子様をお連れしました」

「ヴァレンティーナ、下がっていいわ。ありがとう」

「いいえ。第一王子様、ごゆっくりなさってくださいませ」

「フンッ」

紗奈様のお部屋に通ずる廊下の先からは、人が一切入らないように人払いをしています。

うっかり入ろうものなら、制裁を下します。

私は紗奈様のお部屋からかなり離れた位置にいて、人が通らないように立っていました。

残念なことに、ここから先に無理矢理入ろうとする者が全くいませんでした。




数時間後___

私は、紗奈様のお部屋をノックして

「紗奈様、失礼します。終わったのでしょうか?」

「もちろん、入っていいわ」

部屋に入ると、四つん這いになって人間椅子になった第一王子様がいました。

「ちょっと、椅子! 椅子なら、しっかり固定しなさい!」

第一王子様が体勢を崩すごとに、鞭でお尻か顔を叩く紗奈様。

この短時間で、どう調教したのか知りたいものですね。

訊かないですけど。

「Gの職業を親に持つ娘をなめるんじゃないわよ」

「ご苦労様です、紗奈様。しっかり、愛を伝えましたね」

「もちろんよ」

「さっき、美味しいお菓子をもらいましたので、お茶の準備をしますね」

「ありがとう。一仕事した後のお菓子って、美味しいのよね」

紗奈様は、満足そうにお菓子を頬張りました。

さっき、廊下を通りがかった人にお願いしたかいがありましたね。

私は、第一王子様のご様子をスルーして紗奈様の給仕をしました。



第一王子様がこの部屋を出る時に紗奈様は、「明日、来なければどうなるか分かっているわよね」と愛を伝える笑顔で言っていました。

彼はなぜか、怯えて頷いていました。



あと、残りの攻略対象は四人。

頑張って愛を伝えて下さいね、紗奈様。

私は、あとどのような方法で紗奈様が愛を伝えるのか楽しみで仕方ありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ