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輪廻の法則  作者: 卯月夕日
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旅の分岐

四角い空が、今日も輝いている。

少女は白色の壁を見る。そこには無造作にいくつもの線が描かれていた。そして今日も線を付け足す。

四角い空に、白い雲が現れた。

少女は無数に積まれる本の中から分厚い一冊を取り出す。

四角い空が、元に戻る。

少女はその本のページを丁寧にめくってゆく。

「今日も。」

少女はそう言って四角い空を見上げた。


今日は久々の晴れだ。

昨日は少し不思議な夢をみた気がする。内容は、忘れてしまった。

もう一度見上げる空には大きな月と火星が並んでいる。そこから少し離れたところに両者より劣るが、それでも美しく土星が存在している。

砂漠には申し訳程度に草木が生えている。最近降り続いていた雨のおかげか、風は一昨日よりはマシだった。

この砂の大地は一体どこまで続くのか。そんな愚痴にも似た思いを心に浮かばせながら、青年は歩く。

空からの光は雲の切り目から線のように、幾つも大地を照らす。


今の地球は水のほとんどが枯れ、大地の3割は砂の大地と化していた。

海水は7割を占めていて、最近やっと海水を飲料水に戻す技術が整った為に生活には困っていないが、それも沿岸部の地域だけで、大陸の中心の方の地域では水に限りがある。

それもこれも、人間の愚かな行為によって全ては狂わされたのだと、ある人は言っていた。

「……命が欲しいがため、か。」

青年はそんなことを(つぶや)いた。

この世界には特別な力が使える者と、そうでない者の二つが存在していた。しかし、特別な力が使える者は数少なく、またその力のせいで人間からは差別意識を持たれてるのが現実であった。

青年もそんな、差別される運命の1人だった。

少なくとも少し前までは。

「…っ」

頭痛がする。またアレなのか。

青年は一度閉じた視線を戻し、また歩き始めた。

俺は全てを捨てた。名誉も、力も、思い出も、自分の命さえも。

始めは気にするほどでもないと思っていた頭痛が、段々と酷くなってゆく。

これは…やばいな。自分でも流石に命の危険を思った。

意識が薄れてゆく。

俺はまだここで倒れるわけにはいかない。


全ては“自分”のために。

全ては“ソフィ”のために。


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