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戦果報告-後編-


「ひとまず我々の報告は以上ですね、ここまでで何か質問は?」


骨鉄が促すが誰も答える事は無い。

視覚の端でマルサスがソワソワしているのは、おそらく詳細な書類が一刻も早く欲しいのだろう。


「……では、お開きという事で」


「おじ様、訓練しましょう訓練」


「さっき内蔵潰れたでしょう?」


「内部修復は終わっています、早く!

それにさっきのはそこのクソ姫が居なければまだ戦えました」


バンバンバンと地面を叩くリーゼリア、

魔術での修復を行っているとはいえ、

無論体に負荷が掛からないという事は無い。

普通であれば数日寝こむ筈ではあるのだが、そこは流石というべきだろう。


「おう、誰がクソ姫かぶん殴るぞ貴様、というかさっき城の表層ふっ飛ばしただろう!?ウルトラ痛かったぞ!?」


「邪魔をするとは良い覚悟です、許さん、まずは貴方から始末してあげます」


右手に魔力を込め、言祝ぎを紡ぐ。


『祖に蒼き奔流、欲するは我が同胞』


詠唱とともにリーゼリアのフルアーマーが着装され、

目で追えぬ速度で姫を蹴り上げた。


「ガっ!?」


ボールのように弾き飛んだ姫はそのまま城壁を貫通し、

城下町を超えたさらにその向うの草原までバウンドする事なく吹き飛んだ、

無論、常人なら即死である。


ちなみに、先程まで膝枕を堪能していたナナオはリーゼリアが立ち上がった瞬間に、石畳に頭をぶつけ、悶絶しているのだがスルーである。


「セブン、コレとおじさまとの訓練が終わったら一緒にオヤツを食べましょう」


「お、おう」


頭を抑えたまま首を振るナナオ、どうやらかなり痛かったらしい。

如何に彼らが優れた戦士とはいえ、種族的には人間だ。

一撃で潰れるようなダメージを受ければ即死する。

一見すると超人のようだが、体は人間のソレであるという事だろう。


現に、彼らが強い理由は一重にその圧倒的な攻撃性能と、

種族的不利を補う戦闘経験であり、体事態は普通の人間よりも頑丈である程度。

無論魔族等に叶うべくも無い。

だからこそ彼らは最悪でも二人一組として行動するのだ。


もっとも、歴代の大盾と大鎧はその範囲ではないのだが。


「満開痛い……たんこぶできたかも」


自分で頭を撫でながら辺りを見回す。


「せぶん、おはよう、ひさしぶり、げんきしてたか?

つもるはなし、あるけど、いまは、こっちが、たいせつ」


マルサスがそう言いながら骨鉄に近づくと、

より詳細にまとめられた書類を受け取り、

自らの部屋に全力で駆け抜けて行った。


「忙しいな、仕方ないけど」


「セブン、話が」


「………ああ、兄さんには伝えておかないとですね」


二人とも言いたいことは理解している、現状のナナオに関してだ。


「大剣、済まないが席を外してくれ」


大剣はコクリと頷くと、扉の外に歩み出た。

尚、大斧は既にマルサスを追いかけ退出しており、

今この場に居るのは骨鉄と大弓の二人だけである。


「さて……一つ聞きたい、貴方は裏切り者ですか?」


言葉にニヤリと微笑むナナオ。


「答えはNO……といいたい所ですが、YESでもあり、NOでもあります」


「結果的に裏切ったという事ですか?」


「鎧の出処はお察しの通り白銀の世界、しかもアチラ側の者から直接受け取った……対価は此方の世界に存在する『スキル』の詳細データ」


ナナオがそっと、腰にてを掛けると一本の槍矢がその手に握られていた。


「ヒガシさん、正直ね、僕はこの世界がどうなろうと関係ない、

姉さんを……僕の妻を拒んだ世界なぞどうでもいい、滅べばいいとは言わない」


だが……


「2つの世界は少し、痛い目を見るべきだ、増長しすぎだよ、人間」


その槍から一閃が放たれ、室内に大きな傷を作る、

その行為に一切の意味は無い。


「沢山死にますよ」


「僕達が言える事じゃないでしょう、アチラ側の人間なんですから」


「元だよ、七尾八尾ナナオ・ヤオ


「ヒガシさんサラリーマンでしょうが、しかも奥さんまだ向うに居るんでしょ?

こっちで結婚してますがそのあたり大丈夫なんですか?敵に回せます?」


「うっ……」


痛い所を突かれた男が思わず沈黙する。


「美人ですもんねーこっちの奥さん、

そのくせ未だ娘からもらったマフラーも捨てられずに、

そうやって未練たらしくつけてるんですから」


「うっ……ぐぐ……」


「……40超えた今でも週3」


ボソリと呟くナナオの言葉がトドメとなった。


「な、ナナオ君この話はやめよう!ね!?」


「フフフ……まぁ、しっかりと此方も役目は果たしますよ、

龍狩りですし、リゼットは大切な子ですから」


そっと槍を腰に添えると、再び消滅する。


「大弓の名は、返上する気はないんですね」


「姉さんの席はここなので」


無言で壁に開いた大穴に向かい、ゆっくりと、ゆっくりと歩むナナオ。

ふと、何かに気付いたように無詠唱で一律化の鎧着装し、マントを靡かせた。


「沢山、沢山、沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山死んで、

そして万分の1でも弱者の気持ちが分かったならば…………

世界はきっと優しくなれます、姉さんの気持ちが分かります」


壊れた城壁より飛び降りる青年とそれを見送るサラリーマン。


「……そりゃ、自分の奥さんに止め刺したのが自分自身なら、

あそこまで歪みもしますか、幼子に対するそれも……代償行為でしょうに」


世界は、彼にとってどこまでも優しくないらしい。


次はキャラ紹介っぽいの

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