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プロローグ-異世界の日常敵絶望-

この世界アーフには、相手にしてはいけない国が4つ存在すると言われている。

1つは西方の怪物、魔都フーリエに住まう生きる伝説。


元々魔物の領土と人の領土を隔てる大きな城だったが、城主に代々受け継がれていた国王との約束『切り取り自由』を名目に、魔族の領土を1代……それもわずか5年で切りに切り崩し、果てには軍にて魔王を討伐した最強の軍を従える男。


その名は人魔王タルヴォ・シルド。

魔如マジョ・魔物・怪物・魔族・人、あらゆる種族に対し平等を是とするただの人間種。


2つは北方の魔幻、黒き龍狩りの騎士団が守る神聖帝国。

かつて希少な金属が出る山岳を龍より奪ったとされる精兵揃いの兵団。

対龍兵装と呼ばれる龍から作られた特殊な武器を操る騎士団だ。

神聖帝国は力こそ是とし、国で大きな発言力を持つには文字通り力を持ち試練に挑まねばならない。

その中でもっとも過酷な試練が単身での龍の撃破であり。無論、普通であれば龍と戦ったところで勝ち目は無い……普通であればだが。


3つは南方の龍王、白き龍が守る龍騎兵の園。

国というより龍と人とが心を通わせる神殿のような場所であり、心優しき者の最後の楽園であるとも言われている。

かつて住処を追われた龍達は、自分たちを追い払った人間をひどく憎んでいた。

しかし、フラリと現れた人間種に『私に負けた龍は人を憎む事を止めろ』

そう言われ全ての龍はたった一人の男に戦争を挑み……男の前にその巨体を屈した。

以降龍は人々を憎む事をやめ新たな人中が龍王の誕生を大いに祝ったという。


4つは東方の神学院、今年で齢298を迎える大長老トップの魔術学園。

学園と名乗っているがその実態は事実上の国家である。

特徴は全体的能力の高さであるとされており、一人一人が名のある魔術師で扱う技も多種多様、戦場においては機動力の高さと火力で精兵すらを寄せ付けない強さを持つ。

この時点で手が付けられない程強いのだが……もっとも恐ろしいのは大長老である。

乱立していた魔王を討伐する数実に8度、その半数が単身による討伐であり、2年程前にも単身で魔王を撃破している。

自ら放った魔術に飛び乗り地上に雨霰の如く即死級の魔術を振りまく様は、人の形をした兵器と謳われる程である。



正直この一角のどこか一つに喧嘩を売られた時点で即詰みの状態になるのだが、

今回は龍狩りに戦争をふっかけられた哀れな国の様子を見てみようか。



「ゥゥゥウウウ!!!」



一人の中年の男が頭を抱えたまま言葉にならない言葉を発し机に伏す。

無理も無いと言えば無理も無いか。

神聖帝国は眠れる獅子とされ、かの国の尾を少しでも踏むと唐突に戦争を吹っかけて来るとされている。


理由はいろいろあるのだろうが、最近になって周辺国が概ね『コレ』が理由であろうと辺りを付けたのは……


一つ、彼らの目的の移動の邪魔になる国は征服する、

ただしそこまで苛烈でも無い、交渉の余地アリ。


一つ、耕す領地が無くなったら侵略する、

ただし外交もフルに使う併合に近い。


一つ、『タブー』を破る、あるのは殲滅のみ、もはや交渉の余地もない。


彼らが戦争をする主な理由は概ねこの3つ程であろう。

それ以外は基本的に善政を敷き税率も普通、年間に餓死する人も500も居ないと言われている程に農業が盛んであり、農業の聖地とされる。


まぁ、農業の聖地だと呼ばれたり餓死者が極端に少ないのは、龍狩りの一人がトチ狂ったかのように農業に力を注いでいるからなのだが……


まあ、他国で発生したはぐれ龍を討伐したり、他の国でイナゴの大量発生した際に安価で麦を撒いたり等、アニメや漫画でダークなイメージのある帝国と名乗る割にお人好し国家であるが……タブーを破ったとなると話は別だ。


そのタブーとは。


「何処の馬鹿だ!!!簡易英雄召喚術など使用したのは!!」


即席英雄召喚術、あるいは簡易英雄召喚術とよばれる禁術、その術の使用だ。


かつて、この世界を作り上げた白銀の世界から、英雄の素質のある者を呼び出し使役する禁術。

一騎当千の強者をいとも容易く作り出すその禁呪は、使用する触媒こそ貴重な物を使用するが見返りも莫大だ。うまく使えば使用触媒の数百倍以上の利益を上げる事のできる『ソレ』は、大陸にパンデミックの如くに広がり……


『タブー』に手を出した国は火にくべた氷の如く消え去った。


見せしめと言わんばかりに……否、事実見せしめだったのだろう。

龍狩り、あるいは調子にのって4強に戦争を吹っかけた周辺の小国は、焦土と成り果て、その後、農地と化したりした。


尚、洒落では無い。


「クソっ!せめて尖兵が龍狩りの大剣や刀剣ならばっ!!10日は砦で時間を稼げたろうに!!よりにもよって大鎧と大弓だと!?クソッ!たった数刻で……!」


何度も何度も誰に言うでもなく罵倒する。


龍狩りは最大で12人で構成され、今居る龍狩りはそれぞれ、

『刀剣』『大剣』『大弓』『大鎧』『大盾』『骨鉄』『大槍』『大斧』 この8名である。

龍狩りの定員は12名であるがその座に値する者が居ない時は、席を空白として扱う事が決まりである。


話を戻そう。

龍狩りにも皆それぞれ得手不手があるが、その中でも大鎧と大弓の二人は特に攻城戦に長けた2名。


絶対的防御力を誇る大鎧がバリスタだろうと魔法だろうと、その鎧の『威』を持って弾き飛ばし軍を無傷で前進させ、圧倒的施設攻撃能力を持つ大弓が、大槍と見紛うその弓矢を曲射し、城壁を無視した『砲撃』を加え防衛機能と戦意を削ぐ戦術。


この二人を相手取った際、防衛側の利点はほぼ失われると言っても過言ではないだろう。


むしろ城壁内や場内という限られた空間の中を駆けまわり、日夜大弓の砲撃に怯えながら過ごすのは、どのような剛の者であっても正常な精神状態を保つのは難しいのではないだろうか。


「………やるしかないのか」


現状にて勝算があるのは野戦のみ、とはいえ龍狩りの強さは常軌を逸する猛者すらも歯牙にかけぬ文字通りの怪物。

個々の存在が準魔王、あるいは魔王レベルである純龍種に匹敵する。

彼ら率いる兵であっても個々が災害相当である亜龍に匹敵すると言われているのだ、縋るべきはもはや『即席英雄召喚術』しか残されていない。


我々は獅子の尾を踏み抜いてしまったのだ、ならば外法と理解しつつも国家を、民を守る為に縋れる物には縋らねばならない。


叫ぶ男とて人の子だ。

急に別の世界から呼び出され今までの常識の通じぬ場所に放り出される子供に対する情も持ちあわせては居る。


だが……しかし………それでも私は人の子だ………自らの国民と見知らぬ誰かの犠牲、強いるのならば後者に強いる。


「ままならぬな……人間という物は……」


二面性を併せ持ってこその人間であると言い聞かせる。

たとえ悪魔のような所業であっても、私は………。


「私はこの国を支えねばならぬのだから……」


プロローグ先生は話が長いので読み飛ばしてもいいんじゃよ?

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