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一人修業の果てに  作者: EKO
5/6

老婆の能力

「悩んでも仕方ない…そうだ、弟子屈町の温泉へ行ってみるか!」

 そう、自分に言い聞かせると、浮世は足を速めた。

(あの婆さんについては、町の誰かに聞けば分かるかもしれないし、たまには気分転換になるかもしれないな)


その時!

《お待ち!》

浮世の脳裏に、声が聞こえた。

「えっ?」

《思ったより敵は手強い。町へ行けば見つかるぞ、隠れるのじゃ》

 浮世は、大黒天とはまた違うテレパシーを感じた。ここは心で…。

(まさか、あなたは昨夜の婆さん?何故?)

《訳は後で…そのまま目をつぶって》

(ああ…?)

 言われるままに、浮世は目をつぶった。

《動くでない!》

そう言うと、声の主は何かを唱え始めた。

「カムイシュ・テレ・アン・スリープ!」

(…?)

その時、体が浮かぶ感覚を覚えた。

(…え?浮いた?)


次の瞬間、浮世は摩周湖の中島=カムイシュ島に降り立っていた。

「この島は…一般人は確か…」

《その通りじゃ。一般人は摩周湖の湖畔にさえ降りることは禁じられてる。坊やがただ者でないことは出会った時、すぐ分かった…》

「婆さん…」

《坊や、しばしカムイシュ島で眠るがいい》

「でも…この島は…?」

《フフフ、この島にはだれも近付けん。それに…》

「それに…?う…」


挿絵(By みてみん)


 襲いかかった強烈な眠気に抗おうとするが、駄目だった。

「婆さ…ん…だ…め…」

既に眠り始めた浮世は、老婆の腕の中で動かなくなってしまった。

《…それに坊やは、昔、行方不明になった孫に、どこか似てる…暫く眠るがいい…。この島と湖は、カムイヌプリという神様が守ってくれる。敵は来れまい…》


 同じ頃、数機の小型飛行艇が、日本に接近していた。

先頭のやや大きいサイズは、装備も

(これだけ探しても、七福神の気配を感じないとは…大黒天め、何の能力を?)

 天使人類のリーダー・帝釈天は、「二度地獄」の事件より半年後、より強力な組織を編成。四天王など、能力ある人間を洗脳し、世界中の主な首都に基地を建設、さらなる世界支配に乗り出していた。

 あの事件以来、大黒天を始め、七福神の行方を追っていたが、さっぱり手がかりがつかめない。

「どうだ、何か以上あるか?」

「はっ、帝釈天様。この北海道の上空は、霧のかかった湖が見えるだけです」操縦士が答えた。

「霧か…」

「はい。北海道・摩周湖の霧は、結構濃い霧で…」

「そうか…もう少し旋回してみろ」

「はっ」

 先頭の小型飛行艇は、摩周湖上空を旋回し始めた。


挿絵(By みてみん)


(この霧が晴れれば、何か分かるか?)

 帝釈天は、スクリーンを睨みつけながら機器類の反応を窺うが、何の反応もない。

(たかがこれっぽっちの区域。霧のような自然発生に、この私が惑わされるとはな…)

「引き揚げるぞ。全艇、基地へ戻る」

「了解しました」

 小型飛行艇の軍は、ペルシャ湾の基地に向かい、引き揚げていった。


《行ったか…》

 老婆は、カムイシュ島の洞窟に移動すると、浮世を自分の足元に降ろし、毛布をかけてあげた。

《坊や、次に目覚めた時は、時が経っておろう。そして、今去った者との決着をつける時じゃ…。

まだ己の真の力に目覚めてないようじゃが、仲間との出会いで徐々に開花していく…》



 

 



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