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一人修業の果てに  作者: EKO
2/6

釣竿との出会い

挿絵(By みてみん)


 浮世は意識を失うちょっと前、誰かに足を捕まれた気がした。だが、それっきり何も分からなくなってしまった…。


 気がついた時、彼は深い霧の中に横たわっていた。遠方の視界がきかない。

(ここは…?あの世か?やはり、死んでしまったか…悔いは沢山あるが、ここは地獄の入口か?死者なら立てるかな…?)

 意外と、すんなりと立てた。しかも体中縛られてたはずなのに、縄がない!

(そうだよな、死者に縄はなし…でも歩けるかどうか?)

 一歩踏み出してみる。何の事はない、ちゃんと歩けた!しかも、どこも痛くない!

(えっ?)

「そのまま、岩のところまで来い!」

 突然、男の声が、前方から聞こえてきた!

「誰だ?」浮世は思わず、声を出してしまった。

「それは後で。まっすぐくるんだ、浮世…」

 とりあえず、声のする方向へ歩き出した。服はボロボロの状態だが、この際、格好を気にしてる余裕などない。

 声のする方向、前方約500mのところに岩があった。

(よし、行ってやる!)

 まだフラフラするが、天使人類の為に散々やられた状態に較べりゃ、ずっとマシだった。ゆっくりだが、浮世は歩き続けた。

 やがて岩がはっきりと見えてきた。しかも岩は、何かに反射して明るく光っていた。用心し、岩に近付いてみる。

 光の正体が、おぼろげに分かってきた。

「あれは?」

 家の上に、長いものが横たわっていた。それは1本の釣竿!


「それを持ってみるがいい!」

「これを…?」

 浮世は前かがみになり、横たわってる釣竿を両手で握り、持ち上げようとしたが

「うっ…重い!」

 思わず、釣竿を取り落としてしまった。同時に目まいがし、足元がふらついた。

「それで鍛えよ!強くなるんだ、強く…」

「あ…貴方は…ああ…」

 浮世は倒れ、再び意識が遠のいていくのを感じた…。


 ザ~ン、ザザ~ン―――

 波の音が聞こえてくる。

「う~ん…?」

 浮世は起き上がってみた。さっきの霧の世界とは打って変わり、ここは砂浜。

 自分が生きているか死んでいるか、それとも夢の中にいるのか、分からなくなってきた。

 とりあえず体を調べてみたが、やはり縄はない。

「ここは…?」 

 砂浜のすぐ背後に、道路標識がおぼろげに見えた。しかも日本語で「一旦停止」と書かれている。

 「日本だ…日本のどこだろう?…三陸海岸?」

(いや、それより…何故、死ねなかったんだ?死んでたら日本だと分かるはずがない!それにあの声…誰かの思し召しか?そして、釣竿…どこだ?)

 釣竿は、浮世の前方に横たわってあった。黄金の光を放っている。


挿絵(By みてみん)


「それを使いこなせた時、訳を話そう!」

「え…?」

 前方を見ると、中肉中背の男が立っていた!格好もちょっと妙だが、もっと変わった点といえば、男の耳たぶが大きいことだった。

「誰だ!?」

 男は去ろうとした。

「待ってくれ!…なんで俺が、釣竿を…」

「それは言えぬ。ただ、その釣竿は、お前にしか使いこなせない…何故ならお前は、恵比須(えびす)だからだ!」

「えびす…?」

「恵比須、死ぬ事など考えるな。お前には、素晴らしい才能があるんだ。忘れるな!今は強くなることだけを肝に命ずるがよい!」

「…貴方の名前は…?」

「大黒天!」 

 そう名乗るや否や、男の姿は消えた。


「……!」

 浮世はしばし呆然としていた。何が何だか訳が分からない。

(何だ、あの男は?俺に、死ぬなと言ったり、この釣竿を使いこなせる才能があると言ったり…?たった2日の間に、色々ありすぎたので、どうかなっちまったかな…)

(だが待てよ!俺がこの重い釣竿を使いこなせたら、あの帝釈天とまともに戦えるのかもしれない!さっきの男の正体も気になるが、修業が先行だ!)

 そう思うと、浮世は少し元気が出てきた。

(まずは休息だ。そして体がある程度回復したら、北へ行こう!そうだな、どうせなら北海道がいい!広いところが修業しやすいし)

 こうして、浮世の一人修業が始まろうとしていた。

 



















































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