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空の青

作者: 上下 和葉

私は思わず目を見開いた。

だって、事故に遭ったのは、君が乗っている筈のバスで。

頬を抓っても、目の前のテレビから流れるニュースは消えてくれなくて。

夢じゃなきゃ、これは何なんだろう。

現実?そんなわけない。

君が居ない現実なんて、有り得ない。

――――ピンポーン

軽快な音で我に返り、玄関まで走る。

ドアを開けると、そこにはいつもの様に笑う君が居た。

「おはよう」

「....おはよう」

「どうしたの?様子がおかしいけど」

「怖い夢を見たの」

「......そっか」

「ちょっと外歩かない?」という君の誘いに、私は迷うこと無く頷いた。

だって断ると、もう二度と君に会えない気がしたから。

だから君の寂しそうな笑顔だって、見ていないフリしたんだ。

「実はさ」

他愛ない話をしながら近所の公園の前まで行った時、君が話しだした。

「実は僕、遠い所に行かなきゃいけないんだ」

「........そうなんだ」

「知ってたの?」

「なんとなく」

「.....そう」

「......どうしても、行かなくちゃいけないんでしょ?」

「....そうなんだ」

本当になんとなくだけど、分かってた。

君が居なくなるって事くらい。

私には止められないって事くらい。

暫く無言で歩く。

ふと、君が振り返った。

「僕が居なきゃ寂しい?」

「...ううん」

「嘘つき」

「..........」

「やっぱり寂しいんだ」

「カマかけたの?」

「うん」

「....嘘つき」

「.....ごめん」

少しの沈黙。

君が大きく息を吸って「でも、」と切り出した。

「君ともっと一緒にいたかった」

「.......」

「これはホント」と苦笑する君。

.......そんなの。

「そんなの、私だって同じだよ」

「私も、もっと君と一緒にいたかった」

「..........」

泣き出す私とそれを見て押し黙る君。

やだなあ。泣きたい訳じゃないのに。

ここで泣いたって、君が行ってしまうことに変わりはないのに。

「じゃあ、待っててあげる」

「......え?」

「向こうに行っても待っててあげる」

「ずっとずっと。何時までも君を待っててあげる」

「君が急いで此方に来る必要は無いんだよ」

「お婆さんになるまで生きて、幸せだなって思いながら毎日を過ごして」

「人生を満喫してから此方に来たって、大丈夫だよ」

ゆっくりと私に微笑みかける君に、目を見開く。

「.........本当に?」

「うん」

「何年掛かるか分からないよ?」

「うん」

「幸せになれるかなんて、分からないよ?」

「うん」

「......君を、忘れちゃうかも知れないんだよ?」

「うん」

「何年掛かったって、僕は待ってるから」

「君が来てくれるのを待ってるから」

「君が僕を忘れちゃったって、何時か会う時が来れば、思い出してくれるって信じてるから」

「だから、ちゃんと幸せになって」

真剣な目で私を見る君に、私は戸惑った。

「....どうして、私のためにそこまでするの?」

「...........それは」

珍しく、君が躊躇する素振りを見せた。

「それは、次に会う時のお楽しみ」

まるで、悪戯っ子の様に笑う君。

「ズルい」

「そうかなぁ」

「ズルいよ」

「そうかもね」

「勝手に居なくなって、平気な顔で待ってる、なんて」

「.....」

「ホントに君は、ズルいね」

「....そうだね」

「でも、そうゆう所が好き」

「えっ」

「嘘だけど」

「...........」

「実は、嘘じゃなかったり」

「どっちだよ....」

「それも、次会う時のお楽しみってことで」

「........君も十分ズルいよ」

「そうかもね」

「ずっと待ってるからね」

「必ず会いに行くからね」

「じゃあ、またね」

「うん、またね」

私は君に手を振った。

君は満足そうに笑って向こう側の道へ去って行った。

私もそのまま真っ直ぐ歩いて、ちょっと進んだ所で足を止め、振り返った。

振り返った先には君の姿はなく、ただ道が広がっていた。

まるで、最初から君なんて居なかったかのように。

私は少し微笑んで、

「ありがとう」

と呟いた。

見上げた空の青が、やっぱりぼやけて見えた。

長い!

もっと短く纏めようとしたんですけど、これ以上は無理でした....。


会話文を主体に書いてみました。

自分の唯一の長所はチャレンジ精神だと思います。

内容が「落ちていく」と似たり寄ったりな感じです。

わざとじゃないんです。無意識です。


次は連載が書けると思います。

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