006.ヒナタとククルとクッキーと
ん……なんじゃか心地よい……
この空気、この撫で方、懐かしい……
「……相棒」
「また相棒さんの夢みてたの?」
「……あぁそうか、お主じゃったかククル。いつもいつも間違えてすまんの。」
「んーん。いっつもヒナタが話してる相棒さんに似てるっていうのはむしろ嬉しいかも。」
今ワシを膝枕しておるのはククル。
何故か空気がそっくりで、いつも相棒と間違えてしまう。
性別も体格も全く違う、同じなのは人間の英雄であることと、職業が魔剣士であることくらいなんじゃがな。
あぁ、不思議とお互いの言葉が通じてしまう点もじゃな。
「そうだヒナタ。今日はクッキー焼いてきたんだ。」
「どれ……うむ、今日のも絶品じゃの。」
ワシがヒナタはここで出会った。
滅多に人のこないここで日向ぼっこをしていたワシに話しかけてきた人間は、相棒を除けばククルくらいじゃったな。
始めは言葉が通じることに驚いていたようじゃった。
そして気づけばあれから半年か。
こうして毎日会って、話したり、昼寝したり、たまに狩りに出たりの日々を過ごしておる。
「ねぇヒナタ。」
「……なんじゃ?」
「私じゃ……あなたの相棒にはなれない?」
ん?確かにククルと一緒にいるのは楽しいし落ち着くが、ワシの相棒はあいつじゃよ。いい加減帰ってこんかの。
「あなたの相棒さんについては、周りからも色々と聞いてる。一年間待ち続けてたってことも。でも、だからこそ、私はあなたの相棒になりたいの。」
そこでチリンとベルが鳴る。
ククルに誰かからメールが届いたようじゃ。
「キリカさんがヒナタ連れて帰ってこいって……この話、考えておいてもらえない?」
よくわからんが、分かったと返事をし、ククルの肩に飛び乗る。
相棒が帰ってきたら、2人と1匹で出かけるのもわるくないの。