003.キリカと斧とチャーハンと
ホワイトデーですね。
私はかぶり防止で湯のみプリン作ってみました。
誰かに喜んでもらえると、作ってよかったなって思えます。
いかん、よだれがでてきてしまった。
それにしてもお腹がすいた。
そろそろ誰かがご飯を持ってきてくれる時間だと思うのだが……
言ってるそばから、廊下をこちらに歩いてくる音がするの。
ドンドンと大きな足音に金属製の鎧が立てる音から推測するに、キリカじゃろう。
ギルドマスター室のドアが開き、入ってきたのは……長身で赤毛の戦士。
やはりキリカじゃな。
どれ、今日のご飯は……またチャーハンか。
キリカはいつもチャーハンじゃな。
……これ、乱暴になでるな。
ワシの自慢の毛並みが乱れる。
まるで先ほどのつぶやきが聞こえたかのような乱暴さじゃの。心なしか顔も怖い。
まったく、少しはおしとやかになれんもんじゃろうやめろだから毛並みが乱れると言っておろうがっ!
……まぁこやつの作るチャーハンはおいしいゆえ、何度食べても飽きぬからよいのじゃが。
ふむ笑顔になった。
いつも思うがこやつは絶対ワシの言葉が理解できておる気がする。
今のうちにありがたくいただくとしよう―――
ワシが食べている間、キリカはいつも武器の斧の手入れをしておる。
あんな馬鹿でかい斧を振り回すとは、本当におしとやかとは無縁なおなごよの。
ん?どうしたキリカ。そんな笑顔でこちらによってきて。
そ、その手の斧はなんじゃ?
……いかん、これは第六感が告げておる。
“逃げろ”と!
まだ半分あるチャーハンが名残惜しいが、ここは戦略的撤退じゃ!