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六人目:幼なじみ

月曜の早朝。コンコンと部屋のドアを叩く音がする


「…………兄さん?」


「………ん?」


七海?


「起きてますか?」


「寝てる」


「そうですか。朝ご飯出来てますから、顔を洗って来て下さいね」


ドアから離れて行く気配


「…………もう朝かよ」


昨日は色々あったから、まだ疲れが残っている感じだ


時計を見ると七時。まだ割と余裕がある時間だな


「……起きっか」


俺は伸びをしながら起き上がり、そのまま部屋を出た


「おはようございます、兄さん」


「ああ。おはよう」


リビング奥のキッチンでは、既に制服に着替えている七海が、みそ汁を温めていた


「今日は早いのか?」


テーブルの椅子に座ってきんぴらゴボウをつまむ


「はい。もうすぐ文化祭ですので、先生と打ち合わせがあるんです」


「そういえば今日から準備期間だったか。クラス委員とか面倒だろ?」


うちのクラス委員長も散々ぼやいていた


「そうでも無いですよ。私のクラスは皆しっかりしていますので、私がする事なんてほんの一部です」


七海は、みそ汁とご飯を俺の前に置く


「それでごめんなさい、兄さん。私はそろそろ学校へ行かなければなりません」


「そうなのか?」


「はい。朝からうるさくしてしまって、すみませんでした」


「いいさ。飯ありがとうな、気をつけて行けよ」


「はい、兄さん。行って来ます」


パタパタと慌ただしくリビングを出て行く七海


「クラス委員長ねぇ」


俺んとこのアイツとは大違いだ



飯を食い終え、俺も制服に着替える


んで、朝ズバ


「おもいっきりを辞めやがって……」


生電話好きだったのに


《此処で新コーナー! ズバっと朝から生電話!!》


「なに!?」


早速パクりか……やるな、T〇S!


朝から姑の嫁への怒りを聞き、微妙にテンションが下がった所で学校へと行く時間になった


「よし、行くか」


家を出ると、空は若干曇っていた。まぁ傘を持っていく程でも無い


「……おはよう、お兄ちゃん」


掛けられた声の方を見てみると、黄色い旗を持ったさっちゃん


「ん? ああ、さっちゃん今日は集団登校か?」


「うん。月曜日だから」


「そうだったな」


この地域の小学校は月曜日と金曜日、集団登校をする規則がある


「いってらっしゃい」


「うん。お兄ちゃんも、いってらっしゃい」


軽く手を振るさっちゃんに見送られ、俺は学校に向かって歩き出す


学校迄の距離は歩いて30分。朝の運動にはちょうど良い距離だ


大通りじゃない為、車も少ないし、途中から木々が心地好い遊歩道に入る事も出来るので、普段の散歩道としても重宝している。だが


「あ~何かだり~」


朝ズバ見るんじゃ無かった


「いーちやっ!」突然後ろから首に抱き着かれた! こんな事する奴は


「いてぇよ、美鈴!」


首に巻かれた腕を外し、振り返ると予想通り美鈴の姿


美鈴は相変わらずシャツの第三ボタン迄開け、たいして無い上乳をチラ見させてやがる


「おいっす!」


「うぃっす。ん? 髪切った?」


「お、鋭い! さすがタモさん」


「俺とタモリに共通点無いだろ。つかお前の場合、分かりやすい」


先週迄はセミロングのパーマだったが、今はショートに変わっている


「失恋が女の髪を短くするのよ……」


「飽きただけだろ?」


「暑くなるしね~」


そう言って、軽く髪をつまみ上げる


「似合う?」


「ああ、良いんじゃねー涼しげで」


前は若干、暑苦しかったし


「さーんきゅ!」


美鈴は俺の右横に立ち、腕を絡ませる


「産休?」


「どういうボケよ、それ」


別に邪魔にならないので、そのまま歩く


「お前の所、文化祭何やんの?」


「部活? クラス?」


「部活は分かるって。ライブだろ?」


美鈴は軽音部に所属している。確か部員が4人しか居ない弱小部だったな


「まね。2曲しか許可下りなかったけどさ」


「ふ~ん」


「きょーみ無いね~」


何故か嬉しそうな美鈴


「あんまりな」


「でも見に来てくれるんだよね?」


「時間が空いたらな」


空くだろうけどさ


「み、美鈴ー! こ、こらぁ!!」


何処かで聞いた事がある声に振り返ると、理名が小走りで向かって来る所だった


「んん? あ~、理名」


「あ~じゃないよ、美鈴! 先輩から離れろ~」


「一也が嫌がって無いんだし、良いじゃない」


「うぅ……な、なら先輩を呼び捨てにするなぁ!」


「うっさいな~幼なじみだし良いでしょ? 別に」


「俺の彼女が来たし、そろそろ離れろよ美鈴」


「……はぁい」


理名は昔から美鈴にだけはライバル心が強い


二人は同学年だが、美鈴は背が高くスリムなモデル体形の為、平均的な理名と同い年には見えない。どうやらそのことも理名のコンプレックスになっている様だ


「せっかく一也と甘~い会話を楽しんでたのにさ」


「う~」


そして何故か美鈴も理名にはよく絡む。初対面の時からこんな感じだった


「相変わらず仲悪いな、二人とも」


「誰かが間に居ない時は仲良いわよ。ね、理名」


「み、美鈴!」


「む、聞き捨てならねぇ事を言いやがる。俺が悪いみてーじゃねぇか」


「自覚しろ~」


美鈴は再び俺の首に飛び付き、ギュッと絞める


「お、おい! 俺はニワトリじゃねーぞ!?」


「く、首は駄目! こらぁ美鈴!!」


たく、朝から疲れるっての

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