第24話自業自得(じごうじとく)
続いてのニュースです。
本日神戸市の高校にて火災が発生し、旧校舎にいた7人の高校生が亡くなるという痛ましい事故が、ありました。
俺がぼんやりと、テレビを見ていると音声と共にニュースが、割り込んできた。
神戸市は隣の県ではあるがどこか遠いところでの痛ましい事故程度にしか見ていなかった。テレビを通じてみる情景というのは何故か、フィクションとノンフィクションの境目がわからない感覚に陥ることが多い、身近に起きていると、実感できないのだ
「7人かあ」ボソッと発したシュリーの言葉の意味をこの時は俺は理解できていなかった。
「ねえ、ねえ、知ってる?この間の火事のあった学校?あれ放火なんだって」
「へー」
「んで、出るんだって」
「何が」
「夜中にね、放火犯を探す7人の幽霊が」
そんな噂がネットに出まわり始めたのは事故から、ひと月半程度立った頃からだった。
まだ事故から日が立っていない事もあって不謹慎な話題とはされていたが、なかなか消えるものではなかった。
事故から2か月、学校は丁度夏休みに入った。その頃からさらに悲劇は起き始めた。
初めは体育教師だった。彼はプールの底で溺死体で見つかった。が、プールはメンテナンスのため水が抜かれており溺れることはない状況だった。じゃあなぜ溺死か、それは大量の水が、肺の中に残っていたためだ。
2人目も教師だった。今度は屋上で、遺体で見つかった。死因は心筋梗塞らしい
そして3人目は陸上部の部活中に顧問の教師が熱中症で倒れそのまま病院で亡くなった。
「んで、心配になって俺の所に連絡してきたと」
目の前には20代前半と思しき女性が座っている。
「はい、生徒たちに教えてもらいました」かわいそうなくらいに小さくなっている。
彼女は田中雪音。火災のあった高校の教師だ。実は彼女の努めている高校とは若干因縁がある。高田沙也加の通っていた高校なのだ。
沙也加の件はあの後も調査を続けていたが、理の消滅の影響で全然記録が無い。本当に居なかったことになっている。じゃあなぜ俺には記憶が残っているのかもよくわからない。彼女を忘れないといった約束は守っていることになってはいるが。
「しかし、俺はエクソシストでもないんですけど、他に誰かいなかったんですか、知り合いに」
「そういった話はよく聞くんですけど、だいたい友達の友達の話ということで、たどり着けないんです」
まあそうだろうなと。そういった話は大体出所不明だし本当に力のある霊能者なんて伝手が無いものだろう。ネットの検索で引っかかる奴なんかは怪しさ満載だしなあ。しかし、なんで俺?
生徒たちが言うには何でも交霊術のトラブルがあったときに詳細は覚えてないがオレが助けてくれたと言う記憶だけがあるそうな、それも3人も。全員俺とは面識がないが皆がそういうならば何かあるのだろうとの結論になったそうな、これって沙也加の件の影響なんだろうか。だとしたら顔を突っ込んだほうがいいのだろうか。
「先生はどうしてほしいんです?」
「その、助けて欲しいんです」しかしこの教師は人と話すときに顔も見ないんだな、ずっと俯いたままだ。
「助けてほしいって、そもそもこの件に霊が絡んでいるか分からないでしょう?」
今までシュリーが見つけたことしかやってこなかった。初めて先方から依頼してきたのだが、シュリーの感覚が反応してないということは妖異がらみではないのだろうか。そこからの彼女の説明はこうだ。なんでも彼女は霊感持ちらしい。それで校内でうろついている火事で亡くなった女生徒を見かけるんだそうだ。彼女たちはそろいもそろってものすごい形相でうろついているらしい。若くして焼死ならそうもなるだろう。
「シュリー先生どう思われますか?」
俺は隣で話を聞いていたシュリーに話をふった。
「そうね、今のところは私たちが出ていかないといけない感じはしないわね、でも正直7って数字も嫌な予感がするけど」7って人にはラッキーな数字って感じだが神には違うのだろうか。
「だ、そうです。俺たちはさ、専門じゃないし、本業の人に依頼したほうがいいですよ、ぜったい」彼女にそういって、今日のところはお引き取りいただいた。
彼女は始終うつむいたままで帰っていった。
数日後、あの高校で、新たに2人の死者がでた、霊媒師とその助手らしい。
あの教師本当に依頼したんだ、どうも雑誌にも出ていた有名な人らしかった。
二人とも心臓麻痺らしい、ってそんな内容で世間が納得するわけもなく、ネットは怪奇現象オタクであふれかえっていた。
さすがに学校も放っておけない状態になり夏休みと いうこともあって登校禁止とされた。
「んで、なんでまた、あなたが私の所に来るんですかね」目の前には田中雪音が座っている。まあ家に入れた俺も悪いんだが、噂によると学校は、お祓いまでしたらしい。効くとは思えないが、
「いや、あの、もうホントに頼れるところがなくてたぶん、間違いなく次は私なんです」すがりついてく話してくるが相変わらず目を見ない。
「なぜ、そう思うんです?」
じつは、と言って彼女は火事の事実を話し出した。
聞かされた内容はあまりにもひどいものだった。
火事で亡くなった7人は火災で亡くなったことになっているが実は全員ある教師に殺されたらしい。彼女たち7人は全員美術部だったそうだ、
ある日デッサンをするために筋肉自慢の教師をモデルに呼んだ、死んだ3人の教師だった。が、その三人の教師はこともあろうか七人の女生徒を襲ったのだという。詳しい状況はわからないが、最後には7人を殺して、さらに校舎に火を付けたというこどだった。
なぜ、雪音がそれを知っているのか。
それは一部始終を見ていたらしい。美術部の倉庫にいるときに教師たちが凶行におよんでいるのを。怖くて出ていけずにただただ見ていただけなんだそうな。普通の怨霊ならその三人に復讐して終わりそうなんだがどうも違うようだ。いまだ7人は成仏していない。七人ミサキになってしまったのではと霊能者に言われたそうだ。
確か七人ミサキというのは七人の身代わりがそろうまで怨念が終わらないということだったかと。しかもミサキは御先と書く 御先と言うのは神の眷族で神の先鋒という意味だ。結局のところ神様、祟り神だと言える。俺の知る限り祟り神は丁重に奉る他にとれる対処方法が無い。そもそも神は俺の対象外だし。
霊媒師と弟子含めて計五人の犠牲者となっている。彼女的には見ていた自分が次だと思っているということか。
「おたく、随分勝手だね、結局はあなたが逃げ回ってるせいで関係ない人まで巻き込まれたんですよね?いっそのこと死んだら」
辛辣な物言いだとは思ったが正直かなり腹が立った。元凶でもあり、防げる立場でもあった奴が罪の意識もなく自分は助かりたいと願う。
彼女は下を向いたままいきなり引き笑いをしながら話だした。
「フフフ いいのかしら、そんな言い方して、あなたは私のために戦ってもらわないと行けないのよ」一体何を言ってるんだ。
「今日はあのいけ好かない女は居ないのね、なら好都合だわ」
シュリーのことだろう、今日は確かに居ない。
「あなたは沙也加は知っているのでしょ?」
な、なぜ、お前に沙也加の記憶が、声には出さないが表情には出てしまった。
沙也加の記憶は俺意外にはなくなっているはず。
「知ってるのよあなたが殺したって事も、ばらしてもいいのよ?」
「しかし」俺は反論できなかった。確かに人を一人消滅させてしまった。妖異化していたとはいえ、罪の意識がないといえば嘘になる。死体が存在しないことで罪の意識は薄かったのかもしれないがヒトを殺したと言われるときついものがある。
この女とんだ食わせ物だ。被害者かと思っていたがこの変わり身、何か他にもあるのかもしれない。
「ふふ、あなたのそんなちっぽけな正義感が好きよ。それを今度は私のために使ってちょうだい。後二人の死人が出る前に」
俺は考えた挙句
一つだけ報酬がほしいと伝えた。。何を要求したか、それはなぜ雪音が沙也加を記憶しているのかについてだ。
彼女はわかったはとだけ小さく答えた。
こいつは本性がこんな感じなんだろうか、
ともかく俺は雪音と、一緒に、学校へと行くこととなった。
自業自得
自身の行いの報いをうけること




