ハルのルーツ
ハルが両親と過ごし、数日があっという間に経った。そしてリルの結界の張り直しの日が来た。長老の家にここに住む住人が集まり、そこで結界を張り直す作業を見ている。
まず、長老が環境魔法の魔術を解除する。この環境魔法だが魔力があれば魔術を使用しなくても使用できる。それは原始的な魔力を持っている亜人たちであってもだ。それでも魔術を使用するのは消費する魔力の差である。おっしてこの環境を維持するためにかなりの魔力を使うため、術式に書き、そこに魔力を流して魔術を作る。このようにしておけば誰の魔力でも維持できるのである。その魔術を解除する。解除を確認し、リルは結界魔法を使用した。リルの足元に魔法陣が浮かび上がる。そしてその魔方陣が大きくなっていき幻想郷を包む。幻想郷の全てを包んだ時にその魔法は発動した。今まで以上の魔力の本流をハルは感じ取っていた。それでもリルの眷属であり、リルと摸擬戦をしているハルはそこまでどうようはない。そしてここに住む亜人種たちもである。彼らの中には眷属もいて眷属でなくともこの光景を見たことある者がほとんどだ。小さい子供は見たことない者がいるがその者たちも自分に向けられた魔力でないことは理解しているのでそこまで怖がることはない。その中で二人、かなり驚いている者がいた。それがハルの両親だ。
「す、凄いわね。ここまでの魔力を感じたことはないわ」
「そうだね。近接職の君もそう感じるくらいにはやばいね」
二人の様子を見たハルは二人に近づく。そして優しく声をかけた。
「大丈夫。攻撃魔法じゃないし、ここを守るための物だから。魔力が暴走したらここは無くなるけどそんなヘマをリルはしない」
そう言って両親を安心させる。ハルの言葉に二人とも落ち着いたようだ。二人がハンターをしていた時には既にマーブはいたと記憶しているがそもそも彼女は神級ハンターなので接点がなかったのだろう。ハンターにもこれほどの魔力を持った者がいると知ったら驚くだろうと思いながらリルが魔法を終えるまで待っていた。
「……終わりました。これで結界を張る作業は終了です。あとはガリウス。魔術の再発動をお願いします」
ガリウスにそう告げるとリルは真っすぐハルの元に来る。そしてハルの両親に改めてあいさつをする。
「改めて、神獣種のリルです。ハルには眷属として、そして私の番として今後ともお世話になると思います。ご両親もよろしくお願いします」
リルは深々と頭を下げた。アリアとミゲルは目が点になっていた。番?眷属というのはハルの耳を見ればわかるし、ハルにも説明を受けていた。しかし、番になるという話は聞いていなかった。
「ハル?番ってホント?私聞いてないんだけど」
アリアは混乱しながらもハルにそう問う。ハルはその問いに頷いた。
「そもそも母さんも父さんも生きているのなんてわからなかったし会ったら会ったで少し照れくさくなって言えなかった。ごめん」
「そ、そうよね。私たちが生きているなんて思ってないものね。それは私が悪かったわ。でも再会できたのだからあなたの口から聞きたかったわ」
アリアは自分たちが帰らなかったことを再度謝罪し、その上で少し口をお尖らせながら小言を言った。ミゲルはその様子を見ていてリルになぜハルなのかと聞いてみることにした。
「なぜハルを?他にも強いハンターはいると思うのですが」
「確かに強いハンターはいるでしょう。でもハル以上のハンターはいませんよ。彼の今の立場は筆頭神級ハンター。正真正銘ハンターのトップです。それに魔力がかなり似ている気がしたんです。その魔力をお二人からも感じるのですがその魔力が私は気になっています。明らかにこの大陸以外の魔力を含んでいるので」
リルがそのようなことを三人に言った。魔力が似ているというのは初耳であった。確かに魔力の多さはあるが人族のころは大して特筆性のない魔力だったとハルは思っている。全属性に適性があるので特筆性がないというのはハルの言い分であってかなり稀有な魔力ではあるのだが。リルのその問いにミゲルが今度は答える番だ。
「それは俺たちの出身地が関係しているでしょう。そうは言っても俺たち夫婦は一族でこの大陸に来ましたし、それも何代も前の話です。ここドーバレイス大陸ともう一つある大陸、ガノリア大陸。俺たちの祖先の出身はこのどちらでもありません。小さな島国です。今はあるかわかりませんし、俺もアリアも名前すら知りません。魔力に違和感があったのならそこを探すのが一番だと思います。あまりわかっていないのです。すみません」
ハルは驚いた。自分のルーツがこの大陸ではないというのだ。しかしハルは魔力を持っていて魔法を行使できている。つまり、亜人種と人種の交配の結果生まれた、人族であることは間違いないのだ。
「リルはなんでそれを黙っていた?魔力の違和感を感じていたのだろう。眷属魔法の成功率も人族より高かったんじゃないのか?」
「確かに高かったのかもしれません。でも魔力に関しては私にもまだわかっていないこともあり断言できませんでした。魔力自体が似ているのか系統が似ているのかでも違ってきますしね。系統が似ているだけならそこそこいますし、魔力自体が似ているのは本当に稀です。ここにハルと出会ってから始めてきましたが人族や古代人種よりも魔力の質が亜人種に似ていると確信しました」
リルはハルの魔力が人族や古代人種ではなく亜人種に似ていると言った。そしてそれはハルの両親もだ。だからこそガリウスはこの二人を幻想郷に連れてきたのだろう。四人で魔力に関しての話をしてる時にガリウスから声がかかった。
「魔術を発動した。最初は魔力が枯渇している状態だからリル、魔力を込めてくれ!」
そうリルに言うがハルから見ると結界魔法にそこそこな魔力を持っていかれていると感じた。なのでハルがリルとガリウスに問う。
「それ、俺でも平気か?今までにない結界魔法を使用してリルも相当魔力を使っているようだから俺が魔力を込めよう」
そしてハルは術式に歩いていき、そこに魔力を注ぎ込み始めた。元々リルに彼らと魔力が近いと先ほど言われたのだ。それにこの魔術を起動したのは同じ眷属であるガリウスである。そのような状況を見てハルは自分にもできると判断した。結果は成功であり、この幻想郷の住人の半年分の魔力をつぎ込んだ。




