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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
亜人と幻想郷
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ハルの両親

 ハルが後ろを向くとそこにはハルの母であるアリアが立っていた。ドーボンとエミーを逃がすために王獣種との戦闘をしたと聞いていたが生死は不明だった。それでも帰ってくることがなかったので死亡として扱われていた。その彼女がそこに立っている。そして父親のミゲルの名前もあった。つまり二人とも生きていたのだ。


「君が人ぞ……」


 アリアがそこでハルの顔を凝視する。それとても驚いているようでまた、安心しているかのような顔でもあった。それを見たハルは微笑み、アリアに向かって話しかける。


「久しぶり、母さん」


 アリアの頬にはすでに涙が伝っていた。ガリウスとリルはハルの言葉に言葉を失っていた。ガリウスは今ここで起こっている会話が理解できていないという様子だ。リルはハルにはもちろん、エミーやドーボンからハルの両親のことを聞いていた。亡くなったと思っていたその二人が生きていたのだ。人族の生存力など神獣種のリルからすればたかが知れている。しかしそれは数奇な運命を辿り、今ここで親子が相まみえたのだ。


「ハル、なの?」


「ああ、そうだよ」


 アリアは泣きながらハルに問い、それにハルは優しく微笑んで答えた。その時にアリアはハルに抱き着いた。しきりにごめんなさいと言いながら。ハルは気にしていない。ハンターとしてのことはドーボンとエミーから聞いていたということも伝える。アリアとミゲルはかなりアグレッシブなハンターであったとドーボンたちから聞いていた。だからハルは自身がハンターになり最初のころは探していたのだ。それでも見つからなかった。今思えば見つかるわけがない。リルの結界に囲まれたここに保護されているのだから。それでも今、会えたのでいいとハルはそう思った。


「アリア、お客さんなんだからそんな勢いで行くもんじゃないよ」


 そして今聞こえたこの声の人物がミゲルである。アリアがかなり活発な人女性なのに対してミゲルはかなり落ち着いた男性だ。そして開いている扉からミゲルが入ってくる。そこには泣きながら狼の耳をはや知った青年を抱きしめているアリアの姿が見えた。ミゲルは困り顔で見てくる青年を見て心底驚いた。


「父さんも久しぶり」


「あ、ああ。大きくなったな、ハル」


 ミゲルがアリアを落ち着かせている間にガリウスとリルとハルの三人で結界についての話を詰めていった。ガリウスは一緒にいなくていいのかとハルに聞くがハルは問題ないと答えた。これでもう会えないのなら話は違っただろうが二人とも元気そうだった。今はここに来た理由のことをしていて問題ないと判断した。生きていればいつでも話せるのだから。


「――――という風にしていきたいですね」


「それでいいと俺も思う。それで行こうか」


 リルとガリウスで大体の予定が決まったらしい。あとはこの結界を張り直しておしまいである。そして今すぐにというわけにはいかず数日後にすることになったので時間ができた。ガリウスとリルはハルに両親と話してこいと言われ二人に礼を言ってその場を後にした。


 二人が普段生活しているのはガリウスの家の隣にある家である。そこにハルが来ると二人は喜んで家に招き入れた。そしてこれまでにあった話をハルは二人にしていく。二人が帰ってこなかった後ハンターになったこと。そして火山地帯の王獣種を討伐し神級ハンターになったこと。そして神獣種のリルの眷属になり、結婚することになったこと。二人は嬉しそうに、だが少し悲しく申し訳なさそうにハルの藩士を聞いていた。ハルが一通り話しきるとミゲルが最初に口を開いた。


「ハル、今まですまなかった。俺たちは安全を知らせるためにすぐに行動に移すべきだった。本当に申し訳ない」


 改めてハルに頭を下げる。ハルは気にしていないと再度言った。


「ガリウスの家でも母さんには言ったんだが俺は気にしてないよ。エミーさんやドーボンが良くしてくれたし、二人を探すという目標ができたからこそ俺は神級ハンターに成れたと思ってる。確かに幼いころに両親が突然帰ってこなかったんだ。その時は少し思うこともあったよ。でもすぐに切り替えた。俺が強くなって探せばいいってね。それでまた会えたんだ」


「ありがとう。でも親としては失格だ。子供をパーティメンバーに任せていたんだから」


 ハルはふと気が付く。ミゲルは自然にしているが左腕がない。義手のようなものを付けていて長袖に手袋をしていたので気が付くのが遅くなった。アリアはどうだと確認したが欠損は見られなかった。


「父さん、その腕は?」


 ハルに指摘され少しびくっとしたミゲルだがその問いに答える。


「火山で王獣種と戦った時にな。生きていたのが奇跡だとガリウスさんに言われたよ」


「お父さんね、私をかばったのよ。それで大けがを負った。私も魔力が枯渇して倒れてしまったわ。その時にガリウスがたまたま通りかかって助けてくれたの。本当に奇跡だったわ」


 ガリウスが王獣種を倒したのか?とハルは思った。確かにリルの眷属であり、その身に魔力核を宿している亜人種だ。眷属になったことで魔力の枯渇もなくなったらしいので相当な強さなのだろう。ハルは二人に聞いてみることにした。


「それじゃあ二人は王獣種を倒せなかったの?ガリウスがそいつを討伐したの?」


 二人はハルのその質問に目を見合わせた後、ハルの方に向きなおし言った。


「倒したさ。もうハルには抜かれているがこれでも幻級ハンターだったんだ。一人では難しいが二人でならどうにかなるよ。ただエミーとドーボンを先に流したのには訳があってね。近くにもう一体いたんだ。戦ってしまうとそのもう一体にも気づかれてしまう。だから二人に王獣種が出たと組合に伝えてもらうために二人を逃がしたんだ。何とか一体目を倒したんだがすぐに近くにいたやつが来てね。二人とも魔力を使いすぎていて死期を悟ったよ。それでも俺は男だ。奥さんだけは守らないとと思ってね。その結果がこの腕だ。その時にガリウスがたまたま幻想郷から出てきていて助けてくれたんだ。人のように見えたがけで助けを求めてそのまま意識がなくなった。そして目が覚めたときにはこの家の天井が見えていたよ」


 ミゲルは義手をなでながらそのように語った。腕一本で最愛の人を守ることができたのだから問題ないと照れくさそうに笑いながら言った。

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