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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
ハンターの宴
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マークの成長

 マークが目を覚ますと、そこには知らない天井が見える。体を起こすと、ベッドのわきにドワーフの男が椅子に腰かけていた。


「目ぇ覚めたか。結構早かったな」


 その男に面識はない。マークは意識が途切れる前に何があったか思い出し、慌ててその男に聞く。


「ハンターの序列決めに参加していたんだ!あの後どうなった?」


「お前のパーティは全滅だ。マーブの治癒魔法で全員体に異常はねぇよ。別の部屋で俺の嫁さんが看病してる」


 マークは負けたのかと思ったがそれが顔に出ていたのだろう。その男がため息をつき、マークに言う。


「ハルに勝てるわきゃねぇんだ。命があることに感謝してこれからも自分の力を磨け。それがハンターだろ」


 その男はマークにそう言った。服装的にハンターではなさそうだがこの言葉にはかなりの重みがあった。


「すみません、遅れましたが僕はマーク。あなたは?」


「そういやまだ自己紹介してなかったな。俺はドーボンだ。ハルの武器を作っている鍛冶師でハルと同じリル様の眷属だ。よろしくな」


 眷属。その言葉にマークは少し引っかかったが何も言わない。今回は彼が看病してくれた。そしてパーティメンバーもだ。今回、このやさしさに触れることでマークのモンスターの眷属というものを知らないまま嫌悪していたのだと実感することになった。


「僕の仲間はもう起きているんでしょうか?」


 マークはパーティメンバーたちのことをドーボンに聞く。自分が無事でさきほどドーボンからあったように異常はないようだがまだ寝ていた場合はわからない。その確認をした。


「もうみんな起きてるよ。お前が最後だ。さっきまでお前のパーティのやつらがここに来てたんだぞ。起きたなら飯に行くぞ」


 ドーボンはそういうと椅子から立ち上がり扉の方へ歩き出す。振り返りマークに早くしろと声をかけ、それを聞いたマークは慌てて立ち上がり、後について行った。


 リビングにつくとそこにはマークのパーティメンバーが食卓を囲んでいた。そしてマークを見ると全員がマークの元にやってくる。


「よかった。心配したんですよ」


「起きたか。少し寝坊じゃないか?」


「リーダー、特に異常はないですか?」


 マークは彼らに心配の声を掛けられ笑って応える。


「ああ。もう大丈夫だ。心配かけてすまない」


 この様子を見ていたエミーとドーボンはほほえましく眺めていた。ハルはパーティを組んでいないのでなかなかこのような景色を見ることができなかったがエミーとドーボンも元々パーティでハンターをしていたのだ。昔のことを懐かしみつつエミーは彼らに声をかける。


「ご飯が冷める前に食べてくださいね。いっぱいありますから」


 そして全員がテーブルを囲んで食事を始める。そこには先ほどまで沈んでいた空気はなく、活気があふれていた。久しぶりに何も考えずにご飯を食べることができたのか結構早く、料理が無くなっている。この様子を見たドーボンはマークたちに声をかけた。


「今、他の神級ハンターが序列決めしてるが見に行くか?」


 その言葉にマークたちは話が止まる。彼らは先日、神級筆頭ハンターであるハルにパーティで挑み、負けている。そのことを思い出したのか少し考えるそぶりを見せたがマークがパーティのみんなに言う。


「見に行こう。それで俺たちに何が足りないのかを考えるんだ。もちろん、実力は足りていないのはわかってる。それ以外の収穫もあるかもしれないからいってみよう」


 マークの言葉にパーティの面々は頷いた。今の階級はマークが神級ハンターであり、他は幻級ハンターだ。全てにおいて学ぶことができるこの戦いを見に行くことに意義があると全員が共通の認識になり、ドーボンに道案内を頼んだ。それにドーボンは快く応え、マークたちを連れて家を出る。


「それじゃあ行ってくる」


「はい、いってらっしゃいね」


 ドーボンとエミーはそう短く交わした。そしてマークたちもエミーに感謝を述べドーボンについて行った。




 今、訓練場ではジットとロドルが戦っている。ロドルは二刀流であり、剣を使用して素早い攻撃を行なっている。ジットは抜きを使わないので素手だが剣の腹を的確にたたき、いなしていた。そしてロドルに一撃を当てる。かなり強烈なボディブローがロドルに決まる。


「かはッ……!」


 強烈に決まったのでロドルはその場でうずくまる。普通のハンターのパンチではロドルはこうはならない。鍛え方的にはジットに次いで研鑽を積んでいる人物なのだ。その彼がこうなるレベルの一撃が叩き込まれているのだ。


「そこまでかな。勝者ジット」


 アランがそう告げジットが勝つ。勝ちの合図の後、ロドルの方へ歩いていきジットは手を差し伸べる。それをロドルは取って立ち上がった。


「流石だな。俺が動けなくなるくらいの一撃なんて久しぶりだった」


「ロドル。お前の動きもなかなかだったぞ。俺もどうなるかわからない動きだった」


 摸擬戦が終わった二人がそう言葉を交わしている。それを見たマークは自分の言動をさらに反省した。自分にはリスペクトが足りなかったと、そして神級ハンターという階級に上がったうぬぼれもあったのだと今自覚する。それを見たドーボンは声をかける。


「神級ハンターに急になったんだ。それも自分が知らない階級だろ?少し気が大きくなるのはわかる。これから変わっていけばいい。それができる歳なんだからな。ほら、始まるぞ。神級ハンタートップ2の摸擬戦だ」


 マークは訓練場に目をやる。そこにはマークのパーティを無傷で倒したハルとそのハルが神級ハンターになるまでトップにいたものの対決だ。マークは彼らがどのような戦いをするのか興味があった。食い入るように開始を見ている。


「ハルよ。今回も手を抜かず行かせてもらおう。そうしなければお前には届かないのでな」


「ははっ。よく言うぜ。一撃食らったら俺の負けってだけだろ」


 二人は摸擬戦前に軽く何か話しているようだ。マークたちのいる場所からではよく聞き取れないが楽しそうに話しているのは見えた。


「あ、きたんだ。よく見とくんだね。これが私たちのトップの戦いだよ」


 マークを見つけたマーブはそう言って彼女も摸擬戦の始まりを待っている。かなり強大な防壁魔法が展開されているようだが彼女ではないらしい。よく見ると狼系のモンスターが防壁魔法の四方にいる。彼らが張っているようだ。この魔法を見てミヤは感動しているようだった。このレベルの魔法は国の魔法師団でもなかなか見れないらしい。


「それじゃあ始めようか。これで筆頭が決まるよ。それじゃあ始め!」


 アランが開始の合図をし、摸擬戦の最終戦が始まった。

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