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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
ハンターの宴
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神級ハンター同士の戦い

 この大森林に来るハンターは多い。しかしここまで奥に来るものは少ない。モンスターの分布による部分がある。奥に進むにつれてモンスターの強さが上がっていく。これは森の中心に行くにつれて生態系が変わるからだ。そこらに生えている植物が大きくなっていきそれに合わせてモンスターも巨大化していく。その最奥にあるのが今神級ハンターたちがいる場所だ。王獣種(おうじゅうしゅ)レベルのモンスターが少なからず存在しているがハンター組合としては駆け出しから1級ハンターまでが王獣種に遭遇しないようにしているのだ。なので奥まで入ってくることは基本的ない。


「ハルから話は伺っています。ここで摸擬戦をしたいと。それを許可しましょう」


 リルは組合からの提案を飲んだ。


「ありがとうございます」


 アランは深々と頭を下げた。それを見た神級ハンターたちも続いて頭を下げた。そこにハルは含まれていない。そして、ハル以外に頭を下げなかったものがいた。それがマークだ。彼はモンスターが敵だと認識している。そして人前に出てこないモンスターのみがこの世界で生きていいモンスターと考えていた。なので相手が神獣種(しんじゅうしゅ)だとしても頭を下げることをしなかった。アランはそれを感じてマークに声をかけようとした。しかしそれよりも早くリルが反応する。声は出さない。単純な力でわからせようともしない。リルがただ魔力を前面に放出した。一般的なハンターたちならば一瞬で意識が飛んでいただろう。流石に神級ハンターたちだ。彼らが意識を飛ばされることはなかった。意識が飛んだのはマークが連れてきたパーティメンバーだった。神級ハンターで膝をついて肩で息をしていたのはマークのみ。それ以外は膝をつくことすらなかった。


「あら、あなたがハルに喧嘩を売ったハンターさんかしら。よく意識を飛ばさなかったわね。それは認めてあげるわ」


 リルは涼し気にそう言い放った。ハルを除く神級ハンターは冷や汗が止まらない。つい先日までともに訓練していたマーブやその風景を見ていたヴィノですら冷や汗が止まらないのだ。生物としての格に違いを見せつけた。


「アラン、ちゃんと躾けるのよ。ハンターが多いのはわかるけどあなたの組織なのだから」


「すみません。今後は今よりも注視していきます」


 アランはもう一度頭を下げた。そして今の魔力を感じ取った眷属たちが広場に集まってくる。そこにはドーボンとエミーの姿も見えた。ハルは二人の元に行き今起きたことの説明をしている。


「彼らをハルと稽古しているところに連れて行ってあげて。この狼についていってくださいな」


「では、こちらへどうぞ」


 リルが眷属に一体に告げて案内を促す。そしてリルは自宅に入っていった。リルが家に入ったところでハンターたちの気が緩んだ。


「ふぅ。あれが神獣種か。これほどとはな」


 ジットがそういうと他の神級ハンターも徐々に話し始めた。そして案内役の狼についていく。ハルはエミーにマークのパーティメンバーの介抱してくれと頼み、アランに一言告げてリルの家に入る。そもそも二人で同じ家に住んでいるのでハルの家でもあるのだが。


 家に入るとリルが紅茶を飲んでいる。リルの隣に行きハルも席に着く。


「さっきのはやりすぎじゃないか。マーク以外の神級も結構驚いていたぞ」


「生意気だったのが悪いじゃない。私は悪いことしてないわよ。それにあの威圧程度で膝をつく程度の男が神級なんてアランも見る目がないわね」


「まあ俺もまさか膝をつくとは思わなかったな。王獣種を単独討伐したと聞いて少し期待していたんだがな」


 ハルは少なからず期待していた。もちろん、実力が今はまだないというのはわかっていた。そもそもマーブの回復魔法で生き延びたのだ。


「俺も訓練場に行くから適当に見に来てくれてもいいぞ。ここにいても暇だろう」


「気が向いたら行くわね」


 ハルは家を出て訓練場に向かった。そして訓練場に着くとそれぞれが自分の武器の確認をしていた。マークは先ほどのことがかなり響いているのだろう。覇気が感じられない。アランが声をかけているが返事も小さい。そしてそれぞれを見ていたアランがついに声をかけた。


「そろそろ始めようか。誰からやりたいかな。今回は新しく神級になったマーク君を含めた神級の序列決めだ。今までの慣例で行くと下から順番になるけど」


「調子悪そうだし、適当でいいんじゃない?なんか今の彼に勝ってもあまりうれしくないし」


 アリエスがアランにそう言った。マークを除いた神級の中で今まで一番下だったのはアリエスだ。それを聞いたマークは自分の身長よりも大きい大剣を持ち上げてアリエスに向かって睨む。


「俺は平気です。やりましょう」


「そう?それならいいんだけど」


 アリエスは背中に背負った大鎌を構える。他の神級は戦闘が見やすい位置に移動する。そしてそこにマーブが結界を張った。これはいつもリルと訓練しているときにリルが張っているものだ。それを見て学んだのだ。ハルはロドルにアリエスに大鎌について聞いてみる、ロドルはどの武器でも使いこなすことができ、武器種の頓着しない。気分で武器を変える珍しいタイプのハンターだ。


「あの大鎌俺は使い勝手が悪いと思うんだがロドルの感想はどうだ?」


「俺も好んで使おうとは思わない。意外と大型のモンスターとの相性はいいんだ。リーチが長くて先が重いから振ると威力も出る。付与魔法にもよるがモンスターの首も刈り取れるしな。意外と大変なのは小さいものと戦う場合だ。俺は人相手では絶対に出したくないな」


「結構モンスター特化の武器種なんだな。ジットから見てどっちが勝つと思う?」


 ハルはジットに勝敗予想を尋ねる。ハルに次ぐ実力者だ。単純に興味があった。それでも結果がハルの予想通りであったのだが。


「アリエスだろう。そもそも彼女がまじめに戦うとは思えないがハル、君と同じ眷属になっているんだろう?それならばそれなりの矜持を見せるとみている」


 神級の序列決めは結構お遊びですることが多いのでしっかり実力を把握できるかは正直わからない。ハルはこの戦いを数回したことがあるが一回も銃を使っていない。神級にとっては序列などただのお遊び程度でしかないのだ。今回は新人がいて、その新人に強さを見せることを考えてのこの摸擬戦だ。


「なめられたまま終われないだろう」


「そういえば眷属では言い訳するかもって言ってなかった?流れ的にマークとアリエスになってるけどいいのか?」


「もう仕方あるまい。多分だがこれでマークは戦闘不能になるだろう。相性と言われても困るから少しここに滞在してきっちり決めるとしよう」


 ジットはここに少し滞在するつもりらしい。ハルもその気だったので問題はない。


「リルにもそう話を通しているからゆっくり摸擬戦していこうか。そういえば途中で倒してきたモンスターの魔力核を回収しないとだから少し出てくる」


「終わった後に帰ってきたら内容を伝えよう」


「よろしく」


 ハルは訓練場から出てリルの眷属たちを集め、魔力核の回収に出かけた。そしてアランが審判として訓練場内に入る。そこにマークとアリエスが向かい合って立っている。そしてついに始まる。


「それじゃあ始めるよ。ルールは殺し禁止。後遺症が残ることも禁止ね。マーブ君もいるし回復については問題ないと思うけど」


 そして間に入ってアランが掛け声をかける。


「始め!!」


 こうしてアリエスとマークの摸擬戦が始まった。

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