会議開始
次の日、神級ハンターの面々は顔合わせをした会議室に集まっていた。全員が席に着いたところでアランが会議の始まりを告げる。
「みんな、昨日はゆっくりできたかな?今回集まってもらったのは他でもない神獣種である炎神龍バクリスクが復活した。それの対策を考えていこうと思う」
アランのこの言葉で会議がスタートした。ハルとアリエスはユグノリアで直接話は聞いている。他の神級ハンターも書状を受け取っているため内容自体は把握していた。マークだけはつい先日神級ハンターになったばかりなので内容を知らない。まずはそこからアランが話し始めた。
「マーク君は先日神級ハンターになったばかりだから伝えてないけど他の人は伝わっていると思う。少し前に神獣種たちの会合に参加してきてね。そこで過去、この大陸で戦火を振りまいた炎神龍がガノリア大陸で復活を果たした。今は復活したばかりで特に何も動いてはいないけど今後どうなるかわからない。だからそれの対策の会議かな」
マークは話の内容があまり飲み込めていなかった。アランはとりあえず説明だけを終わらせてそこから質問する時間に入ろうと考えている。
「すみません、いいですか?」
マークはアランへ質問するために声を出す。それにアランは頷き、聞く体制に入った。
「では、まず神獣種はモンスターの最上位種という常識がありますがそれは合っていますか?」
「合っているよ」
マークは神獣種以前に幻獣種すら見たことがない。普通のハンターは見ないのでそれも仕方ないことではある。マークと同じ立場であるはずのジットはマークのように声を出さず静かに聞いている。
「その神獣種の会合と言いましたが言葉が通じるのでしょうか。それすらわからないのですが」
「まず、言葉は通じる。王獣種の上に幻獣種がいてその上に神獣種が存在している。そして幻獣種は通常進化にかなりの時間を要する。その過程をすっ飛ばして幻獣種にすることができるんだ。それが眷属魔法。こうすることで神獣種が制御の利かない幻獣種を誕生させないようにしているんだ」
マークはアランの説明に頷く。それ話すこと自体は理解できた。しかし、さらなる疑問がマークの中で生まれる。
「それならば全てのモンスターにその魔法をかければ被害は無くなるんじゃないですか?」
「それは僕の作ったハンターという職が実質的に廃業になるってことだよ。それに眷属魔法にもいろいろ条件があってね。それをクリアしないとかけること自体ができないんだ。それにモンスターは僕たちの貴重な栄養源だ。それに素材は様々なことに応用できる」
マークの言うことも理解できるがきれいごとだけでは済ますことができない事情もあるのだ。それをアランは教える。
「神獣種たちは自身が治める領域というものを決めている。その外に関しては基本的にノータッチなんだ。彼らは基本的に話し合いに応じてくれるし、僕たちの意見も聞いてくれる。だから領域を広げようとしていないし人族には彼らの眷属は手を出してこない」
「それでもモンスターだ。その存在を容認するのはハンターとしてどうなんですか」
「ハンターはモンスターをただ狩って回る者じゃない。今の環境を見ながら整える者だ。それを勘違いしてはいけない」
そう、ハンターとは生活を脅かすモンスターから人々を守ると同時に生態系の維持も仕事なのだ。だからこそ今の神獣種たちとは意見が合った。そして話し合いに参加できるまでになったのだ。そこにハルが口を挟む。
「マークだったか。お前の言い分もわかる。でもな、今の生態系が生きるのにベストなんだ。どこかの国の村がモンスターに襲われることもあるだろう。そのために専属のハンターが村に滞在してたりする。そして専属ハンターでない俺たちは依頼の分だけを狩ることが許されているんだ。神級に限り依頼のみという枷がなくなる。それはなぜか、神級ハンターになるやつにそこまでのバカはいないからだ」
ハルが襲われないような対策はもうしてあるとマークに話す。いきなりハルが話したからか、マークは驚きながらハルの方を見ていた。
「ハル君の言うとおりだ。それに村が襲われるという事態になれば専属ハンターは組合の許可なく狩りをすることを認めている。組合に報告しているときに襲われたら滞在させている意味がないからね」
そこでいったん話を切る。そしてアランは再び話し始めた。
「少しずれてしまったけど炎神龍の話をしようか。彼は今ガノリア大陸にいると言ったが僕自身が見てきたわけじゃない。これも神獣種の方々の話だ。しかし、彼らが炎神龍との戦いに介入することはないだろう」
「なぜですか!?」
マークはアランに問う。
「理由はいくつかある。まず、この大陸にどうやって攻めてくるかだが複数考えられる。まずは海を渡ってくるパターン。しかし、これに関して可能性は低いと考えている。ガノリア大陸からここ、ドーバレイス大陸にくるまでには神海を通らなければいけない。そこは海神龍オシーアの領域だ。不利な場所で戦うとは思えない。そこで出てくるのがマグノリアだ」
マグノリアは内陸に存在している。現在、別大陸にいる炎神龍がどうやってそこまでくるのかハルとアリエス以外は理解していないだろう。
「なぜ内陸に存在しているマグノリアなのか。それは過去の大戦で炎神龍が使った道が地底に存在しているからだ。その頃はマグノリアという国は存在していなかった。そもそも今のように発展していなかったからそこで神獣種の一人が炎神龍とそこで対峙した。炎神龍を倒すことには成功したが火山に逃げ込まれてしまったんだ。そして魔力の反応が弱くなったことで平気だと判断したらしい」
アランは過去、自身も参加した大戦について説明していく。ハルとアリエスは会合に参加していたためこの話は二度目なので軽く聞いている。他の者は耳を傾け聞いていた。
「このような経緯があったんだが今回、その元凶ともいえる炎神龍が復活した。それをここにいる神級ハンターたちで討伐をしてもらいたい。これはハンター組合からの依頼だ。もちろんできうる限りのことはしよう。僕も戦闘に出る」
ここでアランが戦闘参加を表明した。




