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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
ハンターの宴
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アランの訪問

 アランはサンダルホースから降り、話し始めた。


「僕の言うとおりにハンター組合に行ってくれたんだね。それはありがとう。なかなか言うこと聞かない神級が多いから心配してたんだよぉ」


「流石に会って言われたからな。仕方なくはあるが行くさ」


 し、仕方なく?とアランは疑問符を頭に浮かべているがそれを無視してハルは話を続ける。


「それで?今回こんなところまできてどうしたんだ?炎神龍のことなら書状でわかってるぞ」


「今ここに来たのは新たに神級ハンターになるかもしれない人の紹介をね。ハル君がロッドに言ったんだって?ハル君も直接見たわけじゃないから魔力を見た幻獣種に話でも聞こうかと思ってね。まあ魔力に関してはマーブに確認を取れてほぼ確定しているんだけどね」


 ハルはマーブが会長に確認をとっていたことに驚いた。マーブは基本的に人の顔を覚えない。そのマーブが覚えているとなるとそれなりの魔力でも持っていたのかとハルは自身の魔力探知に少し自信がなくなった。


「マーブが覚えていたのか。それはまた珍しいことがあったもんだな」


「顔自体は残念ながら覚えていなかったよ。魔力を覚えていたみたい。治癒魔法をかけてたみたいだから印象に残っていたんだろうね」


 治癒魔法は治される側の魔力を使用するのが普通である。そのため傷が治っても魔力が少なくなり少しの間倦怠感などが残るので治癒魔法ではなく回復薬をハンターたちは愛用している。しかし、マーブは自身の魔力を相手の魔力の性質に合わせることで治される側の魔力消費がない。なので彼女が一人いると回復薬要らずなのだ。この方法は魔力を大量に使用するため誰でも使えるわけではなく膨大な魔力量を誇るマーブだからこそできる芸当であった。


「なるほど。そのマーブが今ここにいるからまた詳しく聞いてみるのもいいんじゃないか。案内するぞ」


「え!?マーブ君ここにいるの?僕とダリノクス出た時間は大差ないと思ったんだけどな。少し事務作業に時間がかかったからその差かな?まあいるなら話が早い。案内お願いするよ」


 こうしてハルとアランは大森林の最奥に向け歩き出した。




 リルはマーブと魔法での摸擬戦をしていた。この間も魔眼がどのように魔法を処理しているのかを観察しながら戦っていた。マーブといえば真剣そのものだ。それでも魔法をリルに全く当てることができていなかった。これ単純にマーブが元々砲台型の魔法師として活動していたため高速移動しながらの魔法になれていなかったのだ。その点、リルは元々モンスターであり、狩りの最中は立ち止まることが少ない。その差でしかなかった。あとは最近ハルと稽古していることも要因として挙げられるだろう。高速戦闘をこなしながら魔眼の反応を確認しているとハルともう一人の魔力を感じ取って攻撃の手を止めた。マーブはこちらにしか意識が向いておらずそのまま攻撃に移ってくるがそれをリルは単純な魔力で押さえつけた。急な対応にマーブが固まっているとリルがマーブに話しかける。


「少し、休憩にしましょう。新たに訪問者が来たみたい」


 そう言われマーブはあたりを見渡す。そうするとそこには遠くからでもわかるハルの魔力とそれには及ばないが一般以上の魔力を見ることができた。その魔力はマーブにもなじみ深い魔力であった。


「摸擬戦中にすまないな。新しいお客さんだ」


「こんにちは。神狼さま。今回は突然の訪問をお許しください」


 ハルとアランがそこに立っていた。


「何しに来たの。次の会合まで会うことはないと思っていたのだけれど」


「はい、実は先日、この大森林に王獣種が現れまして、その王獣種を倒したハンターについてお聞きしたく来た所存です」


 マーブはアランがこれほど丁寧に話している姿を見たことがない。神級の者たちはアランに対してフランクに接していてアランも神級に対してはそう接している。しかし、リルに対しては明らかに態度が違った。


「なるほどね。私とハルがいない中で私の眷属以外で討伐できるものがここにいたのはよかったわね。それで、私に何をしてほしいの?」


「神狼さまに何をしてほしいなどはありませんが魔力を感じ取った者がいると聞きましてその方に話を聞きたいのです」


「そう」


 リルは短く返事し、眷属を集めた。魔力によって全員に集まるように指示を出したのだ。ハルもそれを感じることができた。そこに多くの眷属たちが集まってきてその中にエミーとドーボンがいることにアランは気が付く。


「ドーボン?それにエミーも。こんなところで何しているんだ?」


 独り言のように小さくつぶやいたアランに対して隣にいたハルが答えた。


「あの二人も眷属になったんだ。俺が少しわがままを言ってな。快く応えてくれたよ」


 この時ばかりはロッドを少し恨んだ。これらは元幻級のハンターだ。今は引退して鍛冶と付与をしているが実力は折り紙付きである。その彼らの報告がアランにはなかったのでそれについては少し小言を言おうとアランは決めた。アランに伝えなかったのはもうすでにハンターではなかったというのと少しでも面倒ごとを抑えようとしたロッドの優しさなのだがそれが仇になっていた。


「私の眷属たちよ、先日現れた王獣種の魔力を確認したものは前に出よ」


 その掛け声に感じ取った者数名?(数体?)が前に出た。そしてリルはアランに目配せする。


「この魔力核に宿る魔力でしたか?」


 アランはマークから預かっていた魔力核をその場で見せる。そうすると幻獣種の一人が代表として受け答えを始める。


「はい、この魔力で間違いありません。倒したハンターの魔力も少し残っているようですね。これを持っていた人で間違いありません」


 これでマークが倒したとしっかり確認も取れた。その後、リルは解散させた。これだけのために集められた眷属たちだが疑問はないようだ。そもそも文句など言ったらどんなことをされるかわかったもんじゃないのだ。触らぬ神に祟りなしといったように誰も何も言わず解散していった。


「これで満足?」


「はい、ありがとうございました」


「誰かと思えば会長じゃねーか。久々だな」


 ここでドーボンがアランに話しかける。アランは組合に所属しているハンターはそれなりに覚えている。しかしドーボンが覚えているのは意外だった。


「やあ、幻級上位ハンターの緊急依頼ぶりかな。よく覚えていたね」


「まあエミーがあんたのとこの国出身だからな。流石に覚えてるよ」


「ははっ、ありがたい限りだね」


「ここで話すのもなんだし、家で話そうか」


 ハルがそういい、アランたちを自宅に案内するのだった。

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