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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
ハンターの宴
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師弟関係の始まり

「できない、ですか…」


 マーブは少し悲しそうにしている。最初からなれるは思っていなかったがそれでも少しは悲しくなるのだ。しかし、リルはそのようなマーブの反応に対してリルも少し申し訳なさそうに話し始めた。


「眷属にするというのは眷属魔法という契約魔法に属する魔法を使うんです。あなたの持っている魔眼は魔法耐性を飛躍的に向上させるものなのでできない可能性が高いんですよ。そしてあなたは元の魔力が飛び抜けて高いので難しいんですよ。それでも挑戦したいというのならかけてみますよ。私もあなたほどの質材を手放したくないですし」


「本当ですか!?それならお願いします」


 マーブはもうすでに決めていたのだ。なのでここに迷いはない。そして眷属魔法の魔法陣をリルが形成していく。その速度はハルの時よりも遅く、入念に組んでいることがハルには察することができた。そうして魔法陣が完成する。床に書いた魔法陣の上にマーブが立ち、リルが聞き取れない言語で詠唱を始めた。ハルの時にはなかった工程だったのでハルにも内をしているかわからなくなっている。そうして詠唱が終わると魔法陣が光り、マーブを包み込んだ。その時、マーブは目を抑え悲鳴を上げる。マーブはエルフである。元々エルフやドワーフのような古代人種のための魔法であり、エミーやドーボンはこのようなことはなかった。これが魔眼の影響なのだろう。


「いやぁあああ!!!」


 リルが冷や汗を流しながら魔法陣を保たせる。悲鳴を上げ続けているマーブになるべく負担がないようにしているのだ。この魔法陣はリルの魔力が注がれている。それを魔眼に耐性のみで弾こうとしているのだ。リルが制御せずにそのままにしていると魔法陣を形成しているリルの魔力がマーブに直接流れ込むことになる。魔眼はそれに反発するので眷属ならず、なおかつ眼すら完全回復不能なダメージが与えられる可能性すらあった。なのでリルは必死に魔法陣の魔力を制御しているのだ。そして時間が経ち、魔法陣がゆっくり消え、マーブはその場に倒れた。倒れたマーブを運び、ベッドに横にした。


「今までで一番緊張した眷属魔法でした。かなり強力な魔眼だったので結局眷属にすることができませんでした。マーブさんには申し訳ないですね」


「元々難しいと言っていてそれをマーブは飲んだんだ。リルが気にすることじゃない。しかし、麻痺や毒の魔法を食らってるマーブを見たことあるけどあんなことになっていなかったな。やっぱりリル達神獣種の魔力ってのは特別なんだな」


「ハルも、なったときは倒れてしまいましたもんね」


 そう、ハルですら耐えられずに昏睡状態になってしまった。でもそれはハルが人族であるからだ、古代人種であるマーブがこうなるのは予想がつかなかった。


「それは俺が人族だったからだろう。マーブはエルフだ。それでああなるんだから魔眼っていうのはやばい代物なんだな」


「使い方を誤るとかなり危険な物ですよ。それを今まで知らずに制御して見せてたんですから彼女の魔法の才は本物です。自分の本能で扱い方はわかったんでしょう。魔力量も異常なほどありますしね。逆にこれを制御するために魔眼が宿ったとも言えるかもしれません」


 マーブの持っている魔眼をリルはかなり評価している。そしてマーブ自身への評価もかなり高い。ユグノリアにいるときにリルはハルのことを魔力で神獣種に届きうる存在と言った。マーブに関してはもう届いているのだ。リルはそれほどの魔法師を眷属にしたらどれほど強くなるのか興味があった。魔法でどっこいになるだけで総合的な強さはハルに及ばないので暴走しても問題ないという認識で眷属魔法をリルはマーブに行使したのだ。


「なるほどな。まあ起きたら体調の確認もしようか」


「そうしましょう」


 そうしてマーブを眷属にすることはできず、目も覚まさないままこの日は夜が更けていった。


 次の日、マーブの様子を見にリルとエミーが部屋を訪れた。ドアをノックすると中から返事が返ってくる。


「起きてますか?入っても平気ですか?」


「はい、大丈夫です」


 そしてドアを開けてリルとエミーが入る。リルは手ぶらだがエミーは食事を持って入ってきた。エミーはマーブ対して朝食を差し出し、今の体調を尋ねる。


「食べれます?どこか変なところはありますか?」


「いえ、平気です。ご飯ありがとうございます」


 そしてマーブはご飯を食べ始めた。リルの指示でかなり多く作ったのだがマーブはそれを平らげてしまった。それを見てエミーは少し驚いている。マーブ自身も普段こんなに食べないので驚いているようだった。


「魔眼を使うと魔力を普通の魔法の数倍消費するんです。そしてマーブ。あなたは元の魔力量が私たち神獣種に匹敵します。なので今までは普通の魔法を使用してきただけでそこまで大きな消費はなかったでしょう。魔眼が常に発動していると言っても魔力が見えるのはその眼の特徴なので魔力使用は微々たるものです。昨日、私の眷属魔法を弾いたあの力、あれが本来の魔眼の力です」


「あれが魔眼なんですね。私は私の操り方がわかっていなかったってことですね」


 魔眼以外の部分でマーブはかなり研鑽を積んでいる。生まれつきの魔力量があったとしてもそれを扱うには研鑽が必要不可欠だ。それをし続けてきたからこそ今の神級ハンターという地位に着いているのだ。リルはそこを間違ってほしくないと思った。


「あなたは十分にわかっていましたよ。そもそも魔眼の存在を知らずに魔力の可視化を利用して強化魔法をかけていたんです。それは誰にでもできることではありません。今までの研鑽なくしてあなたが神級ハンターになれているとは思いません。努力は間違っていませんよ」


「それを聞けただけでここまで足を運んだ甲斐がありました。今日中にはお暇しようと思うわ」


 マーブのしたいことは終わった。なのでマーブは今日中にここを発つと言っている。それに最初にまたとぉかけたのはエミーだった。


「昨日の今日じゃない。もう少し休んでいっていいのよ」


「いえ、そこまで迷惑をかけるわけには」


 マーブは譲らない。少し遅れて様子を見に来たハルがちょうど入ってきた。先ほどの会話も聞いていたのだろう。


「それならリルに魔眼の使い方教えてもらえよ。使い方じゃなくても俺たちの知らない知識を大量に持ってるわけだしそれだけでこれからの役に立つと思うぞ」


「私もそれを提案しようと思っていたんです。眷属には出来ませんでしたが魔眼の説明はできます。私にも魔眼の研究をさせてくれませんか。そうすれば眷属にできるかもしれませんし」


 二人からの提案にマーブは感謝と疑問で頭がいっぱいになり疑問を聞くことにした。


「ど、どうして…勝手に来ただけの私にここまでしてくれるんですか…」


 リルとハルが目を合わせ先にリルが口を開く。


「ただの善意じゃないんです。魔力の量だけで見れば私に匹敵します。そんなあなたにもしも敵対されると面倒じゃないですか。だからできれば眷属にしたかったんです。それが叶わなかった今、教えることで恩を売ろうと思いまして。それにあなたの魔眼を研究して仕組みさえわかれば眷属にもできると思いますし」


「俺もそうだ。今後いつになるかはわからないが昔滅ぼされた神獣種が別大陸で復活したことはアランの書状で読んだだろ?それに備えておきたいんだ。手堅く勝つにはやっぱり戦力は必要だからな。だからもう少し残ってリルに教われよ。きっといい方向に向かうと思うぞ」


「ありがとう。それじゃあお言葉に甘えてそうさせてもらおうかしら」


 マーブはリルを師と仰ぐ関係がスタートした。

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