神級ハンターの素質
タイトルを少し変更しました
ハルはハンター組合に着いてダリノクス支部の組合長ロッドと部屋で話していた。
「これが会長からの書状だ。今見てくれ。その後は処分するように言われている」
「ああ」
ハルは組合長に書状を受け取りその場でそれに目を通す。神獣種の会合で話し合われたことがそこには書いてあるが神獣種という部分がきれいに隠蔽されている。ハルは他の神級ハンターに言わない方が良かったのかと考えるがもうすでに言ってしまったので仕方がない。ユグノリアなどの情報は伏せているので平気だと自分で結論を出す。
「これ、神獣種の部分は伏せるって感じでいいんだよな?」
ハルはロッドに確認を取る。
「それが助かる。まあ伏せなくてもいいとは言われているんだがな。これが大事に発展すれば隠せなくなるんだしな」
ロッドはユグノリア出身のエルフである。他の国で生まれたエルフは旅に出ることが多い。エミーもその一人だ。しかしユグノリアで生まれたものは生涯ユグノリアで過ごすことが多い。今でこそこの大陸でエルフは人族と同じ区分であるが過去の獣人族とのいざこざで数も減り、獣人族が種族と認めなかった。その中で神獣種に守護されているユグノリアを出ようと考える者はいなかった。その時代を生きた者たちが未だ生きている人数が多いユグノリアではその風潮がある。その中でこのロッドはユグノリアを出てアランの組織に属すことにした。
「まあユグノリアは今でも閉鎖的だからな。その国でハンターの会議を神獣種としているって知られるのは結構リスクがあると俺も思うよ。神級のやつらは気にしないと思うけどな」
ハルは神級ハンターたちを嫌っているわけでも見下しているわけではないが、常識が通じないと思っている。それはハル含め全員に当てはまってしまう。
「まあ神級の者たちは他人事程度だろう。弱者の考えなど気にしていないものが多すぎる」
「俺は違うぞ」
ハルはすぐさま否定するがロッドはため息をつく。
「お前が一番他人のことなんて気にしていないだろう。王獣種の件も少しは回してい欲しいんだ。幻級ハンターたちの教育にもなるんだからな。それも大森林はハンターになじみ深い場所だ。それこそこの国のハンターならばな。それをハル、お前が全部引き受けると言っているんだ。こっちは他の育成場所を探すことが大変なんだ」
神級ハンターを多く生み出そうなどとロッドは考えてはいない。しかし強いハンターが多いことに越したことはないのだ。もちろんハンターの命は大事だ。なのでなるべく被害が少なくなるように王獣種の狩猟を計画する。これも組合の仕事の一つなのだ。しかし会長がこれを認めてしまったたロッドは強く言えないのだ。
「それはアランに言ってくれ。それについこの間、王獣種をソロで討伐したやつがいたらしいな。リルの眷属である幻獣種のやつらが言ってたから本当だと思うぞ」
ロッドは目を見開きハルを見る。数日前にマークのパーティがここにきて救援要請を出していたのだ。その次の日にマークは帰ってきた。そう、王獣種とみられる魔力核を持って。新たな神級ハンターの誕生なのではないかロッドは思ったがまずは精査が必要だった。それにハルが太鼓判を押した。これは決まりだろう。
「本当に王獣種だったのか。確かにマークというハンターがソロで王獣種を狩ったと言いここに来た。魔力核を持ってな。今大森林に調査隊を派遣しようと思い、編成を組んでいたところだったんだが大森林の主の眷属のお墨付きなら問題ないな」
ハルはただのハンターであるが階級が上であるために発言権を有している。ロッドは慌ててアランあてに書状を書きそれを使いに渡した。
「ここに入ってくるときに広間を通ったがそこでパーティメンバーと話してたな。王獣種を一人で倒したとかなんとか。強さ的には倒せなくもないくらいの強さだったけどそれでも倒したのは事実だろう」
「ふむ。でもなんかマークの言っていたことでわからないことがある。肩を損傷して回復薬で応急処置はしたらしいんだが麻酔の効果が切れて痛みと王獣種との戦闘で神経をすり減らしていたのだろう、野営地で倒れてしまったらしい。それで起きると傷が無くなっていたらしいんだ。悪い夢でも見ていたのかとも思ったらしいんだが肩の装備は壊れていて魔力核も持っていたらしい。助けてくれた方に感謝をしたいらしいんだが何か知っているか?」
ハルには一人、思い浮かんだものがいた。普段はパーティを組んでいてサンドリアにいる魔法師の女性だ。彼女なら治癒魔法など造作もないだろう。彼女の性格的にするかどうか怪しいが彼女も気まぐれで生きている。何か興でも乗ったのだろう。
「それ、多分マーブだな。ここに来る前に大森林で会った」
「マーブだと?サンドリアから出てきていたのか。マークも運が良かったな。彼女ほどの腕ならばマークも魔力を使わずに治癒しただろうからな」
「今はソロで大森林には薬草を取りに来たんだとよ。そう聞いたが真実かどうかはわからない」
多分真実なのだろう。それでも彼女にしてはアグレッシブだがそこは気にしないことにした。彼女も神級ハンターだ。予想できない動きをするものなのだと自分を納得させた。
「それじゃあこれ返すわ。もういいか。俺帰りたいんだけど」
「ああ。とりあえずするべきことは終えたから平気だ。今回の幻級ハンターの件で神級に昇格するようならまた書状を会長が送ってくるかもしれない。その時はお前がもともと住んでいた家に書状を送るから定期的に確認してくれ。大森林の奥地まで流石に持っていけないからな」
「わかった。善処する。それじゃあな」
ハルは席を立ち部屋を出ていく。あのいい方はあまり確認する気がないと思われる。会長に事情を話せばわかってくれるかもしれないと思いながらロッドは業務に戻るのだった。




