神級ハンターの集まり
ここから第三章です。
ここはフィスティリアにあるハンター組合本部の一室。そこには会長であるアラン・セルフォードを始めとした神級ハンターが集まっていた。
「やあみんな。今日は集まってくれてありがとう。早速なんだけど書状は読んでくれたかな?そこに書いてあることについて話し合いたいんだ」
アランがそう切り出して話し始めた。それを神級ハンターたちは静かに聞いている。聞いていない者も若干数名いるがそれを気にせずアランは話を続ける。
「まず、神獣種である炎神龍バクリスクの復活。この神獣種は過去、この大陸を戦火に包んだ元凶のモンスターだね。ほとんどの者が神獣種を見たことがないとは思うがこれは紛れもない事実だ。そしてこの神級ハンターの中に神獣種の眷属になった者が二人いる。彼らに神獣種のことを聞いてみるといいと思うよ。ね、ハル君、アリエス君」
ここでハルとアリエスに話を振った。他の神級ハンターが一斉に二人の方に注目する。ここに来る前、ハルは仲のいいヴィノには伝えている。なのでヴィノは意に介していないようだが他の神級ハンターたちは興味ありげに二人を見ている。
「なんで俺たちが説明しなきゃいけないんだ。まあいいや。俺は神狼であるリルの眷属になった」
そういうとハルは普段被っているフードを取る。そこには人族には決して存在しない獣の耳が生えていた。それを見せてからまた話し始める。
「これは神獣種、つまりリルの眷属になったときに生えたものだ。体の特徴に眷属にした神獣種の特徴が出るらしい。他にも魔法特性が変わるってことも言ってたな。しかし、元々全属性使えていたからそこの恩恵はあまりない。あるとすれば魔力量が増えたくらいだな。他にも体が人族の時よりも丈夫にもなったりしたがこれもあまり実感できていない」
「私は神蛇スクリスの眷属になったわ。私は外見はあまり変わっていないわね。魔力特性はだいぶスクリスに引っ張られたけれどその程度のものね。神獣種の格によっても変化の具合が変わるみたいね。まだ詳しくわかったわけではないけれどこれについては間違いないようね。ハル君が元々強すぎる弊害が出てしまっているわ」
二人の話を聞いたうえで一人を除いて変な意見は出なかった。そもそも他人への関心が少ない者たちであるためその辺の許容範囲は普通に者たちよりも広いのだろう。しかし、一人だけ声をあげたものがいた。
「おい!これはつまりモンスターに加担したってことだろ!?それはいいのか会長!」
ここで声をあげた者、ついさっき会長から説明があった新しく神級に昇級したマークというハンターだ。彼はリルとハルが不在だったときの大森林で依頼をこなしていた時に猪系モンスターの王獣種と遭遇しそれをソロで討伐したハンターだ。幻級ハンターでありパーティメンバーを逃がすために一人で王獣種に立ち向かった勇敢なハンターである。
「まあ落ち着きなよマーク。彼らは敵じゃない。人族に危害を加えることはないよ。そうじゃなきゃここに呼んでいない」
アランが諭すように言う。ハルにもアリエスにもそんな気は毛頭ない。面倒ごとにしかならないのだ。それをするハルとアリエスではない。しかし、その言葉はマークには届かない。
「敵じゃないとどう証明するんですか。人を超えた力を手にしているのにどうして会長も、そして他の人もそんなに冷静なんですか!」
マークはそう訴え続ける。そこに普段はあまり話さない男が口を出した。
「そもそもお前はついさっき神級になったばかりだろう。つまり俺を含めてここにいる者のことを何もわかっちゃいない。俺たちの方がわかってる。その俺たちが口を出していないんだ。それで察しろ坊主」
ヴィノがそう発言した。ヴィノはあまり話すタイプではないので他のハンターはそれに驚いていた。マークは確かにここにいる者の人となりを知らない。この中で名前を知っているのもロドルという神級ハンターのみだ。それ以外は今回初めて名前を知った。唯一知っているロドルに関しても名前しか知らない。彼はいろいろな国を放浪しているのだがハンター組合職員には知られている稀有な神級ハンターだ。他の神級は組合長クラスしか知らないことがほとんどなのだから。
「そんなことを言うなら実力で示してくださいよ。俺も神級になったんだ。そして今までの周りのやつと比べてレベルが違った。ここであなた方神級ハンターの実力を知っておきたいんです」
マークのこの発言に数人のハンターの顔つきが変わった。何を言っているんだと困惑の表情を浮かべる者、この新参神級ハンターと戦えるかもと喜ぶ者、さまざまな反応をしている。顔色を窺っていたアランが慌てて止める。
「ちょっと待って!マーク君、少し落ち着こう。こんなところで争われても困るからさ。今回は話し合いなんだから少し落ち着こうね」
アランの顔は引きつっている。こんな場所で喧嘩なんてされた日には本部が倒壊しかねない。それほどの者たちを集めているのだ。このマークという男も神級に選ばれるだけのポテンシャルを秘めている。そんなもの同士で争われると困るのはハンター組合だ。
「自分がここにいるということは彼らと同格ということです。それを見下した態度、実力で示してほしいですね」
マークはまだ止まらない。その言葉に反応したものがいる。その人物はジット。この世界で自分よりもいい気なモンスター相手に素手で戦うイカれた人物である。しかし、彼の本質は絶え間ない努力、そしてあくなき強さへの渇望だ。その彼が新参のマークに反応してしまった。
「では、俺が相手をしよう。他の者では種族が違うなどと言い訳されかねんからな。俺ならばその心配はないだろう」
今ここにいる人族は眷属になったハルとアリエスを抜かすと二人であり、それがマークとジットである。これでマークも引けなくなった。
「いいですよ、やりましょう。いつにしますか」
アランが見ているところで話がどんどん進んでいく。もうアランは諦めてしまった。
「はぁ。もうしーらない。どうせ誰かはこうなると思ってたしね。場所はこちらが指定するからそれまではしないでくれよ。町中なんて論外だからね」
二人は静かにうなずく。そしてアランはなぜかハルの方に向く。
「ハル君、場所は大森林にしたいんだけど神狼さまに伝えてくれないかな」
「伝えることはいいが許可が出るかは別問題だぞ。俺でもそこまでの決定権は持ってないからな」
「ありがとう。それで平気だよ」
こうして神級ハンターたちの話し合いは終わった。
第三章始まりました。今回はハンターたちが多く出てきます。楽しんでくれると幸いです。これからもよろしくお願いします。




