砂海から帰還
今回話し合うべき内容が終わりそれぞれが帰路に着くことになった。リルとハルの二人もユグノリアから大森林に向けて砂海に出るところであった。
「それじゃまた会合をするときかしらね。炎神龍がこっちの大陸に来たら別でしょうけど」
「そうだな。それではな、リルよ。それにハル殿も」
「ええ。また」
「はい。ここはいいところなのでまた来たいと思います」
こうしてハルとリルは砂上船に乗り込み、砂海に出ていった。それをバンゴスタは見送っていた。
「彼の存在はこれからどんどん大きくなるでしょうな。彼一人で炎神龍にも勝ててしまうのではないでしょうか」
「ああ。あのリルとの戦闘は見ていて驚きが勝ったな。我が国の兵士が目で追えない戦いなど今の時代ではないことなのだ。それを人族だった者がこなしたとなればいい刺激になったであろうよ。お前の息子もだいぶやられたみたいだしな」
「そうですね。だいぶ堪えているようでしたよ。それも成長には必要でしょう。今はそうなる場面がないですから、これを機にどんどん成長してもらいたいですね。それがこの国の成長にもなるでしょう」
バンゴスタはドーグと話しながら自身が住んでいる世界樹に戻っていく。これまでの生活に戻っていくわけだがそれでも楽はできない。炎神龍の復活、それがどうしても絡んでくるのだ。これを無事に終わらせることができれば元の世界に戻る。早く終わることを願いつつもバンゴスタも部下の強化を考えていた。
砂上船の中ではハルがアランに言われたことを思い出していた。戻ったら神級ハンターに炎神龍バクリスクの復活の件を話すらしい。その時にハルとアリエスにも集まってほしいということだった。この二人はもうすでに内容を把握しているんもだがそれでも集まらなければ今後の集まりに関わるとのことだった。そしてアランも炎神龍との戦いに参加するようだ。今まで一度もアランの戦闘を見たことがない。なので興味があった。アランがいるとき、ハルは毎回刀を使用して戦っていたので実はアランもハルの本気の戦闘を見たことがないのだがハルは完全にそのことは忘れていた。むしろもう知っているものだと思っている。なので自分から言うことはないだろう。
「アランはなんて言ってたの?」
「帰ったらハンター組合本部に来てくれって言ってたよ。神級ハンターに招集をかけたらしい。今回の件を知らせることが目的みたいだ。それと神獣種が治めていない場所に神級ハンターを配置することも考えているみたいだな。これに関しては炎神龍が復活したのに新たに神獣種が発生するのを防ぐためだと思う。流石に幻獣種になったらほとんどの神級ハンターでもきついとは思うけどな。王獣種なら全員がソロで討伐できるから幻獣種を生み出さないための措置だと思う」
「もし、幻獣種が生まれてしまったら?あなたかスクリスの眷属が行くの?」
「そうだな。どっちかになると思うぞ。それか神獣種の誰かが行ってくれるならハンターの負担がだいぶ減るけどそんな奴はいなそうだしな」
神獣種はあくまで自分の領域内での発生を防いでいるに過ぎない。なので他の場所で現れようが現れてから考える。生まれたばかりであれば負けないという自負があるからだ。負けたらそれはそれで仕方ない。それが自然の摂理なのだから。それでも負けないという自負があるのは実力が単純に違うのだ。生きてきた時間、戦いに明け暮れた時間、そのほかの全ての時間が違う。そこから生まれる差はどうしても埋めることはできない。そこを埋めるには才能が必要だ。しかしモンスターは自我がハッキリするのが幻獣種からであり、少ない時間で神獣種になっても思考が追いつかない。まだモンスターのころの習性が抜けず強者に従うことだろう。戦うまでもないのだ。とあるモンスターはそれを崩しかねない生態をしているのだがそのモンスターは王獣種になる前にほとんどが死ぬためリル含め神獣種たちは気にしていない。
「まあその時は近い方が対応すればいいだろう。そもそも王獣種を狩りきれないってことがないと思うしな」
「なるほどね。まあ私的にはハルがそばにいてくれればいいわ」
二人で話しながら砂の上を進んでいく。そして緑色の山のようなものが見えてきた。
「とりあえず帰るとしましょう、私たちの家へ」
「そうだな」
二人は大森林を眺めながら砂上船に揺られていた。
アランはサンドリアに着いていた。アランのお付きの者たちが出迎え、そのまま馬車に乗り込む。
「アラン様。この旅はご苦労様でした。手紙を拝見いたしましたが未だ信じられませんな」
「俺もいまだに信じられないよ。それでも神獣種たちが全員口をそろえて言ってるんだ。間違いないだろう。それよりもはやく本部の方に帰ろう。帰ったら神級ハンターを迎える準備を始めるよ」
「ではサンドリアの支部には寄らない方向でいいでしょうか?」
「あぁ~、軽く寄ろうかな。組合長にも手紙は出しているけど直接話すよ。彼らにも来てもらうことになるからね」
「承知しました」
アランは自国を飛び出してハンター組合を作った。それは自分が自由に生きたかったからであるのだが今はその組合のせいで息苦しくなっていることに気が付いているが気付かないふりをしながら業務をしている。
大陸のいろいろな場所を飛び回っている神級ハンターたちが会長からの知らせを聞き、フィスティリアに向かい始める。これから起こることにわくわくしている者、自身の武器をどう強化するか考える者、魔法による急な天候変化について研究している者、それぞれが好きなように生きている神級ハンターが炎神龍バクリスクの復活という非常事態に際してこれから一堂に会することになる。そしてハルもまたその一人でありハルもそこに向けて動き出していた。
第二章終了です。第三章ではモンスターメインではなく人族がメインになると思いますがなるべく戦闘シーンは書けたらなと思っています。まだまだ拙くうまく書けている自信はありませんがここまで読んでくれた方ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。




