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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
砂漠の世界樹
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ハルの実力

 バンゴスタは普段使用する訓練場に来た。バンゴスタが国民の緊急避難場所にも設定しているので造りはかなり頑丈だ。そこに飛竜系モンスター、ワイバーンの王獣種が鎖に繋がれていた。


「こいつは我が国の兵士に訓練をするために連れてきたものだ。これと対戦してもらおうと思っている」


「こいつを?実力を見る前に終わる気もするんだが」


 ハルがこのように言うのも無理はない。ハルはワイバーンとの戦闘経験は少ないがないことはなくワイバーンがいる地帯で活動しているわけでもないので戦う必要がないので戦闘経験が少ないのだ。それでも多少あるのはハンター組合の依頼によるものであり、その相手は王獣種だった。なので普通のハンターには考えられないがハルのワイバーンの戦闘経験は王獣種のみである。


「元々幻獣種の竜人は同種のモンスターだった。それを打ち破ることも訓練だ。その中で最上位のモンスターなんだがな」


 そう、このモンスターは竜人に向けての訓練相手なのだ。ハルには見合っていない。なのでハルの疑問はもっともである。それでもこれ以上の相手は今はいない。


「まあ一応戦うか。すぐ終わるだろうけどな」


 そうして準備が始まる。ハル以外は防御壁の外側に行き、戦闘が始まるのを待つ。ワイバーンの鎖が解き放たれ、戦闘が開始した。このワイバーンは複合属性の魔力特性があり、雷と炎を使い、雷を纏ってそのスピードで飛翔してくる。それをハルは身体強化で回避する。ハルは近接武器の切絶(きちたち)を鞘から抜く。その刀でワイバーンの翼を切り裂く。それをワイバーンも読んで躱すが翼膜に当たり飛行がブレる。その隙をハルは見逃さない。今度は翼膜ではなく翼本体を狙う。そこを狙ってワイバーンは火球を吐いた。ハルはその火球を水魔法で打ち消し、そのまま突っ込む。そして翼の切断に成功する。そして飛行能力がなくなったワイバーンにハルは切り込んだ。口から首まで切り裂いて脇腹に刀を突き刺す。そこに火の魔法を流し込む。傷口から火が噴き出しワイバーンは動かなくなった。そして最後にワイバーンの魔力核をつかみ取って戦闘が終了した。


「これで平気ですか。一応ここで使える範囲で全部使ったんですけど」


 自身の魔法を見せながらこの手際の良さだ。この戦闘を見ていた者たちは息をのんだ。ハルのハンターとしての戦闘を見たことがあるものはつまらなそうに見ていた。


「ふむ、さすがの手際の良さだったな。しかし、役不足感は否めなかったな。仕方はないがそれでももう少し見ていたかったな」


「では、私との摸擬戦でも見せましょう」


 ここぞとばかりにリルが声を上げ返事を待たずに訓練場に入っていく。そして後処理をしていたハルと竜人の兵士たちに声をかける。


「ハル、私と摸擬戦をしましょう。そこの竜人、少し離れていてちょうだい。魔力は使わないから外の闘技場ほど被害は大きくならないと思うわ」


「随分やる気だなぁ。まあ俺ももう少し体を動かしたかったしいいよ、やろうか。武器はどうする?刀使うか?それとも木剣を借りるか?」


「それについてはこれを使いましょう」


 リルは魔力を手に持つ魔石に込める。そこから二振りの刀を取り出した。木剣ではあるのだが刀の形になっている。


「それどうしたんだ」


「この国の鍛冶師に作ってもらいました。サイズは二本とも同じなのでどっちでも構いません」


 ハルは片方を受け取り、リルと向かい合う。


「魔法は無しで行きましょう。流石に魔法も使うとバンゴスタに怒られてしまいますから。ではバンゴスタ、号令をお願いします」


 急にバンゴスタに話が飛んでくる。それにバンゴスタは呆れたような顔をしながらも号令をかける。


「わけのわからないままだがこうなるともう止められないな。それでは摸擬戦!はじめ!」


 号令がかかった瞬間に二人の姿が消える。木刀のカスが宙を舞っている。この動きが追えていないのは竜人の兵士たちであり二人が何をしているかを小声で話していた。そんな中ハルとリルの二人はまだ打ち合っている。この速度を魔法無しでしているのだ。先ほどの身体強化はなんだったのかと思わせる速度で戦っている。この戦いが見えている神獣種たちとアリエスとドーグ、アランは二人の表情を見て息を飲んだ。二人とも笑っているのだ。リルは今は落ち着いているが昔はかなりの戦闘狂であり、炎神龍と主に戦ったのはリルであった。そして炎神龍が逃げて終結したその戦いでリルは無傷だった。その時からリルの実力は抜けていたのだ。そのリルに魔法無しとはいえ戦いになっているハルもまたある種の戦闘狂である。つばぜり合いになりそこで竜人の兵士たちにも二人の姿が確認できた。


「リル、刀の使い方が上手くなったな。魔法無しなら圧倒できると思っていたんだが」


「いいえ、まだまだですよ。そもそもこの身体能力自体がハルとは違います。身体能力が違うのにここまで均衡してしまうハルの技術にはいつも驚かされますね」


「長引かせても仕方ないし、そろそろ終わりにしようか」


「そうしましょうか」


 そして二人が距離を取る。二人とも腰に木刀を構える。そしてほぼ同時に二人は木刀を振り抜いた。片方の木刀が宙を舞う。勝負が決まる瞬間を観戦者たちは見ていた。リルの振った刀の軌道をハルがいなして逸らす。そしてリルに力が入らないタイミングでリルの木刀を弾き飛ばしたのだ。飛ばした後そのままリルに近づき木刀を首に突きつける。


「俺の勝ちだな、リル。剣術の師匠としては魔法無しの戦いで負けるわけのはいかないからな」


「負けました。またやりましょうね」


「そこまで!勝者ハル!」


 バンゴスタがそう宣言し、二人の突発的に起こった摸擬戦はハルの勝利で終わった。

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