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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
砂漠の世界樹
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ハルとアラン

 バンゴスタとの話を終え、アランはハルとリルの元にやってきていた。二人掛けのソファにハルとリルが腰を下ろしている。その正面にあるソファにアランが腰を下ろした。


「で、今のハル君の実力を見てほしいとのことだけどどうやって見せてくれるのかな。まさか戦えなんて言わないよね?」


 アランは神級ハンターのレベルで戦うことはできるが眷属になる前からハルの実力は知っている。その時点で勝てないのだ、今勝てるとは微塵も思っていなかった。


「そうは言わないわよ、あなたがハルに勝てるとは思ってないもの。私との戦いを見せてもいいのだけれどその場合は魔法は無しね。この国がどうなるかわからないから。まあ身体強化くらいなら平気でしょうけど」


 正直、二人の戦いにアランはかなり興味がある。それこそモンスターの頂点と人族に頂点の戦いだ。今のハルは純粋な人族ではないがそれを言うとリルもモンスターとは言えない人の姿なのでお互い様だ。


「とりあえずハル、ここで魔力を高めてみてもらっていいかしら。アランならそれで大体わかると思うの」


「ここでいきなりいいのか?他の人に断りは入れとかないとこの間のようにめんどくさくなるぞ」


「この間何があったんだ…」


 つい先日、ハルとリルの二人は闘技場を借りて摸擬戦をしたのだ。そして最初はリルの剣術の指南であったため二人とも朝の稽古のようにしていた。しかし、興が乗ってきてしまい、魔法も使う戦いに発展してしまった。こうなった時点でこの国で止めれるものは限られてくる。それを止めたのはこの国の長であるバンゴスタであった。そのせいで今も闘技場は工事に追われている。そして二人には厳重注意がなされた。闘技場には魔法耐性のある世界樹が使用されていたのだがそれすらもこの二人を抑えるには足りなかった。


「その話を聞いただけで大体の実力は掴めたよ。現に今、神狼さまの魔力を感じているけどこれと同等ってことでしょう?さすがに抑えているものを開放したら大変だ」


「もしかすると私よりも魔力は多いかもね。普段から抑えて生活してるからその分魔力が体に馴染んでるから。馴染ませて増やしていくのが魔力増加の基礎だしそれを実践でもしているのだから」


 そう、ハルほど魔力を操作するハンターなどいない。それも隠れている間だけでなく戦闘中もしているなどこの大陸以外を見てもハルだけだろう。


「まあ対応はアランに任せて一回魔力を抑えずに出してみようか」


「ちょっ、待っ!」


 ハルはアランが静止する前に魔力を開放した。この部屋に濃密な魔力が一瞬で充満した。魔力解放の勢いでテーブルなどにひびが入った。このハルたちが止まっている館の家具はどれも世界樹製のものであり魔力にはめっぽう強い。それがこのありさまだ。リルでこうなっていないのは急に開放などはしていないため勢いがないからだ。今回は抑え込まれていたものを一気に解放したために起きた魔力嵐のような現象が原因だ。ハルが魔力を抑え込む。そしてこの部屋の惨状を見て、アランに言う。


「すまん、少しずつ開放すればよかったな。まあアランが説明してくれ」


「勘弁してくれよハル君。私は確かにハンター組合の会長だけど君の保護者ってわけじゃないんだから」


 リルはその会話を聞きながら笑っていたのだが廊下が騒がしくなってきた。そして部屋に数名が入ってきた。


「おい!何をしている!?」


 バンゴスタが血相を変えて入ってきた。その後ろにはスクリス、オシーア、そしてアリエスがいる。全員が武装もしていて完全に制圧に来た者たちに見える。


「あら、どうしたの?アランにハルの力の一部を披露していただけよ。そんな武装してどうしたのかしら」


 リルは涼しい顔で言い放つ。それにバンゴスタはさらに顔が怖くなる。


「どうしたじゃない!急な魔力の感知。それも今までこの国で観測されていないような魔力だ。それは緊急性があると思うだろう。その魔力の発生源がお前の部屋だ。反旗でも翻したかと思ったぞ」


「そんなことするわけないじゃない、めんどうくさい」


 話を取り合わないリルに嫌気がさしバンゴスタはハルに話を振った。


「ハル殿、こういうことは困るぞ。この力を向けられたらこの国で対処できるものが少なすぎる。前回の闘技場のことをお忘れか?」


「い、いやぁ、リルが平気と言ったし、アランも責任を持つって言ったもんで」


 この一言でバンゴスタはアランに視線を向けた。かなり起こっているようだったのでハルはアランにそのままパスすることにしたのだ。


「おい、アラン。どういうことだ。確かにお前はハル殿の実力を見ると言っていたが今!ここで!する必要はあったのか?」


「ちょっと!誤解だって!止めようとしてそんな時間なく魔力解放しちゃったんだから」


 オシーアは驚きながら様子を見ていた。そんな中スクリスが話した。


「まあいいじゃない、反旗を翻す気なんてなかったんだし。それにしても今の魔力、かなりえぐかったわね。戦ってるところ見てみたいわ」


「私も久しぶりに見たいわね。戦いたくはないけど」


 スクリスの言葉にアリエスが賛同する。それを聞いていたバンゴスタは頭を抱えている。バンゴスタの国なので当然ではあるのだが彼女らは止まらないだろう。そういうものたちなのだ。今悩んでいる間にもリルもその意見に賛成し誰がハルと摸擬戦をするか話している。


「待て、今このレベルの者たちの戦いに耐えれる闘技場がこの国にはない。闘技場の修復にはまだ時間がかかるぞ」


 そう、つい先日にハルとリルが壊した闘技場が一番大きく、頑丈に設計されていたのだ。それが今は壊れて修繕中である。さらに強度を上げるための改修も行なっているのでまだまだ時間がかかるのも確かなのだ。


「でももう見ないって選択肢はないわよ?私かなり興味湧いちゃった」


 スクリスは全く諦めていない様子である。バンゴスタは諦めるようにため息を吐く。そしてこの場にいる全員に声をかける。


「では私が普段使っている訓練場に案内しよう。そこならば神獣種の攻撃も耐えることが出来よう。そもそもそのように作ってあるしな」


「最初からそういう場所があるなら言いなさいよ~」


「まったくね」


 スクリスとリルがそのような文句を言っているがハルには言わなかった理由も理解できる。今は敵対関係ではないがいつか敵対したときにバンゴスタの性格上、国民を守ろうとするだろう。そしてそこが国民を守る避難場所なのだろう。そこを言わないのは理にかなっている。


「ごちゃごちゃ言わずについてこい。この話を無しにしてもいいんだからな」


 そう言われて二人は黙ってバンゴスタについて行く。ハルも今回はやらかした責任があるので黙ってついて行く。誰と戦うのか考えながらついて行った。

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