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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
砂漠の世界樹
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会合の開始

 海神龍オシーアがユグノリアに到着した。その足でバンゴスタのいる世界樹に向かっていた。


「この国はいつ来ても豊かじゃの。わしもこんな国を領域にしたかったもんじゃ。まあわしにこの砂海は居心地が悪すぎるかの」


 オシーアが会合の行なわれる部屋に着くとそこにはバンゴスタのみがいた。他の神獣種はすでに着いていると言われていたオシーアは面食らった。


「バンゴスタよ、他の者はどうした。今回はわしが一番遅いと聞いておったんじゃが」


「久しいなオシーア。他ももうすぐ来るだろう。あんたに合わせた結果だ。あまり周りを責めてやるなよ」


 そのような会話をしているとスクリスも眷属であるアリエスを連れてやってきた。スクリスは悪びれもせずにそのまま席に着く。そして最後にリルが入ってきた。リルも自分がルールと言わんばかりの顔で入ってくる。その後ろにはハルももちろん着いてきている。


「結局あなたが最後じゃない、リル」


「今回はオシーアの爺さんでしょ。私はこの国に来た順番でいえば一番よ」


 バンゴスタはため息をついた。スクリスも少し前にリルに会っているのだからわかってからかっているのだ。


「今回に関して言えばね。今までどれだけ待たせてきたと思ってるのよ。それをまず自覚しなさいな」


「過去の話はいいでしょ。今の話をしましょうよ」


 このままこの二人の口喧嘩を待っていると進まないとわかっているバンゴスタが口をはさむ。


「もういいだろう。それより会合を始めるぞ。今回は領域の話だけでは終わらなそうだからな」


 バンゴスタがそういうと他の神獣種の顔が変わった。ハルはそれを見てリルに聞いた話の信憑性が高まったと判断した。過去に倒した神獣種の復活。そして今はまだ関係ないが別の大陸での復活のため、どうなるか予想できないということ。過去にリル含め今の神獣種が倒した神獣種の名前は”炎神龍(えんじんりゅう)バクリスク”。その神獣種は戦闘力はもちろん、自身の眷属を使うのが上手いらしい。獣人族が警戒されている理由がここにある。獣人族は彼の眷属であったらしい。そしてその神獣種は他の神獣種を滅ぼしこの大陸を支配しようとした。獣人族は他の種族を下に見る傾向にあった。その二つが重なり過去にこの大陸で大戦が起こったのだ。それを止めたのが他の神獣種とその眷属である。元々この大陸に多く住んでいたのは獣人族でありエルフやドワーフは数が少ない種族であった。獣人族対エルフ、ドワーフ族という構図が誕生しそこに炎神龍が獣人族に加勢したのだ。古代人種同士だけの戦いならば他の神獣種は今後の行く末を見守ろうとしていたのだが炎神龍が参戦したことで状況が変わり大戦が始まったのだ。


「まずは今まで通り領域の選定を行う。今よりも増やしたいもの、逆に減らしたいものはいるか」


 ここに返事はない。減らすならいざ知らず増やすなど言語道断。領域が増えるということは傍から聞けばいいことのように思えるが彼らはにとってはそうではない。神獣種の領域というのは彼らの棲み処でありそこにいるモンスターよりも強い証明であるがそこの問題ごとを解決しなければいけないということでもある。彼らが面倒がっているのは幻獣種、または神獣種は自身の領域内で発生した場合のことである。炎神龍の時のようなことを起こさないために領域を決めた。そしてその中で誕生してしまった場合の責任をその領域を守護する神獣種にするのだ。それを神獣種たちは嫌う。そのため王獣種から幻獣種に進化しそうなものは倒すか眷属にしているのだ。人族や古代人種であるエルフ、ドワーフ族は眷属にできるが他は自身の種族に依存するため仮にリルが猪系のモンスターを眷属にしようとしてもできない。過去に試したこともあるらしいのだが失敗であり、そのモンスターが魔力暴走を起こし後始末に追われたらしい。そのため領域内にいる神獣種の系統モンスター以外は倒すことになっている。領域を増やすというのはその範囲を広げるということであり誰もしたがらない。


「増やしたいなんて奴いるわけないでしょ。今のままでいいでしょ。私たちの領域以外はハンター組合に頑張ってもらいましょ」


 スクリスがそのようにいい他の神獣種も頷いている。バンゴスタも本気で広げようとは思っていないのだが一応聞いているのだ。これを聞かなければここに集めて会合を行う理由がなくなってしまう。


「まあそうだな。ではのちにアランに言うとしよう。あやつもどうせここを今目指していることだろう。この件はアランが来てから話すことにしよう」


 バンゴスタは一呼吸置き、ついこの間感じ取ったものの話を始めた。


「お前らも感じたであろう。炎神龍バクリスクが復活した。遠い大陸でに復活であるため今は平気だがいつこちらに攻め込んでくるかわからぬ。用心しておけ」


「場所的にわしの領域が一番近そうじゃな。面倒じゃのう。しかし、海でわしに戦いを挑んでくるとは考えずらい。逃げたときのように地下から来るんじゃないかの」


「確かにな。そうなると出てくるのは火山地帯か。あそこはハンターの管轄だが今の組合の実力では難しそうだな。リル、ハル殿を向かわせることは可能か?」


 今まで話してこなかったリルにバンゴスタが話を振る。リルは瞑っていた目を開き答える。


「向かわせることはいいけれど私の眷属がそこに行く理由あるの?ハンターだけれど今は私の眷属だけれど」


「そうは言ってもな。今この会合に参加しているハンターは彼だけだ」


「何言ってるの。スクリスの眷属もハンターよ、ハンターの階級で言えばハルと同じだし」


 急に話を振られたアリエスは少し驚くがスクリスが返す。


「アリエスよりもリルの眷属のほうが強いのは事実じゃない。この大陸がまた戦火に見舞われるくらいなら強い方が行った方がいいわよ。これもアランが来てから決めればいいんじゃない?どうせ決まらないもの」


 この中でハルの実力を測れないものはいない。それでも完璧には計りきれていないのが現状であった。ハルは自身の魔力を隠ぺいしている、それを正しく見れるのは同じ技術を持つスクリスと主であるリルくらいだ。バンゴスタも戦いを見ているがそれでも計りきれていない。戦闘すら見ていないオシーアは尚更である。


「わしにはただ強いハンターにしか見えんがそれほど強いのか、君は」


 オシーアはハルに話を振る。それにハルは答える。


「どうですかね。この国の兵士長には勝ちましたよ。しかしこの国で一番強いであろう兵士とは戦っていませんが」


 そう言いながらドーグを見る。ドーグは驚きもせずにそのままバンゴスタの背後に控えている。バンゴスタが目くばせをしドーグがそれを見て口を開いた。


「私では勝てないでしょう。大戦時代の強かった兵士たちよりも彼は強いですよ」


 このドーグの言葉にオシーアは驚きで目を見開く。過去の大戦を経験しているからこそその言葉に厚みが出る。今の人族ははっきり言うと弱い。神獣種基準の話になっているので弱いのは当然としてそうだとしてもレベルは下がっている。その変化を見てきたドーグが勝てないと言ったのだ。オシーアは他の神獣種に意見を求めた。


「では、リルの眷属になったからある程度の力を手に入れたわけではなく元から強かったということかの」


「ええ、そうですね。私が眷属にする前から私の眷属以上の力は保持していましたよ。今なら下手をすれば我々に届きうると思います」


 他の二人も頷く。そしてオシーアはそれを見てハルのほうを再度見て口を開く。


「君の意見を聞きたい。君は火山地帯に行くことについてはどう思う。そして行ってくれるのか」


 ハルはその質問に対しての返答を考え口を開いた。

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