再会と神蛇スクリス
ハルとリルが朝の稽古をしていると町中が慌ただしくなっていた。
「今日はなんだか騒がしいな。何かあったのかな」
「そうですね。何か感じませんか?」
ハルは少し集中し魔力を感知した。そうすると他の魔力とは一線を画す魔力を感じ取った。リルを
初めて見たときと同じ感じだ。
「神獣種か?それにしてもうまく隠しているようだが」
「はい。神蛇スクリスだと思いますよ。彼女はモンスターの特性上、魔力を消すというよりごまかすという感じの隠し方をします。少しヒントを与えただけで察知して見せたハルのほうが異質ですけどね」
神蛇というくらいだ、蛇系統のモンスターの神獣種であるのだろう。そのとなりにハルには覚えのある魔力反応がある。しかし、前の魔力とは少し変わっているようだ。今までなら似ているだけだと思っていただろうがハル自身の魔力も変わっているのであの人物ではないかとあたりを付けた。
「一人、知人のような魔力を感じる。今までにもいたか?」
ハルはリルにここ数百年で感じた魔力かどうか聞いてみた。
「いえ、初めて感じる魔力ですね。私と同じで眷属でも増やしたんですかね?」
ハルは少しため息をついた。今会いたくない人物ではあったのだ。人として掴みどころがないし今のハルを研究されるのも嫌だった。稽古は既に終わっているので朝食のために場所を移した。そして朝食を食べているとこの館に二人、案内されて入ってくる。先ほど感じ取った魔力と同じだ。朝食をとっているのは個室ではあるのだがハルは嫌な予感がした。そしてその予感は的中する。
「はぁーい、ハル君。久しぶりね。少し会わない間にイメチェンでもした?」
そこには扉を案内の人の忠告を無視して開けたアリエスが立っていた。ハルは食事の手を止める。リルはポカンとして動かない。そうとう驚いているようだった。そしてアリエスの後ろに立っているスクリスも困った顔をしていた。
「何しに入ってきた。今飯を食べてるとこだ。食べ終わったら話を聞いてやるから今はさっさとどっか行け」
「ハル君久々に会ったのにつれないなぁ。まあいいや、じゃあ私たちも朝食を食べるからその後話そ」
そうしてアリエスはそのまま出ていった。嵐のような女性である。リルはまだ驚いているようだ。
「リル、もう行ったから帰ってこい」
「す、すみません。びっくりしてしまって。私がいるのにあのような接し方をしてくる人はなかなかいないもので」
「ああいうやつなんだよ、厄介なことにな」
そして朝食を食べ終えハルとリル、そしてスクリスとアリエスの四人で話し合いの場が設けられた。
「先ほどはごめんなさいね。私はスクリス。神蛇と言われている神獣種よ。よろしくね」
「私はアリエス。ハル君と同じ神級ハンターよ。そちらが神狼さん?よろしくねぇ」
スクリスとアリエスの二人が先に挨拶した。それにハルとリルは返す。
「はい。私はリルと言います。神狼と言われている神獣種です。このハルは私の眷属で婚約もしています」
「そんなこと言わなくていいって。私はハルです。アリエスと同じ神級ハンターをしております」
こうして四人とも自己紹介が終わる。そして話し合いともいえない雑談が始まる。
「ハルといったかしら。あなたは眷属になったらしいけどアリエスとどちらが強いの?」
「どうでしょうかね。眷属になってから摸擬戦をしていないので確信を持って勝てるとは言えませんね」
「あら、かなり謙虚なのね。見ればわかるわよ。あなたのほうが強いわ。あーあ、全く。これじゃ眷属を連れてきたのにあまり目立たないじゃない」
「ちょっと~、それどういうこと?私じゃ箔がないといいたいわけ?」
二人が言い合いを始めた。ハルとリルとは違う方向で仲良くなっているらしい。ハルとリルはこの光景を見ながら苦笑いをお互いに漏らした。
「ねぇ、スクリス。何か用があったから来たんじゃないの?用がないならさっさと部屋に戻りなさいよ」
「もうリルったらつれないこと言わないでよ。神獣種の仲じゃない。今まで一度も眷属を連れてきたことがないリルが眷属を連れてきたっていうから見に来たのよ。そしたら見るからにわかる強者じゃない。しかも若いし」
この若さでとてつもない強さを手にしているというのはこの館に来る前から耳にしていた。この国の幻獣種の兵士に勝ったと聞いたときは驚いた。人族の国の兵士では到底勝つことなどできないレベルの者たちばかりなのだ。
「それにね。用があるのは私じゃなくてアリエスのほうなのよ。ここに来る前に彼女、大森林まで行ったんだから」
「おい、それは本当かアリエス」
「ええ、行ったわよ。そしたらドーボンとエミーがいてね。今はいないと言われてどこに行ったか聞いたらユグノリアって聞いてね。急いで豪雨林まで戻って連れてきてもらったのよ。他の幻獣種を差し置いてね。眷属になったから今戦ったらワンチャンあるかもって思ったんだけどこれじゃ無理そうね」
アリエスは自身よりも強いハルに強い興味がある。その強さの秘密は?体の成分は同じなのか?などの研究者としての疑問があった。そして過去、ハルに勝つことが出来たら研究に少し協力すると言ってしまっていた。その後からアリエスは何でもするようになった。今までは研究所から出ることのほうが稀であった人物が王獣種の討伐に積極的に参加するようになったのだ。それでもハルには届かなかった、だからこそ眷属になるか問われたときは運命を感じたのだ。
「それは残念だったな。まあ俺が眷属になっていなかったとしても見た感じ負けない気がするけどな」
「え?この強さは眷属由来じゃないの?かなり生きているけどこのような人族は見たことないわね。リル、どこで見つけたのよ。あとどうやって眷属にしたの?」
「普通に大森林に来ていてそこでスカウトしただけですよ。いろいろ条件は出されましたけどそのすべてを飲みました。それほどハルに魅力を感じたので」
ハルの力は人族の範疇に収まらないほどのものだったのだ。そして人じゃなくなってその力の上限がなくなった。体も丈夫になり魔力量も上限も寿命もなくなった。まさに最強のハンターになったと言っても過言ではなかった。
「それはそうね。私でもそうしたわよ。そういえばここに来る前にバンゴスタと会ってね、もうすぐオシーアの爺さんもくるらしいからそうしたら会合始めるっぽいわよ。今回はなかなか大変そうだけどね。あなたを待たなくていいって考えると少しは楽かしらね、ねぇリル」
「今回は早く来たので過去のことはいいじゃないですか!じゃあまた会合の時に。行きましょうハル」
「あ、ああ。それでは失礼しますね」
リルはそのままハルの腕をつかみ引っ張る。ハルは二人に挨拶して引っ張られながらリルと部屋を出た。
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