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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
砂漠の世界樹
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空神龍との邂逅

 大森林にてアリエスとドーボンたちが会っていた時、ユグノリアでも別の出会いがあった。


「それで、これはどのような始末をつけるんですか」


 リルが高圧的に指摘している。その相手は空神龍バンゴスタ。この地を治める神獣種だ。ハルはリルに連れられて世界樹の空神龍の居住地に来ていた。顔パスで面会までたどり着いていた。


「それに関しては謝罪しよう。しかしリルよ、お前もわかっておるだろう。われらモンスターと獣人族との関係を。これを知らないとは言わせんぞ」


 ハルにはあまりわからない内容ではあったが過去に神獣種と獣人族の間に何かあったのだろう。今のモンスターには関係なくしかも知性の有無でも変わりそうな気がする。


「ええ、それはわかってますとも。しかし今回はどう考えても私が人質に取られている感じではなかった。そして説明もしようとしました。それを無視してしかけてきたのはそちらです」


 リルは引く気はないらしい。話が平行線に進んでいっている。空神龍は困ってしまっている。かなりの魔力に身を包み威圧感だけで言えばリルをも上回っているだろう。その空神龍を言葉だけでリルは圧倒してしまっている。確かに向こうに非があるのは明確なのだがリルが欲しいであろう謝罪はもうしている。なのでこれでおしまいなのだがどうやらリルの怒りは収まっていないらしい。


「それについては謝罪をした。これ以上に何が欲しいのだ、神狼のリルよ」


「では、世界樹の木材を使用したマジックバッグを。そしてそれに入る限りの木材も所望します。うちも最近人が増えまして、そろそろ多く収納できるものが欲しかったので」


 リルは世界樹製のマジックバッグを所望した。これはユグノリアではありふれているものでありかなり安い値段で購入できる。しかしそれはユグノリア限定の話だ。外の国にこの素材が出回るとブラックメタル以上の価値で取引される。この素材はこの国にしかないのと汎用性が高すぎるためにバンゴスタが規制しているためだ。この国に来たとしても国外の人に売るときは外で売られる値段になっている。現地だからと言って安く買えるわけではないのだ。それをリルは知っている。そして同じ神獣種であってもバンゴスタは安く売ることをしなかった。単純に恐れているのだ。この国以外の者がこの素材で作成した武器などを作ることを。過去にあった獣人族との問題もこれが起因しているのだ。


「はぁ、ならばそれで手を打とう。リルならば過去のようにはなるまい。それでは会合が終わるまでには用意させよう」


「私じゃなくとも今の神獣種ならば格安でもいい気がしますけどね。あなたは臆病になりすぎです。それはともかく謝罪を受け入れましょう」


 これでバンゴスタの眷属が起こした一件は解決した。そして話はハルの話に変わっていく。


「彼がリルの新しい眷属か。かなりの実力者のように見えるな」


「では改めて。ハルと申します。リルの眷属につい先日なりました。どうぞお見知りおきを」


 ハルはなるべく丁寧にあいさつをした。ハンターであるために礼節などはあまり知らない。ほとんどがハンター組合の直接の依頼であったのも関係していて、貴族の依頼などをしているハンターは貴族に会いに行って詳しい話を聞くのでこのような礼節をわきまえていることが多い。そういうことができるハンターはその貴族にお気に入りになり報酬が増えたりする可能性があるからだ。ハルは金には困っておらず頓着もないのでその辺は気にしていない。なので組合が直接依頼してくるものしか受けていなかった。


「私の眷属兼将来の旦那様ですよ。そこは忘れないでくださいね」


 リルは最近この部分を強調している。寝るときも同じ部屋になったし寝るときは普段の少女の姿ではなく大人の姿になっている。今はまだ何もする気はないのでハルはあまり気にしていないのだが。


「ほう、神獣種と番になるか。ハルといったか、かなり険しい道に進むようだな」


 険しいとはどういうことなのかハルは理解できていないのだがバンゴスタは笑いながら話を続ける。


「まあ貴公ほどの力があれば問題ないか。それとルードは貴公から見てどうであった?」


「彼はかなりいいものを持っていると思いますよ。今はまだ粗削りな部分が目立ちますが」


 砂海に到着してから一番最初にやりあったのは竜人のルードだ。魔力の総量は多かったがそれをうまく使えているかと言われれば微妙であった。あの程度ならば他の神級ハンターでも勝てるのではないだろうかと思っている。


「あやつは若手の中では一番の実力者なのだがな。あやつよりも長生きの私の眷属も同行していたが彼らに粗相はなかったかね」


「他の竜人の方はかなり丁寧に対応していただきましたよ」


「他の竜人は実力差がわかっていたんじゃないかしらね。どう見てもハルのほうが強いじゃない。これを見抜くのはさすがに経験の差かしらね」


 他の竜人はルードよりも確かに強そうだった。ルードにこれを経験させたかったのかと思うほど助けに入らなかった。バンゴスタは自身の後ろに控えている竜人に話しかける。


「ドーグよ。お前の目から見て彼をどう見る」


 ドーグはバンゴスタの眷属の中で最高齢であり今はバンゴスタの執事のようなことをしているが実力は本物だ。この国の防衛隊の隊長をしている竜人相手に武器無しで勝てるほどだ。


「ふむ。そうですな、実力は私に並ぶかそれ以上かと。もしかすると神獣種の方々にも匹敵するやもしれません。ハル殿を仮に倒すということになればそこらの雑兵を特攻させて疲れさせてから隊長格の者たちで倒すしかないのではと愚考いたします。私も一対一なら倒しきれる自信はないですね」


「はっはっは!ドーグがそれほどいう手合いか。まあ私も同意見だがな。リルよ、彼のような実力者をどう眷属にしたのだ」


 バンゴスタはハルを眷属にした方法が知りたいらしい。ハルも後から知ったのだがハルほどの魔力があればレジストできるらしい。


「それは教えられないわね。でも安心してちょうだい。私は今まで通り大森林以外の領域は求めないわよ。あれ以上広げるとめんどうだもの」


 他の神獣種を誕生させないための制度が領域制度だ。しかしこれには穴もある。それは人の領域での進化だ。神獣種たちは自身の手が届く場所しか領域として持たない。そしてそれ以外の場所はだいたい人族が住んでいる。モンスターにしか住めないであろう場所を神獣種でカバーしているのだ。これは人族のトップたちと神獣種が裏でつながっていることをハルに想像させた。そして今会長は砂海の調査に行っていると聞いた。ハルの中にあった突っかかりが取れたような気がした。しかもハルが知る限り会長は今まで代わることなくきている。会長がエルフという長命種であるからと考えていたのだが年配のハンターたちに駆け出しのころ聞いたところ会長の姿を知っているものはいなかった。そして神級になったときにはじめてその姿を見た。ハルの中で会長がエルフ以上の何かなのではないかと今は思っている。ドーボンやエミーの件があるのだ。外見ではわからないこともあるのだ。


「そこはもう人族に任せても平気だろう。神級ハンターが一人モンスター側に来てしまったがな」


 冗談交じりにバンゴスタはそのようなこという。それをリルは微笑んで受け流している。ドーグは静かにバンゴスタの後ろに立っておりハルは苦笑いをしながら二人の話を聞いていた。

これまで読んでいただいている方々、ありがとうございます。

これからも更新していきますのでどうぞよろしくお願いします。

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