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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
砂漠の世界樹
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主不在の大森林

 ハルを探している女がなぜこの大森林にきたのだろうか。そして彼女はここにいると疑っていない。ハルをここに連れてきた幻獣種の狼が一番前に出て対応に当たる。


「あなたは?」


「私はアリエス。ハル君と同じ神級ハンターよ。あと、隠しても無駄よ。ここにいることはわかっているの」


 やはりここにいることは割れているらしい。ハルがここに移ってきたことを知っているのは多くない。その中で幻獣種と一緒に行動していたものは弾かれる。そうすると幻獣種たちは思いあたりがない。そうして考えているとアリエスは我慢できないと言わんばかりに話し出す。


「ここの責任者は?その方と話をさせてほしいのだけれど」


「ここの主は現在出かけていらっしゃります。いつ戻るかも私にはわかりかねます」


 丁寧に対応していく。この人族に近いものは危険だと本能が言っている。ハルと似たような雰囲気がある。


「なんだなんだ、どうした。ん?お前アリエスか。どうしたこんな奥まで」


 ドーボンが外が慌ただしかったので様子を見に来てアリエスを見た。ドーボンとアリエスは知り合いである。元々ハルの武器を作製していたドーボンだがその武器を見たアリエスがハル経由で武器作製の依頼をしてきたのだ。その時に作った武器種は大鎌。リーチは長いのだが刃がついている場所的に対人や対モンスターには向かない、なぜあるのかというような武器なのだが彼女はそれを愛用している。神級には変なこだわりがあるものが多いのでドーボンも気にせず作った。その武器はモンスターの素材をふんだんに使ったハルの武器とはまた違う意味でレアな武器だ。そこにエミーの付与魔法を合わせ完成させた。見た目はモンスターの骨を加工して作ったりしているのでかなり無骨ではあるのだがその切れ味はバカにならず、そのモンスターの魔法特性を魔力核を使用することで引き継いでいるドーボンの作製した武器の中でも最高の一振りのひとつになっている。


「あら、ドーボンじゃない。こんなところで何しているの?ここに来る前に工房に寄ったら空き家になっててびっくりしたわよ。エミーちゃんは元気?」


「ああ、ここにエミーと一緒に住むことになったんだよ。だから今は工房を作ってるとこだ。エミーは元気にしてるぞ。家の中にいる」


 ドーボンが話し始めて幻獣種は頭が混乱していた。ハルの知り合いが来てその知り合いとドーボンも知り合いだったのだ。


「えっと…ドーボンさん。知り合いですか?」


「そうだ。昔今背負ってる大鎌を作製したんだ」


「なるほど。それでは相手をお願いしても?」


「かまわんぞ」


 こうして幻獣種は奥に下がった。そして居住スペースに案内してアリエスとドーボン、そしてエミーで話を始めた。


「じゃあ組合長にハルの居場所を聞いてここに来たということか。それにしても急だったな」


「まあ摸擬戦をお願いしようと思っただけなのだけれど。神級以外は相手にならないしハル君以外は手加減知らないバカしかいないから。今の力がどれだけ通用するか気になるのよね」


 前とは格段に違うと言わんばかりにアリエスは言う。そして彼女を観察してみると目の色などが変わっている。昔は青みがかっていたのに今は金色のような色になっている。そこにエミーが口を出す。


「魔力の質が変わったわね。何かあった?」


「流石に魔法付与のプロね。ある神獣種に会って眷属になったのよ。その力を人族で最強であろうハル君で試したかったの」


 アリエスは神獣種の眷属になっていたのだ。自分たち二人もなったのだがこうして他の人の話を聞くのはまだ慣れない。神級ハンターたちくらい思考がぶっ飛んでいればそうはならないとは思うのだが二人は最高が幻級(げんきゅう)ハンターだ。彼らの考えなどわからない。


「変化の理由はそれかぁ。でもそれじゃあ腕試しは意味なさそうねぇ」


「それはなんで?結構強くなったと思うけど。だいぶ魔力の変化にも慣れてきたし」


 そう、人族としてのハルはもういない。だからこそ腕試しにはならないとエミーは言っている。


「実は、私たち二人とハル君も眷属になったのよ。ここに言葉を話すモンスターがいるのは彼らが幻獣種で神獣種の眷属だからよ」


 今度はアリエスが目を見開いて驚く番だった。このような数百年、下手をすると数千年起こらない事態が今起きているのだから。


「それに魔力が変化しているのならその大鎌の魔力付与も変えないと十全に使えないわよ。付与は工房じゃなくてもできるからしちゃいましょ」


「はぁ。いつも通りマイペースね。ここに来る前に工房に寄ったのもそれが理由の一つだったから助かるわ。それにしてもなぜあなたたち二人とも眷属になっているのよ。そっちの方が驚いたわよ」


「まあハルに頼まれちゃな。あいつの両親のこともあるし断れんだろう。それ抜きにしても単純に頼ってくれるのがうれしかったからだ」


「そうね、普段頼らないからこそうれしくなったわ」


「羨ましいわね。ハル君がそこまで信頼している人なんていないわよ」


 アリエスはかなり羨ましそうだ。神級ハンターで富も名声も手に入れている。しかし、人との関わりが少なくなりそのような頼ることが無くなってしまった。そして強すぎるあまり頼ることもできなくなってしまった。つまり婚期を逃しているのだ。女性の彼女としては結婚はしたかったらしい。しかし相手がいないのでできなかったのだ。そもそも幻級の時からパーティの誰よりも強かった。そして戦い方はかなりキツイ戦い方をする。今の戦闘スタイルを確立させた時点でもう貰い手は同業者はいなくなったのだ。


「どうせ私には結婚できないですよぉ」


「まあそれはおいおいでいいじゃない。それでここにハル君を探しに来たのよね?」


「よくないわよ!まあハル君を探しに来たのは間違いないけれど」


 ここにはハルを探しに来たのだ。それがドーボンとエミーに会い、すっかり雑談に花を咲かせてしまったらしい。


「結論から言うと今は出かけてるわね。リルちゃんと砂海に向かったわよ。眷属になったのなら知ってると思うけど神獣種の会合がユグノリアであるでしょ。そこに行ったわ」


「噓でしょ!まだかなり時間があるじゃない。なんでこんな早くいくのよ」


「ハル君が砂海初めてだからいろいろ調べたいんですって。あとは砂上船での戦い方も掴むと言ってたわね」


「今から豪雨林に戻って間に合うかしら。まあスクリスなら結構ゆっくり出るかしらね」


 アリエスは神蛇(しんだ)スクリスの眷属になったらしい。神蛇は豪雨林と呼ばれる湿地帯の住んでいて蛇系モンスターの神獣種だ。神蛇はアリエス曰くかなりの面倒くさがりらしく出るのも多分ギリギリになるらしい。幻獣種の蛇たちに急かされて生きているのだという。リルとその眷属とは関係性が違うように感じた。


「それじゃあハル君にも久しぶりに会いたいし会合に私も連れて行ってもらいましょうかね。あ、付与はお願いね」


「はいはい、しますよー」


 そんな軽口を言い合いながらエミーは付与をしていきアリエスはそれを見ていた。ドーボンは話が盛り上がってきたタイミングで席を外して工房の作業に戻って幻獣種たちに説明をしていた。

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