波乱の予感…?
「眷属…?それにその耳と尾はなんだ」
いくら組合長だとしても神獣種の眷属魔法までは知らなかったらしい。神級ハンターよりもさらに情報が解禁されている組合長ならば何か知っていると思ったハルだったのだがこれは予想が外れてしまったらしい。
「なんか王獣種を討伐したら幻獣種の狼にあってな。そいつについて来いと言われたからついて行ったらそこで神獣種に会った。狼系のモンスターの神獣種で神狼の異名らしいぞ。なんか伝記にでも載ってるんじゃないか」
そう神獣種というのは伝説の中で語られるモンスターであり、そのほとんどが伝記などに登場するのみで歴史書にはあまり登場しない。現在のモンスターのレベルと比べても比較しようもないくらいには強く書かれていることがほとんどだ。一国を火の海に変えるなどの人への被害のものもあれば逆に王獣種サイズのモンスターの軍勢から人と協力して国を守ったなどの伝説がある。これは現在生きている人々は物語として楽しんでいるので本当に神獣種がいるとはだれも思っていない。ハルもそう思っていたのだが自分の前に現れた。それは王獣種や幻獣種とは比較にならない魔力を持っていた。それでもハルは人類の到達点に位置するハンターである。ハルは負けない自信があったがそれでも後遺症は免れない戦いにはなっていただろう。そう考えればその時のハルよりも強くなったので選択は間違っていないと思っている。
「まあ伝記で見かけたくらいはあるって感じだな。俺はそういう物語は興味がなかったからあまり詳しくは知らないがな。それにしてもそっちを最初に報告せんか。俺はお前が人じゃなくなったのならばお前の両親に顔向けできんぞ」
「まあ俺の親はこんなことでとやかく言わないって。それにまだ人だぞ。種族的には古代人種の獣人族だけどな。それに神狼リルは話も分かるしさすがに人の街を滅ぼそうとはしないから平気だ」
そう、リルはかなり温厚な性格であり、好んで戦いに参加するタイプではない。それはこの短い期間でもわかった。元はモンスターだし人の生活はわからないことも多いとは思うが住むのはリルが元々いた大森林の最奥だ。そこにはハンターも来ないし整備もされていないので問題はなさそうである。他の神獣種との会合があるとは言っていたがこれもどうせ辺鄙なところでやるのだろう。それも問題なし。迎撃する事態にならなければいいのだ。話し合いになればハルやドーボン、エミーもいるのでこれも問題がない。
「そうはいってもなぁ、まあ俺じゃ判断できんから会長に判断を仰ぐことにするよ」
「それは助かる。自分で言いに行くのはめんどうだったから頼んだ。ついでにドーボンとエミーさんも眷属になったからそれも伝えといてくれ」
「は?お前だけじゃないのか?はぁ、一回の報告でどれだけ情報があるんだ」
ハルは最初自分だけでいいかと言っていたのだがドーボンが自分たちのことも言っていいと言ってくれた。ハル一人に背負わせたくなかったのだろう。ハルは感謝して組合長に伝えたのだった。
「まあまあ落ち着けって。これ以上はないからさ。それよりも下の受付からすごい大きい声が聞こえてきてるんだが最近はこうなのか?」
ハルがよく来ていたころは結構空いていたし、ここ数年で変わったのかと思いハルは組合長に聞いた。
「いや、普段こんだけ騒いでたら俺が潰しに行ってらぁ。王獣種の発生で滞っていた大森林の依頼をするために多くのハンターが来ているんだ。だから今日から数日はこれが続きそうだな」
「やる気があっていいじゃないか。じゃあ俺はそろそろ帰るとするかな。武器の調整も残ってるし」
「おう、気を付けて帰れよ。大森林の王獣種はお前に任せるからハンターに見つかる前に討伐してくれよ。見つかると今回みたいな形で依頼を飛ばすことになるんだからな」
「善処するよ。見つかっても張り出すわけじゃないんだから組合長で止めとくくらいはしてくれよ」
ハルは組合長と軽く雑談をして席をたった。そしてフードをかぶり挨拶して部屋を出ようとしたところで部屋の外から大きな声でドアをたたき、返事を待たず周りの制止も振り切って部屋に入ってきた。
「リーダーは!?そして私の同僚のハンターたちは!?」
そこにはハルに声をかけてきたハンターたちの中でテントの設営をしていた若いハンターだった。




