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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
1章 大森林の主
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組合長への報告

 ハルはハンター組合に来ていた。いつも通りにフードを深くかぶりハンター証を受付に見せ、組合長を呼び出す。他のハンターには絶対ない階級が書かれていてここの職員には話が通っているのですぐに組合長に繋いでくれた。そして別室に呼ばれた。


「よおハル、お疲れ様」


 部屋へ入るとそこには組合長が椅子に掛けている。ここはハンター組合本部のお偉いさんなどが来るときに通す部屋になっているがハル含め神級ハンターたちにはこの部屋が用意される。これはハンター組合の会長が決めたことだ。他のハンターよりも実力がありより危険な場所に赴くのでこのような場ではかなりの待遇を確約されている。ハルはすぐに本題に入ることにした。


「王獣種は討伐したぞ。これが今回討伐したやつの魔力核だ」


 普通のモンスターの大きさからは想像もできないくらい大きい魔力核を取り出した。これだけで本体がかなり大きいことが伺えた。


「今回はご苦労だったな。受け取ろう。報酬は今持ってくるか?それとも組合預かりにしておくか?」


 ハンター組合にはお金を預けておくことができる。自分で持っていたいものもいるので強制ではないのだがハンター証を持っているハンターには口座を作ることができる。このくらいの大きな仕事をする場合報酬もかなりでかい額になるので幻級ハンター以上は大体持っている。例にもれずハルももちろん持っている。ハルはなるべく身軽になっておきたいのでお金などは使うもの以外は預けている場合が多い。そして必要になったときに下ろすのが普通になっていた。ハルの口座には見たことないような金額が入っている。そもそもそんなに使う方ではないのと幻級ハンターの時代に使わないのにかなり討伐依頼を受けていたためかなりの額になっている。


「いつも通り組合預かりで。今のとこそんなに必要な場面がないからな」


「よしわかった、そうしよう」


 これで本来の討伐のやりとりは終わった。ハルが大森林であったことを話しかけようと思ったとき、先に組合長が口を開いた。


「大森林にハンターの団体がいなかったか?そこの魔法師の1人が大獣種と戦闘になって依頼の薬草を運搬のために一人で帰ってきたのだが他が帰ってこないんだ。何か知らないか?」


 ハルは黙ってマジッリュックからたくさんのハンター証を組合長に渡した。


「帰ってこないやつらのハンター証だ。俺が遭遇したときにそいつは王獣種に進化していた。外傷からしてそのハンターたちは火魔法を使ったのだろう。それで元々土魔法を使っていたやつが火と土を使ってきた。かなり高温の火を使って溶岩みたいになってたぞ。それも討伐したがもう一回ハンターたちの教育したほうがいいと思うぞ。これじゃいくら命があっても足りない」


 組合長は苦虫を嚙み潰したような顔になっている。そもそも王獣種が出た時点で大森林へは幻級以上が最低ラインだ。彼らは一級だった。これは組合のルールに明らかに抵触している。もうすぐ幻級に上がれそうなものたちではあったが今現状の階級が重要なのだ。組合長はゆっくりと口を開き話し始めた。


「それは止めることができなかった俺に責任がある。貴族の圧力、組合本部からの圧力もあったな。その貴族が組合にかなりの投資をしてくれている人らしくてな。会長がいればこのようなことにはならなかったが会長は現在砂海の調査に出ている。そこも狙われたみたいだな。その人も自分の子供がかかっていたんだ。俺には断れなかった」


「じゃあ俺に依頼を出せばよかったじゃないか。薬草取りなんて大した問題にはならない。王獣種の討伐もあるから少し遅くはなってしまうがそれでも確実だったろうに。わざわざ多くのハンターが亡くなることはなかったんじゃないか」


 ハルは上の者にいいように扱われているハンターに少し嫌気がさしていた。もちろん、彼らと話した時は絶望の顔など一つもしていなかった。むしろ武勲でもあげてやろうとさえ思っていたかもしれない。それでも最初の行動は上からの指示だ。そしてその結果がこれだ。あのリーダー格の男は依頼に対してはしっかりしていたらしい。そのおかげで1人の魔法師は助かった。しかし、戦闘があったのは明らかに薬草の群生地より奥に入ったところだった。これは欲が出たのだなとハルは思った。


「彼らの対応に問題があったことは戦闘の跡を見た感じ間違いはなさそうだけどな。薬草の群生地の奥で戦闘してたっぽいからな。これはリーダーの判断ミスだ。しかし、そこにいる時点でそれは組合のミスだ。それにこれ」


 ついでだからとハルは毒属性の魔力核を机の上に置いた。


「これも今回戦った毒魔法を使ったファキングの魔力核だ。こんなのがいるのが大森林だ。あんたも幻級だったろ。これは珍しいがあんたにそれがわからないとは言わせないぞ」


「ああ、すまない。俺の意思が弱かった。それは認める。今後はこのようなことがないように自分含め組合職員全員に言い聞かすことにする。まあ会長が帰ってきたら俺ら全員の首が飛ぶかもしれないけどな」


 さすがに会長でもそれはしないだろうと思いつつもやりかねないと思うハルもいた。そのくらい会長はハンターが一番大事という意見の人間だ。だからこそ目の前にいる組合長もハンター上がりでその地位についている。ハルは思い出したようにフードを取りつつ組合長に言った。


「俺、神獣種に会って眷属になったから大森林でのモンスター関連の問題は俺がするから」


 組合長は驚きのあまり飲んでいた紅茶のカップを落としてしまった。

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