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伝説の狩人  作者: 炭酸ガエル
1章 大森林の主
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ハルの武器とリルの武器

 見たことがない武器にリルは釘付けだった。その疑問に答えたのは作成者であるドーボンであった。


「それは銃って言われる武器だな。昔はなかった武器だ。出てきたのはここ百年くらいじゃねぇかな。だから森の奥に住んでたリル様は知らなくても無理はねぇよ。そもそも使ってるやつが少なすぎる」


 森の奥に住んでいたからといってもリルは森で行われる戦闘を監視していたのだ。それだけでは説明できないと思っていたら使用率が低いということらしい。


「なぜ少ないのでしょうか。遠くから一方的に攻撃できるならみんな使うと思うのですが」


 リルは最もな疑問を口にする。これは確かにその通りなのだ。わざわざ自身を危険に晒してまで近接戦闘する意味が分からないといった顔をしている。その疑問にもしっかりと答える。


「それはな、バレたときが問題になるからだ。しかも卓越した魔法操作が出来なければ一方的に居場所を晒すことになる。これが問題なんだ。それは狙撃銃という種類の銃なんだが隠れて撃つを繰り返すもので撃ったら移動して違う場所からまた撃つって感じだな。言ってることは単純なんだがこれが意外と難しい。そもそもモンスターもバカじゃない。撃たれりゃ大体の場所は把握してくる。それが強いモンスターになればなるほど魔力探知の能力が向上する。そんなモンスター相手に一撃で倒せず撃ったら場所が特定される可能性をはらんでいる武器を誰が使いたい?そんな物好きはそうはいない。そのバカの一人がハルってだけだ。まああいつは魔力操作が抜群にうまいからばれないようにできるってのもあるがな」


 かなりのアドバンテージが取れなければそれを使う意味がない。それならば前衛職と協力して戦う魔法職で十分なのだ。この武器は良くも悪くもソロ運用でしかもかなりの実力者でなければ使いこなせない武器種なのである。


「なるほど。確かにそれならばわざわざ物陰に隠れてこそこそするより私が森で見てきたハンターたちのように前衛職と魔法職で戦う方がいいですね。でもそんなに需要がなかったのならこの武器はもっと早く衰退しているように思えますがそれはなぜなんでしょう」


 そう、この世では需要がなければ衰退していく。それがかなりの発明だったとしてもだ。今までの形のほうが慣れているし戦いやすいのだ。今の形を一回壊しまた作るのはかなりの労力が必要になる。だからこそハンターは昔ながらの剣と盾、そして魔法を好む。この体系が完成しているからこそ今まで人族が滅んでいないともいえる。


「それはね、夫の趣味なのよ。ハル君に話したらかなり良く食いついてね。そこから大盛り上がりよ。全く、男はロマンに生きてるのね。しかもそれでハル君の提案で魔弾なんてものまで作成することになったんだけど夫はそういうのが苦手だから私も手伝わされてね。それが今のこの状況なのよ、ハル君の影響で一時期流行ったのだけれどすぐに扱いが難しすぎて廃れてしまったわ」


 この武器にはハルも一枚嚙んでいたのか。しかし、出回り始めて百年と言っていたがハルはまだ生まれてすらいないはずである。それはどういうことなのか。


「ああ、言い忘れていたけどハル君が関わったのはモンスターへの運用のために夫が意見を求めたからよ。それまでは夫と地元の友達でわいわい騒ぎながら作っていたおもちゃみたいなものだから。本格的に武器として認識され始めたのはここ十年でかなり夫が話を盛っただけだから気にしないでね」


 話を盛っただけであった。リルは笑ってしまった。そしてドーボンは恥ずかしがっている。おっさんが恥ずかしがる姿など誰が見たいんだとハルがここにいれば言われていたことだろう。


「この武器も少し気になってしまいましたが扱い方がよくわからないのでハルが帰ってきたら聞いてみます。今は私の刀の作成をお願いします」


 そもそも刀を作る予定だったのだとドーボンは思い出し笑った。それを見てエミーもリルも笑っている。出会ったばかりだが三人の仲が良くなるまでそう時間はかからなかった。数日間刀の試作をしながら三人で意見を出し合い、ドーボンも魔力に慣れてきた。そしてついに作成に取り掛かった。




 リルの武器をドーボンは夜通し作成し続けている。これがドーボンの作り方なのだ。ご飯などは食べるが寝る時間はない。一回作り始めると終わるまで作り続けるのだ。普通の鍛冶師なら集中力が切れてうまくできないのだが彼はこのやり方じゃないと逆に集中力が切れてしまうのだ。それを知っているエミーは気にせずリルと朝食を食べていた。


「あの人は作り始めるとこうだから気にしないでね。ご飯もここにおいておけば勝手に食べるから。それよりもリルちゃんに魔力操作とか教わりたいし」


 この数日でかなり仲が良くなってきている。リルはかなり長生きではあるのだが背丈は小さく美しいよりもかわいいが先に来る。元々がモンスターであるため人の姿に関しては変えることができるのだがこの姿が一番接しやすいのだろうと判断してこの姿になっている。ハルと過ごすときは大人の女性の姿にもなったりはするのだがここでしても意味がないのでしない。大きさを変えるときにまりょっくを使用するのでそこも含めてしないのだ。朝食を食べ終わりエミーに魔力操作を教えていると工房のほうからドーボンの声が聞こえてきた。


「できたぞー!!」


 ついにリルの刀が完成したらしい。そろそろハルも帰ってくる頃なのでリルは尻尾を振りながらエミーとともに工房に向かった。

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